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前週の市場総括と今後の展開 - 2025年6月30日

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コーエン・ホーレルベケ

オプション戦略責任者

注:当記事はマーケティング用の資料です。

前週の市場総括と今後の展開

2025年6月30日(2025年6月23日~27日の週の振り返り)


主なニュースと動向

米国とイランの緊張が緩和され、貿易関係に対する楽観論が高まり、FRBの利下げ期待が強まる中、世界の市場は過去最高を記録し、ボラティリティは著しく低下しました。ハイテク株はアウトパフォームしましたが、エネルギーとコモディティは原油価格の急落を受けて出遅れました。暗号資産は機関投資家の流入により安定しました。投資家は現在、米国の雇用データ、トランプ大統領の財政計画、進行中の貿易交渉に注目しています。
投資家が国の政策と企業の決算発表を世界的なリスクと比較検討したため、自信を取り戻した週となりました。

株式

  • 米国: S&P 500は6月27日(金)に過去最高の6,141 (+0.8%) を記録し、ハイテク株と銀行株(JPモルガン・チェース/JPM、ゴールドマン・サックス・グループ/GS)が上昇を牽引しました。週明けには、エヌビディア/NVDA(+4%、6月25日)、テスラ/TSLA(+8.2%、6月24日)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ/AMD(+6.8%、6月24日)がナスダックを押し上げ、停戦への期待とFRBから発せられるシグナルがセンチメントを押し上げました。エネルギーは、原油価格が20%下落する(6月24日)などして、出遅れました。
  • 欧州:ドイツDAX指数(+0.64%、6月27日)とユーロ・ストックス50 (STOXX50)指数(+1.5%、6月27日)は、新貿易協定とECBの政策への期待に支えられた防衛(ラインメタル/RHMG、+7.3%)と資本財・サービスセクターに牽引され、上昇しました。
  • アジア:日経平均株価指数(+1.6%、6月27日)は、ハイテク株が反発し、5カ月ぶりの高値を付けました。香港株式と中国株式は堅調に推移し、韓国総合株価指数(KOSPI)は週明けに上昇した後、利益確定に転じました。
  • 英国: FTSE100指数は小幅高(+0.7%、6月27日)で取引を終え、JDスポーツ・ファッション/JD(+6.6%)とBAEシステムズ/BA(+3.8%)が好調でした。ディフェンシブ銘柄と鉱業株が恩恵を受けた一方で、小売業のセンチメントは低調に推移しました。
  • 株式市場のモメンタムは、ハイテク株の強さ、政策関連のニュース、地政学的な懸念の緩和により牽引されました。
     

    ボラティリティ

    市場のボラティリティは急激に低下しました。VIX指数は、戦争やインフレに対する懸念が薄れたため、6月27日の終値は16.3で、週明け(6月24日)の19.8から低下しました。下振れリスクに対するプロテクション(保護)の需要は減少しており、ほとんどの投資家が既存のヘッジポジションをロール(満期日が到来する前にポジションを決済し、次の限月以降のポジションに乗り換え)しています。穏やかな市況により保険料は魅力的な水準となっていますが、大きなイベントがまだ先に控えています。
    今のところ、市場は落ち着いているように見えますが、投資家はボラティリティがすぐに戻る可能性があることを覚えておく必要があります。


    デジタル資産

    ビットコインは107,500米ドル前後(6月27日)で推移し、より広範なリスク資産で回復しました。機関投資家の資金流入は続き、ブラックロックのiShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)は運用資産総額700億ドルを超え、iShares Ethereum Trust ETF(ETHA)も年初来で27%減少したにもかかわらず、新たな需要を集めました。イーサリアムは2,437米ドルで取引されました(6月27日の終値)。リップル社は、同社が米国証券取引委員会(SEC)との法廷闘争を終結するべく控訴取り下げの手続きを進めているとの最近のニュースを受けて新たな関心を集めました。インベスコキャピタルマネジメント社は、ソラナの現物価格に連動するETF(Invesco Galaxy Solana ETF)の登録申請をしました。マイニングは、Tether社やHut 8社のような大手事業者によってますます支配されています。
    デジタル資産は、従来の金融市場と暗号市場が合流し収束し続けるにつれて、勢いを増しています。

