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マクロ・インサイト:FRBの金融引き締めとリセッションの懸念という最悪の事態

概況 5 minutes to read
チャル・チャナナ

マーケット・ストラテジスト

サマリー:  市場は最近、インフレ懸念とリセッションの懸念というダブルパンチに見舞われています。リセッションであろうとなかろうと、繰り延べ需要が落ち着き、金利が上昇すれば景気は打撃を受けるため、米国経済の勢いは下半期には減速する見通しです。これは、企業業績の悪化とともに、株式市場の下落余地が拡大する可能性があることを意味します。債券はポートフォリオ分散のツールとして再び重要になるかもしれませんが、弱気相場ではポートフォリオの「質」の改善を一貫した目標にするべきです。


需要面が焦点

ここ数ヶ月間にわたって供給の制約について取り上げてきましたが、現在は繰り延べ需要が落ち着き、中央銀行による金融引き締めが大きな影響を及ぼし始めているため、焦点は需要面に移りつつあります。

早期解決が望めない中、今後数週間は、市場はインフレ懸念とリセッションの懸念の間で揺れ動く見通しです。米国と英国・ユーロ圏ではインフレが高止まりする可能性が高いと見られます。一方、金利上昇がセンチメントおよび経済活動に打撃を与え始めるのに伴い、マクロ経済データは引き続き悪化する見通しです。さらに大きな懸念材料は、FRBがインフレに追いつこうとしながらバランスを取ることを目指すため、政策ミスのリスクが高まっていることです。

暗い見通し

FRBの調査でミスが相次いだことで、米国経済への警戒感が高まったことがそもそもの始まりでした。ただし、公平を期すために言っておくと、調査データは多岐にわたっており、調査の質問の構成によっては判断の誤りを招きかねないものもあります。

6月のミシガン大学消費者信頼感指数は58.4から記録的な低水準の50.2となり、期待指数(55.2から46.8)、現状指数(63.3から55.4)ともに急落しました。一方、コンファレンス・ボードの消費者信頼感は持ちこたえています。ミシガン大学はインフレ・生活費の動向に重点を置いていると言ってよく、これは今、特にガソリン価格の上昇により消費者を直撃しています。下のグラフが示すように、ミシガン大学の調査のインフレ予想は、おそらくアンケートの質問の構成上の理由により、ガソリンの小売価格と緊密に連動しています。しかし、コンファレンス・ボードの調査では、これまで大きな打撃を受けていない雇用市場や家計所得に関する質問が多くなっています。

いずれにしても、小売売上高、住宅、製造業の生産高など、実際の経済活動データは陰りを見せ始めており、警戒が必要な状況であることを示しています。小売売上高の減少が需要破壊への警告を発していると同時に、借入コストの増加による住宅需要の減少は不動産市場の急落の前触れとなっています。

リセッションと言えるのか?

厳密には、リセッションとは、二期連続でGDP成長率がマイナスになることを意味します。米国の第1四半期のGDP成長率は-1.5%であり、アトランタ連銀の「GDP Now」による第2四半期のGDPは横ばいだと見られることから、厳密な意味でのリセッションの可能性が高いと言えます。

しかし、米国経済調査局(NBER)では、リセッションを「経済全体に波及し、数ヶ月以上続く経済活動の著しい減退」 と定義しています。この経済活動には、個人所得(移転価格控除後)、非農業部門雇用者数、実質個人消費支出、価格変動調整済み卸売・小売売上高、家計調査による雇用、鉱工業生産などが含まれます。

これらの数値のデータは今のところ堅調にとどまっています。非農業部門雇用者数の増加は、1月までの数ヶ月の50万人超から5月には39万人に鈍化したものの、依然として労働需要と雇用市場が堅調であることを示しています。実質所得と実質支出は増加傾向にあり、FRBが推奨するコアPCE指標は4月には前年同月比6.3%増と、予想を上回りました。米国経済の勢いが減速することは間違いありませんが、崩壊することはないように思われます。財からサービスへの需要のシフトが雇用、所得、消費支出の伸びを引き続き支える見通しです。しかし、生活費が圧迫されていることは、それを賄うために家計が貯蓄を切り崩したり、借入を増やしたりしていることを示しています。リセッションの懸念が一段と高まるのに伴い、下半期には消費者心理が反転する可能性があり、経済成長全体への個人消費の寄与度は低下すると見られます。
 

企業業績の悪化

金利の上昇に伴い、市場では株式のバリュエーションが全般的に低下してきました。しかし、リセッションの懸念が高まるのに伴い、企業業績の見通しも悪化しています。第1四半期には大半の企業がコスト圧力の上昇見通しを示していました。さらに、供給と賃金上昇への圧力が強まっていることから、7月半ば以降の決算発表は期待外れの結果になると我々は見込んでいます。Factsetの予想によれば、S&P 500の第2四半期の利益成長率は4.3%に低下すると見られ、これは2020年第4四半期(3.8%)以来最も低い伸びとなります。

市場への影響

リセッションは通常、エネルギー、工業、テクノロジーハードウェアなどのセクターや景気循環株にとって最も大きな打撃となります。エネルギー面の需給が逼迫しているため、今回は大きな打撃を受けることはないかもしれませんが、これらのセクターに対する警戒感は拭い去れません。

一般には、生活必需品、公益事業、医療などのディフェンシブセクターがアウトパフォームします。上半期にはインフレが他のマクロ経済面の懸念よりも重要だったため、債券もポートフォリオにとって優れたヘッジにはなりませんでした。しかし、コモディティ価格の下落がインフレ抑制に一役買い、中央銀行が経済成長の面を重視し始めれば、下半期にはシナリオが転換する可能性があります。その結果、分散効果をもたらす債券商品が再びポートフォリオの中で重要になる可能性がありますが、これはインフレが抑制されるかどうかによるでしょう

ともかく、覚えておくべきことは、長期投資家にとっては、弱気相場でとったポジションがポートフォリオに最大の利益をもたらす可能性が高いということです。株式市場の下落が進む中で、ポートフォリオを長期的に支える優良(安定的なキャッシュフロー、確実な利益配分、適正な負債水準)成長株を積み増していくには、ドルコスト平均法が最適であるように思われます。

Source: Bloomberg, Saxo Markets

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