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チーフ・インベストメント・ストラテジスト
• 変化ではなく継続性:高市氏のリーダーシップは、財政支援と日銀の忍耐を示しており、日本の成長重視の姿勢が継続されることを意味します。
• 円安と豊富な流動性:ハト派的な政策の組み合わせにより、キャリートレードや世界的なリスク選好が維持され、日本の輸出企業への支援が続いています。
• 選別的な機会:防衛、AI、エネルギー安全保障といった構造的テーマが、日本株の次の成長段階を牽引する可能性がありますが、実行力や政策リスクも伴います。
政策の継続性=安定+刺激策
高市早苗氏の勝利により、日本の政策方向に対する不確実性が払拭されました。日本初の女性首相として、彼女の政策は財政支援と超緩和的な金融政策の組み合わせを継続すると予想されています。
投資家にとって、この継続性は急激な引き締めの可能性が低く、政府と日銀の協調が続くことを意味します。財政支援は、産業競争力、防衛費、イノベーションに重点が置かれる見込みであり、日本の成長を維持するための鍵となります。
ただし、財政の過剰拡大にはリスクがあります。日本の債務対GDP比率は世界でも高水準であり、信頼性のある資金調達計画なしに支出が拡大すれば、長期的な債務の持続可能性に疑問が生じる可能性があります。
特に、産業機械、自動車、半導体製造装置メーカーが恩恵を受けています。しかし、円安が加速すれば、財務省による介入や輸入価格の上昇による家計への圧迫が懸念されます。逆に、急激な円高は利益率を圧迫し、キャリートレードの巻き戻しを引き起こす可能性があります。
日本企業の改革は、最も強力な投資要因の一つです。東京証券取引所によるガバナンス改善の推進、過去最高の自社株買いと配当増加により、上場企業の自己資本利益率が着実に向上しています。
バリュエーションも依然として魅力的です。日経平均株価は予想利益の約21倍、TOPIXは約16倍で取引されており、NASDAQ100(31倍)やS&P500(25倍)などの主要市場よりも割安です。ただし、今後の上昇は為替効果ではなく、実際の利益成長に依存する傾向が強まるでしょう。
とはいえ、改革疲れや政策の迷走が勢いを鈍らせる可能性もあります。投資家は、ガバナンスが強固で、資金管理がしっかりしており、資本還元方針が明確な企業に注目すべきです。
日本の超緩和的な金融政策は、国内市場だけでなく、世界的な流動性環境にも影響を与えています。円が資金調達通貨としての地位を維持する限り、キャリートレードは日本の資本をアジアやその他の高利回り資産へと流す役割を果たします。
このダイナミクスにより、ボラティリティが抑制され、リスク選好が維持されます。ただし、これは非常に繊細な均衡であり、日銀のスタンス変更や米国金利の急上昇があれば、急速な巻き戻しが起こり、世界的な流動性が引き締まる可能性があります。
日本の政策優先事項は、従来の輸出産業を超えた構造的テーマを示しています。次の日本株の成長は、防衛、デジタル変革、エネルギー安全保障に関連するセクターから生まれる可能性がありますが、それぞれに固有のリスクがあります。
支援的な政策環境があるとはいえ、日本の安定性は財政の信頼性、市場の信認、外部要因の微妙なバランスに依存しています。主なリスクは以下の通りです:
• 為替介入:150〜152円を超える急激な円安は、政府の介入を招き、キャリートレードの急反転を引き起こす可能性があります。
• 日銀の政策変更:賃金やサービス価格のインフレが強まれば、イールドカーブ・コントロールの変更があり、債券・株式市場に影響を与える可能性があります。
• 世界的な金利再評価:世界的な債券利回りの上昇は、日本の金利優位性を縮小させ、リスク回避の動きが円高を引き起こす可能性があります。
• 財政規律:信頼性のある財源なしに予算が拡大すれば、投資家の信認が揺らぎ、国債市場のボラティリティが高まる可能性があります。
• 地政学的リスク:地域の緊張やエネルギーショックがサプライチェーンを混乱させ、日本の貿易赤字を拡大し、円にさらなる圧力をかける可能性があります。
日本の物語は、政策の安定性、企業改革、流動性支援という、現在の不安定な世界環境では稀有な組み合わせに支えられています。基本的な見通しは、緩和的な金融政策、選別的な財政刺激策、輸出企業を支える円安傾向の継続です。
しかし、日本株の次の上昇局面は、通貨の優位性だけでなく、防衛、AI、エネルギー安全保障といった構造的テーマによって牽引される可能性が高いです。
投資家が検討すべき選択肢:
• 為替ヘッジ付きの日本株ETF(例:DXJ、HEWJ)で、純粋な利益成長に注目
• 半導体、防衛、産業オートメーションなどのセクターETFやテーマ型バスケット
• ガバナンス、財務健全性、株主還元に優れた企業を狙うアクティブ戦略