投資家は平均的な株式市場を望むべきではない 投資家は平均的な株式市場を望むべきではない 投資家は平均的な株式市場を望むべきではない

投資家は平均的な株式市場を望むべきではない

株式
PG
ピーター・ガンリュー

株式戦略責任者

サマリー:  S&P 500種構成企業の純利益率は、過去の平均を大きく上回っており、売上高の伸びも最近好調です。しかし、もし最近の利益圧縮傾向が続き、S&P 500種構成企業の過去平均に近づき、名目GDPの減速に伴って売上高の伸びも低下したらどうでしょうか。本稿の議論は、来年の株式にとって間違いなく最も重要なリスク要因である、利益圧縮の進行に対する感応度を計算するために検討したシナリオの一部です。


来年のS&P500は利益圧縮の行方がカギとなる

ディズニーが決算発表で示したように、利益は希望だったのかもしれませんし変化の予兆だったのかもしれません。最近の株式レポート(「決算シーズン終わりに近づき、サイバーセキュリティ関連銘柄の大幅下落」「消費財業界は第3四半期、増収増益」)で取り上げましたように、サイバーセキュリティ関連銘柄が大幅に下落した一方、消費財業界は第3四半期に売上高の伸びと利益の拡大を示して、決算シーズンが終わろうとしています。S&P500がピークから20%下落したのは、金利上昇により株式バリュエーションが低下したためで、利益圧縮の傾向はこれまであまり注目されてきませんでした。しかし、過去の株式レポートで取り上げましたように、パンデミックの中で純利益率は過去最高となり、過去5年間、世界の利益率は過去の平均をはるかに上回っています。インフレ、金利上昇、賃金圧力は2023年も引き続き利益にマイナスの影響を与えるでしょう。S&P500にはどのような影響があるでしょうか。
S&P500の現在の12か月移動平均純利益率は12.4%で、数四半期前のピークから0.1%ポイントの若干の低下にとどまっています。移動平均は急激な変化を迅速に捉えるものではありませんが、第3四半期の純利益率は第2四半期の12.7%から11.8%へと、1四半期で大きく低下しています。12か月移動平均売上高成長率は1年前と比較して14%です。純利益率が2002年以降の平均値である9.3%に低下し、売上高の伸びが名目GDP成長率に遅行して一致する形で7-9%程度に減速すると仮定すると、S&P500は下表の緑で囲んだ価格帯となる可能性があります。これはPERに変化がないことを前提にしています。緑の囲みの平均値は3,223で、これは当社が予想するS&P500の目標値である3,200に近く、現在の水準から16%の下落に相当します。S&P500の純利益率が過去平均の9.3%に達し、売上高の伸びも過去平均の5%になるとすると、PERに変化がないと仮定した場合の株式バリュエーションは2,969となります。
利益の減少が景気減速に連動するとすれば、株式のリスクプレミアムは上昇し(少なくとも歴史的にはそうでした)、来年の金利が大幅に低下しない限りPERは低下することになります。現在、米10債利回りとS&P500の利回りの差は1.3%ポイントであり、これは2022年以降の歴史的平均の半分となっています。仮に来年の純利益率が9-10%に低下し、米国債に対するリスクプレミアムが平均の2.6%ポイントに戻るとすると、緑の囲みのようにバリュエーションが異なってきます。ここでの平均価格は現在の水準から約32%低い2,615です。

今後4-5四半期、株式市場が全ての変数において長期平均に戻るという、最も極端なシナリオを想定した場合、バリュエーションは2,409となります。この数字は非常に衝撃的であり、誰も平均的な株式市場ではなく、インフレの波を乗り切るために株式市場がさらに上昇することを望んでいます。では、現在の状況から、深刻な景気後退には陥らず、名目GDPが足踏みする程度の小幅な景気後退を想定した場合には基本シナリオはどうなるでしょうか。その場合、純利益率は10%に低下し(依然として過去の平均を上回る)、売上高の伸びは8-9%程度、PERは現在の18.5倍から17倍程度に低下し、S&P500は当社が市場底入れの目安と考えている3,200ドルを若干下回る3,130ドル程度になると考えられます。しかし、人生における他の全ての物事と同様、状況は常に変化しており、ウクライナ戦争、中国の新型コロナ規制の緩和、インフレと賃金動向、そして最終的にはエネルギー市場など、多くの事象により当社の予測が変化する可能性があります。

利益圧縮に対応したポートフォリオ構築

過去1年間、利益が圧迫されてきたのは、メディア・エンターテインメント、金融、銀行、半導体、公益企業、不動産、医療機器など、大規模な業種でした。一方、エネルギー、保険、運輸、小売り、ソフトウエア、医薬品などの業種は、利益を維持あるいは拡大しています。2023年に予想される利益圧縮の動きを踏まえ、最も大きな打撃を受けた業種の状況がさらに悪化する前に、投資家にはポートフォリオのリバランスをお勧めします。この考え方は、当社の「物理的世界とデジタル世界」というテーマとも一致します。利益圧縮字のリスクを軽減するもうひとつの方法は、S&P500や他の株価指数の値下がり時に値上がりする商品を用いて、ポートフォリオをヘッジすることです。

単一銘柄ベースでは、以下のリストは、営業利益率を維持または拡大している企業として、前述の各カテゴリーの最大手企業を列挙しました。このリストはあくまでもご参考であり、投資推奨とみなすべきものではありません。

エクソンモービル
シェブロン
シェル
アリアンツ
チャブ
UPS
ユニオン・パシフィック
マイクロソフト
ビザ
オラクル
ジョンソン・エンド・ジョンソン
イーライリリー・アンド・カンパニー
ロシュ

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