ウィークリー・アップデート:サクソのテーマバスケット別投資パフォーマンス

ウィークリー・アップデート:サクソのテーマバスケット別投資パフォーマンス

株式
Peter Garnry

Chief Investment Strategist

サマリー:  当社の中国株バスケットは先週約5%下落しました。これは、中国での新型コロナウイルス感染者数が再び急増する中、厳格なゼロコロナ政策を転換することがますます難しくなっているためです。また、アップルとiPhoneの主要製造拠点を含む、国内の複数の場所で抗議活動が起こっています。一方、防衛バスケットは先週3.8%上昇し、その勢いを維持しています。このパフォーマンスから、防衛バスケットが今年最もパフォーマンスの高いバスケットとして年末を迎える可能性があります。先週、防衛バスケットで最も上昇したのは、ロールス・ロイスとレオナルドでした。


中国は引き続き世界と異なる動き

先週、当社の株式バスケットの中で最も大きな外れ値を示したのは、2つの中国株バスケットで、それぞれ4.5%と5%下落しました。これは新型コロナウイルス感染者数の増加により、中国は順調に経済を再開させることが可能であるというシナリオが損なわれたためです。先週、主要製品であるiPhoneを生産するアップルの最大の工場を含む、中国のさまざまな場所で抗議デモの発生が増加しました。このため、セルサイドはiPhoneの生産量見通しを下方修正し、投資家はアップルのサプライチェーン・リスクに対する懸念を強めました。中国の「ゼロコロナ政策」に対する抗議は週末も収まらず、このことは今週も引き続き市場に影響を与えるでしょう。

中国株を過去にさかのぼって長期的に見てみると、2010年初頭から悲惨な時期が続き、米ドルベースのトータルリターンでMSCIワールドを年率7.9%も下回っています。しかし、とりわけ2021年半ばからは不動産部門が問題を抱える中、中国経済が厳しい調整局面を迎えており、さらに現在は厳格なゼロコロナ政策による混乱が続いているため、著しく困難な時期となっています。「共同繁栄」政策は、パンデミック発生以来、非常に低迷している中国の企業部門の収益性に引き続き逆風となるため、当社は長期的に、中国株のアンダーウエイトを維持しています。
MSCI China vs MSCI World (total return USD terms) | Source: Bloomberg

防衛関連株は高値で年末を迎えられるか

ウクライナ戦争をめぐる欧州の地政学的情勢が引き続き軍事費を押し上げるため、防衛バスケットは先週3.8%上昇し、最も好調なバスケットとなりました。年末まで残り1か月となり、先週は中国の国境再開シナリオが崩れてしまったため、商品には圧力がかかる可能性があり、防衛株がさらに勢いを増せば、最もパフォーマンスの高いテーマバスケットとして年末を迎えられるかもしれません。

先週、防衛関連銘柄の中で最もパフォーマンスが良かったのは、ロールス・ロイスとレオナルドで、それぞれ7.5%と6%の上昇となりました。ロールス・ロイスは、10日前にS&Pの格付け見通しが安定的からポジティブに引き上げられ、足元のキャッシュフロー創出能力が改善しつつあることが示唆されました。レオナルドは、第3四半期の好決算の追い風を引き続き受けており、第4四半期は、投入コストに対してインフレ圧力が加わっているとはいえ、防衛およびヘリコプターセグメントが再び好調に推移することが、業績を支えると思われます。

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