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チーフ・インベストメント・ストラテジスト
• 次の成長の波はAIだけではありません。商業化に近づいている5つのフロンティアテーマ(ロボタクシー、ドローン/都市型空の移動、宇宙インフラ、量子技術、先進的な原子力)は、産業構造を再構築し、新たなバリューチェーンを生み出す可能性があります。
• エコシステム全体に投資機会があります。プラットフォーム運営企業、ハードウェア供給企業、インフラ支援企業などが対象です。例としては、Waymo/Alphabet、Joby Aviation、Rocket Lab、IonQ、Constellation Energy、Camecoなどが挙げられます。
• リスクは依然として大きく、分散しています。規制、長期的な開発期間、資本集約性、地政学的リスクなどがあるため、これらの分野への投資は長期的かつ高い不確実性を伴うものとして、選別的かつ分散的に取り組むべきです。
半導体とAIの次に来るものは?
私たちは、サイエンス・フィクションの世界から商業化へと近づいている5つのフロンティアを注目しています。それぞれの分野にはバリューチェーン上の投資機会がありますが、同時に慎重に見極めるべきリスクも存在します。
長年の懐疑的な見方を経て、自動運転車(AV)プロジェクトは商業化の段階に入りつつあります。Waymoは米国の都市でライドシェアサービスを拡大しており、Cruise、Mobileye、Aurora Innovationも試験運用を進めています。シンガポールやドバイでは公共パイロットプロジェクトが承認され、規制面での進展が見られます。
投資家の視点:
• 実行の節目:商業化には規制の承認、新都市への展開、既存交通網との統合が鍵となります。日々の乗車数や1マイルあたりのコストが収益性のある水準に近づくかを注視すべきです。
• 信頼性と安全性:世間の認識や事故記録が普及に直接影響します。重大事故が起きれば、規制強化や普及の遅れにつながる可能性があります。
• 経済性:AV車両、充電設備、整備拠点など初期投資が大きく、都市部では収益性が高くなる傾向があります。
• 競争環境:UberやLyftなど既存プラットフォームは外部の自動運転技術を統合することで恩恵を受ける可能性があり、スタートアップは資金調達面で苦戦する可能性があります。中国企業(Pony.ai、WeRide)は地政学的リスクや資本集約性の課題も抱えています。
• プラットフォーム運営:Alphabet(GOOGL)/Waymo、Uber(UBER)、Lyft(LYFT)
• 技術支援:Aurora Innovation(AUR)、Innoviz(INVZ)、Mobileye(MBLY)
• インフラ提供:Blink Charging(BLNK)
• 地域競合:Pony.ai(PONY)、WeRide(WRD)
リスク:事故後の規制強化、責任の所在が不明確な法制度、消費者の信頼、都市部以外での収益性など。特にPonyやWeRideは、中国拠点による地政学的リスクや資金負担の大きさが懸念されます。
2. ドローンと都市型空の移動(UAM)
商業用ドローンは物流、農業、防衛分野に進出しており、UAM企業は電動垂直離着陸機(eVTOL)を次世代交通手段として試験中です。
投資家の視点:
• 認証の壁:FAAの型式認証が不可欠で、これがなければ商業展開は不可能です。
• 収益の見通し:防衛関連のドローン企業(AeroVironment、Kratos)はeVTOLスタートアップよりも安定したキャッシュフローが期待できます。
• 都市での課題:バッテリーの航続距離、騒音、空域統合などが実用化を遅らせる可能性があります。
• 資金調達:eVTOL専業企業は資金消費が激しく、開発期間が延びれば希薄化リスクもあります。
• エアタクシー開発:Joby Aviation(JOBY)、Archer Aviation(ACHR)
• eVTOL参入企業:Lilium(LILM)、EHang(EH)
• 防衛・商業ドローン:AeroVironment(AVAV)、Kratos Defense(KTOS)
• 通信支援:Ondas Holdings(ONDS)
3. 宇宙インフラとサービス
