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市場が混乱したとき、どのようなポートフォリオが勝つのでしょうか?

株式
Charu Chanana 400x400
チャル・チャナナ

チーフ・インベストメント・ストラテジスト

重要なポイント:

  • 2つの異なるポートフォリオの研究:ボラティリティの高い市場で異なる投資戦略がどのように持ちこたえるかを研究するために、2つのポートフォリオを構築しました。ポートフォリオAは、米国のハイテク株へのエクスポージャーを織り込んだ集中的なグロース株への投資戦法でした。一方、ポートフォリオBは、リスクが地域、セクター、資産クラスに分散したグローバル分散戦略を反映しています。
  • 集中投資がダウンサイドリスクを増幅させた:投資が一部の銘柄やセクターに集中したポートフォリオは急激なドローダウンによりパフォーマンスは出遅れましたが、分散したポートフォリオは激動の前半を通じて、より安定したプラスのリターンをもたらしました。いくつかのテクノロジー企業に賭けると、大きな損失と高いボラティリティが発生し、投資対象への確信を追い求めるだけでは感情的および金銭的な負担が生じる結果となりました。
  • 分散投資はリスクの管理と投資の継続に役立った:資産クラスや地域間でのバランスの取れたエクスポージャーがリスク調整後リターンの向上につながり、レジリエンス(力強い回復)がパフォーマンスと同じくらい重要であることが証明されました。


注: 当記事はマーケティング用の資料です。



2025年上半期は、投資家にとってストレステストの年でした。

トランプ大統領の関税に対する脅威、地政学的な緊張の高まり、FRBからの相反するシグナルなど、市場は決して穏やかではありません。

このような環境でポートフォリオの構築が結果にどのように影響するかを理解するために、2024年12月31日に10,000ドルから開始する2つのサンプルポートフォリオを作成しましたが、戦略は大きく異なります。

ポートフォリオA – 集中的なグロース株への投資

ポートフォリオAは、近年見られた一般的な高確信戦略を反映しています。

  • 2024年12月31日にメタ(Meta)、エヌビディア(Nvidia)、テスラ(Tesla)の各8株を購入
  • 約1,000米ドルの現金準備金

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このポートフォリオの投資配分は、2023年から2024年にかけてのAIブームとテクノロジーの勢いの恩恵を受けた超大型グロース株に傾いていました。しかし、2025年になると、物語は変わりました。関税リスク、バリュエーションの観点からの圧力、セクターのローテーションにより、この集中的な賭けは脆弱になり、痛みを伴うものとなりました。

ポートフォリオB – 分散されたコア

対照的に、ポートフォリオBは、全天候型条件を想定したグローバル分散戦略、つまり単一のセクターや地域に依存しない戦略を反映しています。

その内容は以下の通りです。

  • 米国株式 – SPDR S&P 500 UCITS ETF (SPX):
    • セクター全体にわたる米国の大企業への幅広い投資配分は、多くの長期ポートフォリオの基盤となっています。
  • 国際株式 – iShares MSCI World UCITS ETF (IUSQ):
    • 23の先進国市場における大企業および中堅企業へのエクスポージャーを提供。このグローバルな多様化により、一国の経済や株式市場への依存度が下がります。
  • 広範なテクノロジー株へのエクスポージャー – iShares S&P 500 Information Technology Sector UCITS ETF (IUIT):
    • 米国のテクノロジーセクターへの投資配分に絞っていますが、大型株だけでなく、幅広い企業を対象としています。これには、ソフトウェア、半導体、サービスが含まれ、一部の銘柄に集中しすぎることなく、テクノロジーセクターへのエクスポージャーとのバランスをとるのに役立ちます。
  • 債券: iShares Core Global Aggregate Bond UCITS ETF (AGGG):
    • 通貨や地域を超えた国債と社債を含む、グローバルに分散された債券ETFです。これにより、特に株式市場の急落時に、収益と安定性が増します。
  • 金の採掘企業: VanEck Gold Miners UCITS ETF (GDX):
    • グローバルな金採掘会社に投資。インフレ率が上昇したり、地政学的な緊張が高まったりするとよく起こる金価格の上昇から恩恵を受ける傾向があり、不確実な時代には有用なヘッジとなります。
  • 生活必需品セクターの企業: iShares MSCI World Consumer Staples Sector UCITS ETF (WCOS):
    • 食品、飲料、家庭用品などの日用品を製造する企業が含まれます。これらの銘柄は、需要が安定しているため、景気後退時により回復力を発揮する傾向があります。
  • 現金準備金 (約800米ドル):
    • 柔軟性を保つための小さな準備金を置いておきます。いわゆる「ドライパウダー」を持つことで、投資家は下落時にポジションを増やしたり、間違ったタイミングで売ることなく短期的なニーズを満たすことができます。

