今週のチャート:米国における力強い与信の伸び

概況
Christopher Dembik

Head of Macroeconomic Research

サマリー:  本稿では、米国の与信残高の増加ペースと、それが米国の景気後退の差し迫ったリスクを示しているか否かに焦点を当てます。結論を言えば、与信の伸びは、景気後退とは合致しない非常に適切な水準で安定しています。私たちがモニターしている他の信用統計、例えばクレジット・インパルス(名目GDPに対する与信額の伸び)も上昇しています。クレジット・インパルスは現在、GDP比4.5%で推移しており、これは2011年以来最も高い水準です。


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市場関係者の大多数は、米国のソフトランディングはあり得ないと考えています。しかし、最新のクレジットデータに基づけば、その可能性はまだ残されています。下のグラフは、商業・産業ローンおよびリースの推移を示したものです。これは、商業銀行がバランスシート上に報告する資産の重要なカテゴリーです。またこれは1947年以来、米国連邦準備制度理事会(FRB)が四半期ごとに発表しているものです。数日前に第3四半期の最新データが発表されました。商業・産業ローンおよびリースは依然として速いペースで伸びており、第3四半期は前年同期比17.3%で推移しています。最後のピークは2020年第2四半期、つまりパンデミック発生直後です。前年比88.3%という歴史的に前例のない伸びでした。しかし、その状況は常軌を逸していました。サクソバンクでは、クレジット・インパルスを使って与信の伸びも測定しています。これは、民間部門が新たに供与した信用の流れを対GDP比で測定した、大きな集計値です(本日のマクロチャートマニアのチャートの45頁をご覧ください)。GDP比4.5%で上昇しています。両指標(商工ローン・リースとクレジット・インパルス)は景気後退を予測するために使用されます。両方が縮小しているときは、大概、リセッションとなります。ご覧のように、現在の与信の伸びは、差し迫った景気後退を示していません。10月27日に発表される第3四半期の米国GDP速報値では、インフレ圧力への懸念が高まっているにもかかわらず、米国経済が底堅さを維持していることが確認されると予想しています(エコノミストのコンセンサス予想は2.4 %)。当社では、米国経済の底堅さ(特にユーロ圏と比較した場合)と経済への与信流入の継続は、米国連邦準備制度理事会(FRB)が11月以降に金利を引き上げるための十分な余地を提供すると考えています。当社は、中央銀行が来月0.75ポイントの利上げを実施すると考えています。FRBメンバーはその後、利上げペースを減速させるかどうか、またその方法について議論を始める可能性もありますが、それは差し迫った景気後退への懸念というよりも、隠れた金融リスク(特に米国債市場)を考慮したものです。

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