    債券

    米国債利回りは、利下げへの見方が強まったため、数週間ぶりの低水準に低下しました。10年債利回りは4.24%(6月27日)に達した後、4.26%に反発しました。2年債のベンチマーク利回りは、FRB議長に関する憶測で3.71%に下落し、その後3.74%に回復しました。ドイツの10年物国債利回りは、迫り来る財政拡大を反映して、1カ月以上ぶりの高水準に上昇しました。
    債券市場は、中央銀行から発表されるガイダンスの展開とマクロ経済見通しの変化に適応しつつ推移しています。


    商品

    商品市場は急落しました。原油は、中東情勢に関するリスクの緩和(6月24-27日)により9.7%下落しました。穀物は、好ましい天候が供給見通しを押し上げたため、5.2%下落しました。金はドル安にもかかわらず2.2%下落し、プラチナと銅は週明けに好調なパフォーマンスを示した後、失速しました。トレーダーは現在、新しい取引とOPEC+のニュースに注目しています。
    今週の商品市場の動きは、世界のセンチメントと供給懸念がいかに急速に変化するかを示しています。


    通貨

    米ドルは幅広く下落し、利回りの低下と貿易関係に対する期待により、米ドル円(USDJPY)が144.00(6月27日)を下回った後、円は今週最も強く上昇しました。ユーロ/米ドル(EURUSD)は一時1.17ドルを突破しました。ノルウェークローネ(NOK)とカナダドル(CAD)は顕著な動きを見せ、ノルウェークローネ(NOK)は原油価格の低迷で弱含み、カナダドル(CAD)はカナダがデジタル税を廃止したことで上昇しました。
    為替市場は、週を通して発表された金利の予想と貿易政策に関するニュースの見出しの変化を反映する形で推移しました。


    主なポイント

    • 米国と欧州の株式は、ハイテク株とディフェンス銘柄が牽引し、過去最高値を更新しました。
    • ボラティリティの低下:VIXは16.3で、オプションのダウンサイドリスクに対する保険料(プレミアム)が安くなりました。
    • ビットコインは安定しています; iShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)とiShares Ethereum Trust ETF(ETHA)が資金流入を呼び込み、Invesco Galaxy Solana ETFが注目されました。
    • 米国10年債利回りは4.24%;ドイツ国債利回りは景気刺激策による財政拡大を前に上昇しています。
    • 石油、金、穀物の価格は転落しました。銅とプラチナは週の初めに強含みました。
    • 米ドルは弱含み日本円は急騰し、ノルウェークローネは原油価格の下落に伴い下げました。
      これらの動きは、ボラティリティは低下する可能性があるものの、イベントリスクが高まる夏の基調を示しています。


    今週のイベント(2025年6月30日〜7月4日)

    • 米国雇用統計(木曜日):利下げ予想の鍵となるデータです。
    • 米・独立記念日(Independence Day):市場は木曜日の早い時間に閉まり、金曜日は休場となります。
    • トランプ大統領の財政法案「One Big Beautiful Bill(大きく美しい法案)」と関税政策:米議会での議論と交渉は進行中。
    • テスラ(TSLA)の6月納車台数(水曜日)、コンステレーション・ブランズ(STZ)の決算発表(火曜日)。
    • 主要な経済指標:米ISM製造業景気指数(火曜日)、米PMI(購買担当者景気指数・6月確報値)(火曜日)米ISM非製造業景気指数(木曜日)、米新規失業保険申請件数(6/15-6/21)、米貿易収支(5月)、米製造業新規受注と耐久財受注(5月確報値)
      今週は短い週でありながら、7月の相場の基調を決める可能性のある主要なデータと政治的なイベントが詰まっています。


    まとめ

    市場は、FRBによるさらなる緩和への期待、世界的な緊張の緩和、建設的な貿易交渉に関するニュースの見出しに支えられ、堅調に取引を終えました。ボラティリティは緩和され、投資家は楽観的な見方を崩していませんが、今後の雇用統計と政策決定により、見通しが急速に変わる可能性があります。祝日により短縮されたイベントが目白押しの週を迎えるにあたり、ポートフォリオの分散と警戒を怠らないことが引き続き不可欠です。

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