円安で日銀は窮地に
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サマリー: 米国債と日本国債との利回り格差の拡大を背景に、ここ数週間、円は容赦なく下落しています。日銀や財務省による口先介入が効かない中、ボラティリティ抑制を目的とするわずかな政策転換、あるいは実際の市場介入が実施されるどうかが注目の的になっています。
円は下落を続け、米ドル/円は2002年以来となる128円台まで急上昇しました。チャート上で次に大きなポイントとなるのは、2002年前半に付けた高値である1米ドル=135円付近です。オーストラリア準備銀行(RBA)が議事録でタカ派寄りの姿勢を示したことを受けて、豪ドルが強含みとなったことから、豪ドル/円も急騰して1豪ドル=94.50円超と高値を更新しました。
その背景とは?
- 米国10年債利回りは新たなサイクルのピークを迎えており、このまま上昇を続ければ3.00%の水準が間近に迫ります。10年物日本国債利回りの上限を0.25%とするイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を堅持する日本銀行との政策格差が拡大しています。
- 日銀と財務省は最近、円のボラティリティに対する口先介入を強化しましたが、効果はほとんどありませんでした。
- 日銀は、日本国債の利回りが、昨年3月に明示した上限の0.25%に達したことを受けて、年度末の3月31日にかけて4日間にわたる異例の買い入れ計画を実施しました。このことから、国債利回りの上限を厳守する姿勢がさらに浮き彫りになりました。
- 日銀は円相場のボラティリティや円安ペースを気にすることはあっても、円安方向について懸念していることはなさそうです。実際、日銀の発言では、円安は輸入インフレ圧力に拍車をかける要因であると同時に、日本経済と輸出にとって好材料だと見ていることが繰り返し示されています。GDPが依然として新型コロナ前の水準を大きく下回り、コアインフレ率がマイナスであることに注目すると、この点は特に重要です。
インフレは懸念材料か?
- 日本国債の利回りの上昇は、日本のインフレ率が持続的に上昇するという予想とはほとんど関係がありません。消費者物価指数(CPI)(現在0.9%)は日銀の2% の目標を上回る見通しですが、日銀はこの上昇を一時的なものと見ています。
- インフレ率の上昇の大半はベース効果とエネルギー価格の上昇によるものであり、基本的な価格圧力は依然として抑えられています。エネルギー価格と生鮮食品価格を除くコアインフレ率は、前年比-1%とここ数年で最低の水準にあり、依然として非常に落ち着いています。
YCCの微調整はあるか?
- 中央銀行が既に国債の約半分を保有している場合は、日銀による継続的な買い入れは問題となる可能性があるため、イールドカーブ・コントロールにはおそらく限界が見え始めています。日銀は、11月に市場操作を不用意に断念したオーストラリアの後に続くのでしょうか?そうするには、日本国債に対する国内需要が高まる必要がありますが、実現する可能性は低そうです。
- これまで、日銀は債券利回りの目標レンジを調整することに寛容な姿勢をとってきました。目標レンジは、2018年7月にそれまでの±0.10%から±0.20%に変更された後、2021年3月には±0.25%に拡大されました。
- 日銀は柔軟性を高め、ボラティリティを抑える目的で、YCCを微調整し、10年債の利回り目標を±0.25%から±0.30%に変更する可能性があります。もしこのような変更が実施されれば、政策上の考えが変化した兆候だと受け止められないように、債券市場のボラティリティの上昇に対処するための措置だというメッセージが伝えられるはずです。
次に注目すべきイベントは?
- 政策転換が明らかになるか、実際の市場介入が実施されるまでは、市場は円安基調を続けることを受け入れているように感じられます。
- 皮肉なことに、財務省は以前は、円安ではなく、一層の円高を回避する方向で円相場への介入を実施してきました。
- 基礎となる政策と市場動向(すなわち日銀が現在の政策を堅持する一方で、インフレ圧力や利回りが上昇し続ける)が変わらなければ、市場介入の効果は一時的なものにとどまる可能性があります。しかし、日中にボラティリティが双方向に大きくなるリスクについては、十分認識するべきです。
- 鈴木財務相が米国との二国間会談に向かっており、そのコメントが注目されます。
- 次回の日銀会合は4月27日~28日に予定されています。とはいえ、それよりも、5月のFRB会合で、量的引き締めの開始とともに50ベーシスポイントの利上げが予想されることに注目が集まるでしょう。
- その他には、円相場が底を打つことを期待し、黒田日銀総裁の任期が2023年4月に終わるのを待つしかなさそうです。金利が引き上げられるとすれば、その後です。