大胆予測
キャリートレードの巻き戻しでUSD/JPYが100を下回り、日本に次なる資産バブルが到来
チャル・チャナナ
チーフ・インベストメント・ストラテジスト
チーフ・インベストメント・ストラテジスト
サマリー: 北京(中国政府)は金に裏付けられた人民元を使った貿易決済の仕組みを整備し、米ドル依存からの脱却を図る。
北京は、これまで公表されていた以上に大規模な監査済みの金の保有量を発表し、世界を驚かせます。その保有量は、米国の公式準備高を上回る規模です。さらにその直後、中国はオフショア人民元(CNH)を部分的に金に裏付けられた通貨とすることを発表します。これは、CNH保有者が、あらかじめ提示された交換レート(米ドル/CNH 約5.00)で、実際の金と引き換え可能になることを意味し、発表前の7.00近辺から大きく人民元が切り上がる歴史的な転換点となります。
この「金本位人民元」により、上海・深圳・香港の金庫が新たな国際通貨システムの中心地となります。これは、政府の信用に依存しない、実物資産に裏付けられた通貨という、数十年ぶりの仕組みを世界にもたらします。金本位人民元は、信用格付けや中央銀行の政策、地政学的リスクへの依存を減らし、各国が西側の金融システムに頼らずに貿易や価値保存を行う手段を提供します。
中国はこの制度を慎重に導入します。初期段階では、金に裏付けられた人民元はオフショア市場(香港・シンガポール)でのみ利用可能で、オンショア人民元は引き続き管理されます。制度は金を基軸としつつ、米国債やコモディティなど他の準備資産も組み合わせてボラティリティを抑えるバスケット方式で運用されます。第三者による定期的な監査で金準備が公約通りであることが確認されると、制度への信頼が高まり、中国はCNHと金の即時交換(1日あたりの上限付き)を可能にする完全な兌換性へと移行します。
他国の参加を促すために、中国は湾岸諸国やASEANの中央銀行に対して、人民元と金のスワップラインを提供し、金で決済可能な原油・銅の先物契約も開始します。パートナー国はCNH建てで請求書を発行し、必要に応じて実物の金で受け取ることができるため、米ドルを使わずに貿易が可能になります。多くの国は、利便性と利回りのあるCNH建て債券を保有することを選びます。
制度への信頼が高まるにつれ、エネルギーやコモディティの取引が金本位人民元にシフトしていきます。投資家や各国の準備資産保有者は米国債の保有を減らし、ドルの国際準備通貨としてのシェアは3分の1低下します。
市場への影響:金価格は6,000ドルを超えて上昇し、USD/CNHは5.0を下回ります。米国債は海外からの売りで利回りが上昇します。「金本位人民元」はドルに取って代わるわけではありませんが、ドルの独占的地位を終わらせる、持続的な第2の基軸通貨としての地位を確立します。