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このポートフォリオは、地域(米国および世界)、セクター(グロース、ディフェンシブ、インフレ感応型)、資産クラス(株式、債券、金、現金)にリスクを分散させ、ショックを吸収し、ボラティリティを通じて感情的な意思決定を減らすのに役立つバランスを提供します。

 


次に起こったこと:2025年1月から5月

1月から5月にかけて、マクロ環境はますます脆弱になりました。市場は以下のような打撃を受けました。

  • 高い関税を課すとの発表が断続的に繰り返され、トランプ大統領の解放記念日の相互関税措置の発表に続いて、その施行についての一時停止が行われたため、貿易に敏感なセクターのボラティリティに拍車がかかりました。
  • トランプ大統領の新たな税制法案は、米国の財政の持続可能性に対する懸念を引き起こしました。
  • 米国の政策の不確実性は、米国の例外主義の衰退をもたらしました。
  • FRBの利下げをめぐる不確実性は、インフレデータが予想よりも粘着的であることが証明されたためです。
  • 中東での緊張の高まりが、エネルギーと金の価格を押し上げています。
  • FRBの独立性が疑問視され、政策リスクがさらに高まりました。

このような状況下で、ポートフォリオAは大幅に急激なドローダウンに見舞われましたが、ポートフォリオBははるかに安定して嵐を乗り切りました。


パフォーマンス比較(2024年12月31日〜2025年6月16日)

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出所: Bloomberg Portfolio Analytics (PRTU)

これらの評価基準である数値が何を教えてくれるのかを理解しましょう。

  • トータルリターン:これは、期間中にポートフォリオの価値がどれだけ拡大・成長または縮小・後退したかを示します。分散されたポートフォリオは最終的に利益を上げ、集中したポートフォリオをアウトパフォームしました - 一貫した緩やかな成長が時折の大きな勝利に勝ることを思い出させてくれます。
  • 最大ドローダウン:これは、ポートフォリオが経験した最大の一時的な落ち込みを示しています。どちらのポートフォリオも回復しましたが、集中したポートフォリオははるかに大きく下落しており、投資家の自信を試す可能性があります。
  • 標準偏差: ポートフォリオの価値がどれだけ上下に変動するかを示す尺度。ボラティリティが高いということは、より大きな変動を意味し、ストレスを感じる可能性があります。分散されたポートフォリオは、より落ち着いた評価額の変動となりました。
  • VaR (95%): これは、本当に悪い日にどれだけ失う可能性があるかを推定します。必ずしも最悪の下落を経験するという意味ではありませんが、各ポートフォリオがどれだけのリスクを背負っているかを比較するのに役立ちます。
  • シャープレシオ:これは、ポートフォリオがリスクに対してどれだけ報われたか(リスク調整後のリターン%)を示します。数値が高いほど、より効率的な成長が可能であり、分散されたポートフォリオはまさにそれを実現しました。


主な教訓

分散投資はテールリスクからポートフォリオを保護します

ポートフォリオAは、短期間の相場の力強い上昇(ラリー)で大きな上昇をもたらしましたが、ボラティリティの影響から保護することはできませんでした。ポートフォリオBは、ディフェンシブな株式、債券、金へのエクスポージャーが広がったため、マクロのニュースによりリスク資産の価格がぐらついたにもかかわらず、株式の下落の矢面に立たされることはありませんでした。

ボラティリティは単なる数字ではありません

ポートフォリオAは、短期的なハイテク株の上昇で力強い上昇を見せましたが、日々の変動は感情的にも数学的にも大きかったのです。標準偏差とVaRが高いと、波乱の旅が続き、投資を続けることがより困難になりました。

リスク調整後リターンは、(リスク調整がされていない)そのままのリターンよりも重要です

ニュースの見出しはしばしばパフォーマンスに焦点を当てていますが、リターンだけではポートフォリオの質を反映していません。ポートフォリオBはシャープレシオが高く、投資家はリスクを取るごとにより多くのリターンを得ました。


戦略を練る上での重要なポイント: 予想外の事態に備えて構築する 

ボラティリティはもはや外れ値のイベントではなく、基本路線(ベースケース)です。

関税、地政学、選挙、インフレ、AI規制など、すべてがより分断された、動きの速いマクロ環境の一部です。そして、このような世界においては、テクノロジー企業の株式へ集中的に賭ける古い投資戦術は信頼性が低くなっています。

むしろ、投資家は地域、セクター、リスク要因をまたいで分散する戦略を必要としています。ということは:

  • グロースとインカムを混ぜたバランスのよいポートフォリオ
  • コモディティまたは債券によるヘッジを採用したポートフォリオ
  • (米国一極集中ではなく幅広い)グローバル市場へのエクスポージャーを含むポートフォリオ
  • ドライパウダーを現金で準備しておく
市場が混乱したときにもその波乱に持ちこたえるポートフォリオというのは、長期的な目線で長く持続するように構築されたポートフォリオなのです。

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