大胆予測
キャリートレードの巻き戻しでUSD/JPYが100を下回り、日本に次なる資産バブルが到来
チャル・チャナナ
チーフ・インベストメント・ストラテジスト
グローバルマクロ戦略責任者
サマリー: アメリカの民主主義プロセスに深刻な脅威があったにもかかわらず、米国の中間選挙は穏やかに終わり、民主党が下院を獲得する。
2026年11月の米国中間選挙に向けて、全米の赤い州(共和党優勢)と青い州(民主党優勢)の双方が、下院の議席数を増やすために選挙区の線引き、いわゆる「ゲリマンダー」に奔走します。下院は2年ごとに全435議席が改選されるため、各州が主導権を握ろうと激しい動きを見せます。最終的に、2026年の中間選挙では、政権与党に対する典型的な逆風が吹き、民主党がわずかな差で下院の支配権を獲得します。議席の純増は約10議席程度にとどまるものの、下院の主導権を握る結果となります。一方、上院は共和党が引き続き多数派を維持しますが、その差は縮小し、スイング票を持つ2人の上院議員が政策決定における「キングメーカー」として影響力を持つことになります。
最も重要なのは、両党の政治家たちの振る舞いが国民の間で大きな怒りを引き起こすことです。無党派層―アメリカで最大の有権者層―が主導する大規模なキャンペーンが展開され、全米の選挙区を公平に再編成するための新たな委員会の設立が実現します。この委員会には、2028年の大統領選および議会選挙に間に合うよう、新たな選挙区地図を作成する任務が与えられます。
同時に、多くの人々が、絶望的で機能不全に陥ったように見える党派対立が、実はSNSのアルゴリズムによって人工的に煽られていたことに気づき始めます。怒りを煽る投稿や「自分に都合の良い現実」を選べるような情報環境が、分断を助長していたのです。さらに、AIによって生成された大量の低品質なコンテンツやディープフェイクがSNSへの信頼を一層損ないます。その結果、バランスの取れた信頼できる少数の情報源に注目が集まり、視聴者が急増します。アメリカ国民は、自らの行動傾向や、Meta、TikTok、Googleといった企業のアルゴリズムにどれほど操作されていたかを振り返り、恥ずかしさを覚えるようになります。
このようにして、2026年の中間選挙は、米国の制度の健全性と建設的な議論の重要性に対する新たな共通認識を生み出し、より大きな団結と礼節を重んじる流れを生み出すきっかけとなります。トランプ氏は相変わらずのスタイルを貫きますが、アメリカはすでに次の段階へと進み始めており、共和党内の結束も徐々に崩れ、米国は「ポピュリズムのピーク」を越えて移行していくこととなります。
市場への影響: 米国債の価格上昇(利回り低下)、ソーシャルメディア株・暗号資産・金・銀の下落が見込まれます。