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アナリスト/アセンダント代表
サマリー: FOMCにおいて3月利上げ開始を示唆するなど市場のコンセンサスに寄せてきた感のある声明となりましたが、金融政策の温度差から米ドル買い・ユーロ売りという動きが見られました。それ以上に最近のウクライナ問題は地政学的なリスクとしてユーロ売りの材料となっています。今週はウクライナ問題も考えつつ、ユーロドルの今後を見ていきます。
ユーロドル(EURUSD)は、11月に1.11851と中期的な底をつけ、さらに12月のもみあいの高値圏を上抜けたことからテクニカルな買いも見られ、1月14日には1.14820と1.15の大台に迫る強い動きとなっていました。しかしそれ以降、ウクライナ情勢の緊迫を受け地政学的リスクからユーロドルは急速に値を崩す展開となっています。
ウクライナ問題は古くから続くロシアとウクライナの間での政治的な問題が背景となっていますが、近年のウクライナ国内では2004年のオレンジ革命以降は常に親ロシア派と親欧米派との衝突が繰り返されている状況です。2014年のロシアによるクリミア自治共和国の併合は記憶に新しいところですが、それ以降ロシアはウクライナを旧ソ連の同盟国として一体を主張し、いっぽうで西側諸国はいまだに併合を国際法違反と認めていません。
今回のウクライナ問題は、そうした中でNATO軍が着実に東方拡大を進め、ウクライナとグルジア(ジョージア)が保留状態と既にNATO寄りに動いていることにロシアが警戒し、ウクライナとの国境軍を増強、いっぽうで米軍も東欧への大規模な援軍を派遣と、一歩間違えたら冷戦終了後初の米国とロシアとの紛争に発展するリスクが高まっています。
地政学的に欧州に近く、しかもNATO軍が直接的な原因となっていることがユーロ安への転換へとつながり、昨夜のFOMCにおける利上げとバランスシート縮小の前倒し示唆によるドル買いの動きと相まってユーロは現在主要通貨では最弱の立場になってきたと言えます。
米国とロシアとの協議も継続しているとは言うものの、どちらも一歩も譲らず最善の結果として、ウクライナでの直接的な戦闘を避ける合意程度に留まり、ロシアが主張するような東欧地域からのNATO軍撤退はあり得ない提案となっています。いますぐに衝突が起きることは考えにくいものの、しばらくは地政学的リスクとしてユーロの上値を抑えることとなるでしょう。
テクニカルには週足チャートをご覧ください。
以前のユーロドルはFRBの緩和終了とECBの緩和継続という温度差もあり上下しながらもユーロ売り・ドル買いが続き、テクニカルには青いレジスタンスラインの下での推移となっていました。そして11月下旬からは下降トレンドの調整としてピンクの平行線で示したフラッグを形成、コンティニュエイション(継続)パターンとしてフラッグの下抜けは以前のトレンドの継続につながります。
既にコロナショック後の安値とその後の高値の61.8%押しは達成していることから、次のターゲットとしては76.4%押しと重なる1.10の大台を視野に入れる展開が考えられます。米国とロシアとの協議の行方を見つつもユーロドルは中期的な一段安のトレンド入りを再開したと見てよさそうです。