世界の宇宙経済はすでに6,000億ドルを超えており、2035年までに3倍になる可能性があります。打ち上げコストの低下と衛星の小型化により、地球観測、ブロードバンド通信、軌道上サービスなどの分野で新たな機会が生まれています。
投資家の視点:
• 資本集約性:大きな初期投資が必要で、資本力のある企業のみがスケール可能です。
• スケジュールリスク:打ち上げや衛星の開発は遅延しやすく、収益に影響します。
• 政府依存:契約は国家の宇宙予算や地政学的優先事項に大きく左右されます。
• 新興分野:成長が著しいのはロケットだけでなく、分析や通信などのデータ駆動型サービスです。
注目企業(例):
• 打ち上げサービス:Rocket Lab(RKLB)
• 衛星分析:Planet Labs(PL)
• ブロードバンド衛星:Telesat(TSAT)
• 月面サービス:Intuitive Machines(LUNR)
• プライム・コントラクター(元請企業):Lockheed Martin(LMT)
リスク: 資本集約的なプロジェクト、頻繁な遅延、政府契約への依存、軌道混雑(衝突リスクや規制強化)など。
4. 量子技術
量子技術は次世代の計算技術として位置づけられています。実用的な量子コンピュータの実現には時間がかかりますが、量子センシングやポスト量子暗号など、短期的な応用分野も存在します。各国政府は数百億ドル規模の資金を投入しており、戦略的重要性が高まっています。
投資家の視点:
• 時間軸と不確実性:ハードウェアの方式が複数あり、どれが主流になるかは不透明です。
• 資金と収益:多くの企業は収益化前で、外部資金に依存しています。
• エコシステムの成長:企業や政府との連携が収益化前の普及を促進する可能性があります。
• 投機的性質:リターンは大きい可能性がありますが、不確実性が高いため、投資規模は控えめにすべきです。
注目企業(例):
• コンピューティング先駆者:IonQ(IONQ)、Rigetti Computing(RGTI)
• 産業連携:Honeywell(HON)/Quantinuum
• 大手テック企業:Alphabet(GOOGL)、IBM(IBM)
リスク: 商業化までの長期かつ不確実な道のり、資金依存、評価額の変動、量子ビットのスケーリングに関する課題など。
5. 先進的な原子力とエネルギーインフラ
電化、データセンターの拡大、気候目標の達成に向けて、電力会社は送電網の強化に過去最大の投資を行っています。同時に、先進的な原子炉や小型モジュール炉(SMR)が、信頼性の高い脱炭素ベースロード電源として注目されています。
投資家の視点:
• 送電網の需要:電力会社は需要増に対応するため、送電と信頼性向上に向けた設備投資を増加させています。
• 原子力の役割:先進設計は従来型原子炉のコスト超過や工期遅延の課題を克服することを目指しています。
• 燃料供給の課題:SMRの実用化にはHALEU(高濃縮低濃度ウラン)の供給網の拡充が必要です。
• インフラ観点:原子力の展開速度に関係なく、エンジニアリングや建設企業は長期プロジェクトから恩恵を受けます。
• 電力会社/運営企業:Constellation Energy(CEG)、NextEra Energy(NEE)、Duke Energy(DUK)、Dominion Energy(D)
• 燃料・部品:Cameco(CCJ)、BWX Technologies(BWXT)、Kazatomprom(KAP.LN/カザフスタンの最大手ウラン企業)
• エンジニアリング・インフラ:Rolls-Royce(RR.LN/SMR開発)、三菱重工(7011 JP/原子力技術)、Siemens Energy(ENR GY)、ABB(ABBN SW/送電網の近代化)
リスク:コスト超過、プロジェクトの遅延、世論の反対、規制上の障壁、燃料供給の制約などが挙げられます。許認可の取得に関する課題も、送電網の拡張を遅らせる要因となる可能性があります。
結論:未来のフロンティアを軸にポートフォリオを構築する
半導体やAIの次を見据える投資家は、単なる技術名ではなく「エコシステム全体」で考えることが重要です。各テーマには、ハードウェア供給企業からインフラ運営企業まで幅広いバリューチェーンが存在し、勝者と敗者が不均一に分かれる可能性があります。リスクは大きいですが、忍耐強い資本にとっては大きなリターンが期待できる分野でもあります。