決算ウォッチ、歴史的な株価調整、ARKのパフォーマンス
サマリー: 今回の記事では、4月18日からの週の最も重要な決算発表と、それが重要である理由を説明します。第1四半期決算の最大の注目点は、原材料価格と物流コストの高騰、そして最近の賃金上昇の中で圧迫されてきた利益率の動向です。また、コモディティと比べた株価の動きにも注目します。コモディティに対する株価は既に高値から28%下落しており、2008年7月以来最も大幅な株価調整の動きとなっています。さらに、キャシー・ウッド氏が最近、ARK Innovation ETFの過大なリターン予想を打ち上げたことから、このファンドについても取り上げ、Nasdaq 100と比べたパフォーマンスを見ていきます。
重要な決算発表ウィーク
4月11日からの週に決算発表シーズンがスタートし、米国の金融機関の決算が発表されましたが、業績は強弱まちまちでした。JPMorgan Chaseの決算では、予想外にクレジット供与が急増し、クレジットサイクルが転換した可能性が高いことが示されました。18日からの一週間には、以下のような最も重要な決算発表が目白押しです。
- 火曜日: Shenzhen Mindray Bio-Medical, Johnson & Johnson, Netflix, Lockheed Martin, IBM, Halliburton
- 水曜日: China Mobile, China Telecom, ASML, Heineken, ASM International, Sandvik, Tesla, Procter & Gamble, Abbott Laboratories, Anthem, CSX, Lam Research, Kinder Morgan, Baker Hughes
- 木曜日: Contemporary Amperex Technology (CATL), Sartorius Stedim Biotech, Nidec, Investor AB, ABB, Danaher, NextEra Energy, Philip Morris, Union Pacific, AT&T, Blackstone, Intuitive Surgical, Freeport-McMoRan, Snap, Dow, Nucor
第1四半期の決算発表シーズンに注目すべき主要なテーマは、繰り越されてきた純利益率の動向です。MSCI WorldとS&P 500の速報値では、投入コストが上昇する中で、利益率が低下し続けていることが示されています。もしNasdaq 100が高い純利益率を長期的に維持することができ、現在のコモディティと賃金のインフレサイクル中の利益率の圧縮も少なければ、この株式グループでは、PERが上昇する可能性があります。
最も重要な決算発表とその理由:
- Netflix - テクノロジー企業の中で最初の決算発表となります。競争環境が一段と激化し、加入者数の伸びは鈍化しています。Netflixは第1四半期の新規加入者数が250万人になるとの見通しを示してきましたが、これはパンデミック以前の第1四半期の水準を大きく下回っています。2022年には、ロシアでのサービス停止でさらに逆風が強まる見込みです。
- Halliburton – 米国のプレマーケット中に既に決算を発表し、売上高とEPSが予想を上回ったことを明らかにしました。欧米がロシアのエネルギーへの依存から脱することを目指すのに伴い、理論上は石油・ガス掘削分野は今後拡大する見通しであり、世界最大の石油・ガスサービス企業であるHalliburtonは、すぐにこの需要増加の影響を受けるはずです。
- ASML – 半導体のサプライチェーンは、様々な業界からの過剰な需要のために、依然として滞っています。また、米国および欧州では、ウクライナでの戦争後に地政学的リスクとなった台湾への依存度を低下させることを目指し、国内の半導体製造への投資が急速に拡大しています。
- Tesla – 世界最大の電気自動車専業メーカーである同社は、この週の最も重要な決算発表ですが、多くの懸念材料があります。中国のロックダウンや世界的な自動車部品の不足により生産は制限されています。RivianのCEOは最近、電気自動車メーカーが間もなく劇的なバッテリー不足に直面するとの見方を示しました。リチウムとアルミニウムの価格高騰により、Teslaはこのところ何度も値上げを余儀なくされており、これが需要にどの程度影響を及ぼしたかが問題となります。
- CATL – 世界最大のバッテリーメーカーであり、Teslaおよび中国の電気自動車メーカーへの主要な供給元です。同社は2021年通年の業績を発表しますが、最も注目すべきなのは2022年の業績見通しです。アナリストは2022年の売上高を88%増と予想しています。中国でのロックダウンを踏まえ、同社の決算発表で、電気自動車の重要なサプライチェーンの動向を垣間見ることもできると期待されます。
- ABB - 欧州最大の産業用オートメーション企業の一つです。同社の決算は、欧州の産業セクターの需要動向や、エネルギーと原材料の価格高騰が生産に及ぼしている影響に関する判断材料になります。
- NextEra Energy – グリーントランスフォーメーション銘柄である同社は最近、急騰しました。ウクライナでの戦争後、欧米諸国が再生可能エネルギーの生産拡大を含め、エネルギー面でのロシアからの自立を目指していることを背景に、投資家がこれらの銘柄に再び注目するようになったからです。
- Snap – ソーシャルメディアの決算発表シーズンの皮切りとなります。前四半期には、同社は予想を上回る業績を達成し、成長力の点で明らかな勝ち組となりました。今回も再びそうなるのでしょうか?
コモディティに対する株価は14年ぶりの大幅下落
株価は常に上昇するものだ、と言われてきました。実際、株式は長期的にはプラスとなる傾向が最も大きい資産クラスです。しかし、世界経済にインフレが広がる中、当社のリサーチ記事で説明してきた多くの理由から、株式市場の状況は変わりつつあります。株式は、成長性、生産性、確信性を価格に織り込む名目資産クラスです。一般に名目上の株価の軌道は上向きであり、これが破られるのは時々起こる景気後退期だけです。しかし、インフレ率が高いならば、投資家として現実的に考えるべきなのは実質ベースの株価だということです。コモディティとインフレ率が通常通り動いている時は、名目ベースと実質ベースについて議論するべき理由はありませんが、今はその議論が非常に重要な時です。コモディティに対する株価の調整がこれほど大幅になったのは、2008年7月以来のことです。過去12ヶ月間で世界株式はコモディティに対して26%下落し、2020年11月に付けた相対トータルリターン指数の高値からは28%下落しています。コモディティと株式には一般に正の相関がありますが、最近はこの相関がゼロに近づいており、株式にとってコモディティが優れた分散資産になっていることを示しています。投資家は、ポートフォリオを構築する際、この点を考慮すべきだと思われます。
ARK InnovationのパフォーマンスはNasdaq 100以下
Ark Investの創業者兼CEOのキャシー・ウッド氏は最近、ARK Innovation ETFファンドを強化し、今後5年間で年率50%のリターンを見込んでいると話しました。別のインタビューでは、ARK Innovationファンドは5年間にわたりアウトパフォームしたと同氏は述べています。これは事実ですが、期間に関してはいいとこ取りの発言です。我々は通常、ファンドマネージャーについてコメントすることはありませんが、Saxoにはキャシー・ウッド氏のファンドに投資したお客様が多いので、我々にはそのような高い期待に応える義務があると感じています。
年換算で50%ものリターンは過去に例を見ない数値であり、それが実現すれば、最高の幸運か真の天才かというほどの大変な異常値であることに注意すべきです。2014年の設定以来、ARK Innovation ETFの年換算リターンは16.8%となっています。破壊的な革新が加速することに言及したことを除けば、リターンが突然、これまでの3倍になる理由については、現実的な根拠は一切ないのです。革新の加速がどのように測定されるのかを議論しようとする人もいません。また、ARK Innovation ETFの設定来のパフォーマンスは、Nasdaq 100に連動する低コストのETFを年率で1.8ポイント下回っていることにも注意が必要です。言い換えると、アルファもアウトパフォーマンスもなく、リスク調整後では尚更だということです。