S&P500の上昇基調はひとまず終了か?
2023年に向けて、当社は直近のいくつかのレポート(下記のリンクをご参照ください)で株式、収益、営業利益率、インフレ率、および経済に対する見解を述べてきました。これらの見解は、市場が今後インフレは「ピークアウト」し、FRBが2023年に政策転換するという大きな賭けに出たことで始まった上昇相場とは対照的なものです。しかし、昨日の11月ISM非製造業指数は事前予想の53.5を上回る56.5と10月の54.4から上昇に転じ、米国のサービス業が極めて堅調であることを示す内容となりました。また、支払価格指数は70.0と今年7月以降高水準を維持しており、11月半ばに当社のレポートで触れたように
ISMサービス業の仕入れ価格が年率7.5%(エネルギーを除く)で安定的に推移しているという見方と一致するものでした。
ISM非製造業指数を受けてその後米国債利回りは上昇し、市場に手控えムードが広がったことでS&P 500先物指数は1.8%安となりました。ここで重要となる疑問は、インフレ率はすでにピークにたっしたかどうかではありません。なぜならば、おそらくその可能性が高いためです。むしろ、それよりも重要な点は足元の経済ファンダメンタルズに照らした場合、インフレ率の下限は一体どこなのか、ということです。長年にわたる低インフレと工業・エネルギー産業への投資不足は、インフレ率の上昇とグローバルサプライチェーンを巡る戦時経済で中国よりもコストの高い場所に生産拠点が回帰する動きとが相まって、引き続き投資家を悩ませる要因となるでしょう。当社のSaxo Strats チームが主張しているように、今後は「すべての道がインフレ上昇につながって」おり、市場はそれに対する備えを用意しています。当社は、株式市場は2023年に予想される企業収益の減速をまだ織り込んでいないと考えており、引き続きディフェンシブなスタンスを継続し、S&P 500の目標水準を3,200に据え置きます。