前週の市場総括と今後の展開
2025年5月5日 (2025年4月28日~5月2日の週の振り返り)
主な概況
- 株式は、堅調な収益と貿易摩擦の緩和により、力強く上昇しました。
- VIX指数のボラティリティは着実に低下し、市場センチメントの改善を示唆しています。
- ビットコインは、ETFへの力強い多額の資金流入により、95,000ドル前後で安定していました。
- 米国債利回りは、4月の好調な雇用統計を受けて急上昇しました。
- OPEC+が需要懸念の中で増産したため、原油価格は大幅に下落しました。
- 米ドルは円とユーロに対して強さを示しました。これは、アジアの通貨で見られる大きな動きとなっています。
市場の概要(2025年4月28日〜5月2日)
主なニュースと動向
市場は、特にテクノロジーセクターの堅調な収益と、世界貿易摩擦をめぐる懸念の緩和に牽引され、力強い勢いとなりました。米国の雇用統計による好調な経済データが市場の楽観的な見方を押し上げ、ボラティリティは大幅に低下しました。今週は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定と主要な企業収益発表が注目されます。
株式
グローバル株式は、特にハイテク大手のMicrosoft(4月30日発表、市場の引け後に+6%の株価上昇)とMeta(4月30日発表、四半期利益+35%の増加)の堅調な企業収益に支えられ、力強い上昇を見せました。Appleの株価は、5月2日の決算発表後、関税と中国での販売の減速の影響を受けて、4.2%下落しました。Amazonも、関税による圧力を理由に、今後予測される課題について発表しました(5月2日)。欧州株は、市場が米中間の緊張の緩和を期待したことから、STOXX50が+2.42%と急上昇しました(5月2日)。
ボラティリティ
ボラティリティは大幅に低下し、VIXは5月2日に22.68(-7.8%)に低下し、市場の不安が薄れたことを示唆しました。しかし、トレーダーは、予想されるFRBの利上げ決定や重要な決算発表を前に、依然として慎重な姿勢を崩していません。
デジタル資産
ビットコインは、機関投資家向けETFの購入が続いていることに支えられ、95,000ドル付近で安定しました(5月2日)。イーサリアムは、小幅な上昇で回復力を示しました。Coinbase(+1.8%)やMicroStrategy(+3.35%)などの暗号資産関連株は、前向きな市場の心理と資金流入の恩恵を受けました。
債券
米国債利回りは急反発し、4月の雇用統計が予想以上に好調だったことを受けて、5月2日には10年債利回りが4.31%に上昇しました。ハイイールド債のクレジット・スプレッドは、市場のリスク選好が堅調であることを反映して、大幅に縮小しました。
商品
ブレント原油は、OPEC+の増産と世界的な需要懸念の影響を受け、61ドル(5月2日)付近で4年ぶりの安値まで下落しました。金価格はやや下落し、市場のボラティリティが減少し、米ドルが上昇する中、3,200ドル前後で安定しました。
通貨
米ドルは対円で堅調に推移し、日銀のハト派的なスタンスにより、5月2日には145.92円まで上昇しました。アジア市場では大きな為替変動が起こり、特に5月2日には台湾ドルが対米ドルで6%急騰し、アジアの外国為替市場のボラティリティが高まったことを反映した動きとなりました。
今週のイベント(2025年5月5日〜9日)
- 月曜日: Palantir、Vertex Pharmaceuticals、Fordの決算発表。米ISM非製造業景気指数(4月)、米PMI(購買担当者景気指数)(4月、確報値)。
- 火曜日: AMD、Ferrari、Arista Networksの決算発表。米・貿易収支(3月)。
- 水曜日: 米・FRB政策金利決定(FOMC閉会日)、Uber、Disneyの決算発表、米・消費者信用残高(3月)
- 木曜日: Shopify、Coinbaseの決算発表、米・新規失業保険申請件数(04/27-05/03)。
- 金曜日: ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ(John C. Williams)総裁などを含むFRB高官の発言。
投資家は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定と主要な企業収益が市場を大きく動かす可能性が高いことから、ボラティリティが続くことを覚悟する必要があります。マクロ経済データの発表と地政学的な動向に注目することは、情報に基づいた取引を行う上での決断にとって非常に重要です。