大胆予測
キャリートレードの巻き戻しでUSD/JPYが100を下回り、日本に次なる資産バブルが到来
チャル・チャナナ
チーフ・インベストメント・ストラテジスト
チーフ・インベストメント・ストラテジスト
明確な信任:自民党は単独で衆院の3分の2を確保し、高市首相に強力な政策遂行の余地が生まれた。
財政刺激は高い可能性:我々の基本シナリオでは、財政刺激策は実施されるとみている。ただし市場は「的を絞り、期限を区切り、財源を伴う」施策を好感。
市場環境:明確さにより株式は短期的に支えられる見込み。JGB(日本国債)カーブは当初スティープ化、その後はフラット化の可能性。円は財政規律と日銀の対応に敏感。
日本の衆議院解散総選挙は明確な結果をもたらしました。自民党が衆議院465議席のうち単独で3分の2を獲得しましたが、これは同党として過去に例のない規模の勝利です。
日本維新の会を含む与党勢力は300議席を超え、参議院での拒否権行使も覆すことができる水準です。全体として、この圧倒的な勝利により、高市首相は強い信任を得て、政策運営の自由度が大幅に広がっています。
決定的な選挙結果は、政治的不確実性を低下させるため、短期的には市場にプラスの影響をもたらしやすいです。いわば「確実性プレミアム」です。
私たちの基本見通しでは、財政刺激策の実施が見込まれています。そもそも今回の解散は、国内政策を加速させるための強い信任を得ることが目的であったと考えられます。
総合的には、市場にとってプラス材料がマイナス材料を上回る可能性が高いです。スーパーマジョリティ(絶対安定多数)は、減税、財政政策、防衛政策、産業政策における政策余地を広げる一方で、政策の一貫性や柔軟性を高め、サプライズを減らす効果もあります。
中期的に注視すべき点は、刺激策が「ターゲットを絞り、期限が決まっていて、財源がある」市場フレンドリーなものになるか、それとも「上限なく拡張的」な形になり、財源・債務動態・地政学的リスクの懸念を高めるかです。
強い信任があることで、政府はより迅速に、妥協を減らしながら政策を進めることができます。これは政策運営がより明確で一貫性のあるものとなり、市場にとって好材料となり得ます。
ただし、圧勝は両面性があります:
より積極的な財政・安全保障政策を後押しする可能性があります(国債発行、債務持続性、リスクプレミアムへの懸念が生じます)。
または、安定した立場を利用して、より実務的かつ中庸な政策運営に向かう可能性があります(市場が敏感に反応する提案を抑制し、支持率維持を重視する動機が強まります)。
政治の明確化と強い信任は、短期的にリスク選好を支えるため、株式市場に安心感による買いが入りやすいです。
高市首相の優先政策から考えると、財政刺激の対象としては:
防衛
AI・デジタルインフラ
半導体
戦略サプライチェーンや重要鉱物(レアアース関連など)
といった投資主導の成長領域が挙げられます。
また、経済・国家安全保障を強化するための幅広い支出も見込まれます。
ただし、株式市場の上昇が持続するかどうかは国債市場に左右されます。財政関連の見出しがJGB、特に超長期ゾーンのボラティリティを再び高める場合、株式市場は全面高からセクターローテーションに変わる可能性があります。
その場合:
• 政策恩恵セクター(防衛、戦略的設備投資、国内投資テーマ)は相対的に堅調です。
• 金利に敏感で、長期成長を見込む銘柄は利回り上昇時に出遅れやすくなります。
選挙結果が政策の一貫性を高め、予想外の譲歩を減らす場合、国債にとってはプラス材料になり得ます。
しかし最大のリスクは、強い信任を背景に「財源の裏付けが弱い大規模な財政拡張」へ進むことです。
市場が「大きな支出、しかし財源不透明」と受け止めれば、30〜40年といった超長期ゾーンにストレスが最初に現れる可能性があります。
私たちは、高市首相の政策ミックスから、当初は国債カーブがスティープ化すると見ています(長期金利上昇、短期金利は安定)。実際、月曜朝には30年国債利回りが上昇し始めています。
ただし、このスティープ化は長続きしない可能性があります:
• 刺激策や減税で発行が増えても、政府は超長期債の増発を避ける可能性
• 発行が短期〜中期に偏れば、短期金利が上昇しカーブがフラット化
さらに円安もフラット化要因となります。
円安が物価を押し上げれば、日銀が市場予想以上に利上げする可能性が高まり、短期金利を押し上げるからです。
円相場を動かすのは政策ミックスです。
円安リスク:
選後のメッセージが「財源なき減税」「国債増発」への懸念を再燃させる場合、円は弱くなりやすく、「160円」議論が再び出てくる可能性があります。
安定シナリオ:実務的な姿勢、財政規律、ターゲットを絞った支援、明確な財源が示されれば、円は安定に向かい、ボラティリティも低下します。
• 財源不透明の大規模な財政政策
• 積極的な安全保障政策
今回の結果で「誰が政権を握るのか」という疑問はなくなりました。市場が注目しているのは「その政権がどう動くのか」という点です。スーパーマジョリティが、規律的な政策遂行につながるのか、それとも大胆でスピード感のある財政拡大に向かうのかが焦点になります。