大胆予測
未熟なAIの導入が、1兆ドル規模の修復コストを招く
ヤコブ・ファルケンクローネ
グローバル投資戦略責任者
Saxo Group
ジェイド・リザードとは、中立(レンジ相場)からやや強気の相場環境に適したオプション戦略であり、以下のオプションのポジションで構成されます。
この戦略の最大の特長は、受け取るプレミアムの合計額が、コールスプレッドの幅(権利行使価格の差)を上回る必要がある点です。この条件を満たすことで、仮に原資産価格が急騰したとしても、損失が受け取ったプレミアムで相殺され、最悪の結果でもプラスマイナスゼロか、わずかな利益を得ることができます。
ジェイド・リザードは、プットオプションの売りとコールスプレッドを組み合わせることで、プレミアムを得ながら、上値リスクをコール買いで限定するオプション取引戦略です。通常、やや強気の相場観で使用され、無制限の損失にさらされることなく、プレミアムの獲得を目指します。
プットを売ることでプレミアムを受け取り、株価の上昇を期待します。なぜなら、原資産が権利行使価格より上にとどまれば利益になるからです。ただし、「ターゲットバイイング(=キャッシュセキュアードプット)」と同様に、原資産を買う義務がありますので、原資産を購入するのに必要な現金を用意しておく必要があります(=キャッシュセキュアード)。もし原資産が満期に権利行使価格を下回った場合や、早期に権利行使を受けた場合には、株を買わなければなりません(割当)。
例:株価が100ドルの銘柄があるとします。ここで以下のようにジェイド・リザード戦略のポジションをとったとしましょう。
受け取ったプレミアムの合計:$3.00 + $2.00 - $1.00 = 4.00ドル
この例では、コールスプレッドの幅は 5ドル($110 - $105$)です。残念ながら、この例では、受け取ったプレミアム(4.00ドル)はコールのスプレッド幅(5ドル)よりも少ないため、損失を完全に排除はできていません。
仮に株価が110ドルを超えて上昇した場合でも、コールスプレッドから生じる最大損失は受け取ったプレミアムによって相殺され、わずかな利益または損益ゼロになります。この構造により、上値リスクを限定しつつ、インカムゲインを狙う投資家にとって効果的な戦略といえるでしょう。
トレーダーは、以下のような期待を持つ場合にこの戦略を選択します。
ネイキッドショートストラングルとは異なり、ジェイド・リザードは上昇方向の損失無限大のリスクを制限しているため、証拠金(マージン)の観点からも管理しやすくなります。
ジェイド・リザード戦略はオプションの売りを伴うため、予想変動率 (IV) の低下から、また、時間が経過するにつれてオプションの価値が失われる時間的減衰(セータ)からも恩恵を受けます。
ほとんどの証券会社では、「ターゲットバイイング(キャッシュセキュアードプット)」と同様に、プット売り(による株式の引き受け)をカバーするために株式購入代金相当の現金を要求されます。プット売りは全額担保が必要ですが、コールスプレッドはリスク(最大損失額)が明確に限定されているため、通常、単独のコール売りよりも少ない証拠金で済みます。このように証拠金や用意するべき現金などの制度を正しく理解することは、資金を安全かつ効率的に使うために極めて重要です。
ジェイド・リザード戦略は、ポジションの形が独特であることから、他の一般的なボラティリティ売り戦略(オプションの売りから利益を得る戦略)とは異なるリスクとリターンの特徴を持っています。
ジェイド・リザードが類似のオプション戦略との違いを理解することは、その戦略をとる際に役立ちます。
| 戦略名 | リスク・プロファイル | 収益性 | ボラティリティ・スタンス |
|---|---|---|---|
| ジェイド・リザード | 上値リスクは限定、下値リスクは限定されていない | プレミアム大 | ボラティリティ売り |
| アイアン・コンドル | 両側のリスクが限定 | プレミアム小 | ボラティリティ売り |
主な違い: ジェイド・リザードは下値リスクを限定していないため、アイアン・コンドルよりも多くのプレミアムを得ることができます。
| 戦略名 | リスク・プロファイル | 収益性 | ボラティリティ・スタンス |
|---|---|---|---|
| ジェイド・リザード | 上値は限定、下値は限定されていない | コンドルよりはプレミアムが多い | ボラティリティ売り |
| ショート・ストラングル | 両側が無制限リスク | リスクは高いが、リターンも高い | ボラティリティ売り |
| ショート・ストラドル | 最もリスクが高い(ATMのリスク) | ハイリスクハイリターン | ボラティリティ売り |
主な違い: ジェイド・リザードは上昇方向の無限大の損失リスクを限定しており、上昇方向に関してはショート・ストラングルやストラドルよりも安全といえます。
オプション取引におけるいわゆる「ギリシャ指標」を理解することは、投資家がオプションのポジションのリスクを管理し、効果的に調整することに役立ちます。
ジェイド・リザードは、レンジ相場からやや上昇する場面で機能するオプション戦略であり、リスクを管理しながらインカムゲインを生み出すように設計されています。ボラティリティ売り戦略の側面からは、IVの低下により利益を得るため、高IV環境で満期日までの期間(DTE)が30〜60日のときに最も適しています。
この戦略は、次の2つの要素から構成されています:
ジェイド・リザードを構築する上での最も重要な点は、受け取るプレミアムの合計がコールスプレッドの幅を超えるようにすることです。これにより、原資産が大きく上昇した場合でも利益を上げることが可能になるのです。
投資家は、オプションの想定する原資産の変動率よりも実際の原資産変動率が低下すると予想するときにこの戦略を使用します。オプションの売りは時間的減衰とボラティリティの低下から利益を得ることができるからです。
ポジションの構造、リスクの特徴、およびこの戦略の機能する理想的な市況をしっかりと理解すれば、ジェイド・リザードを効果的に活用でき、上値リスクを制御しながら安定した収益をあげることができるでしょう。