欧州経済の減速;サイバーセキュリティ業界;決算プレビュー 欧州経済の減速;サイバーセキュリティ業界;決算プレビュー 欧州経済の減速;サイバーセキュリティ業界;決算プレビュー

欧州経済の減速;サイバーセキュリティ業界;決算プレビュー

株式
PG
ピーター・ガンリュー

最高投資ストラテジスト(Saxo Group)

サマリー:  欧州の経済成長率は5月に大きく減速し、エコノミストの間では世界経済がマイナス成長に陥るとの懸念がすでに高まっています。なお、好調が続くサイバーセキュリティ業界大手のCrowdstrikeは、昨日の決算で売上高(前年同期比35%増)と純利益の通期見通しを上方修正しましたが、同社の株価は7%下落しました。本稿では、その他にも来週公表予定の企業決算に注目し、水曜(7日)に公表されるフランスの中堅半導体メーカーSoitecの業績について取り上げます。


主なポイント:

  • 欧州の経済成長は今年5月に大幅に減速し、主に鉱工業生産の落ち込みによって先行き見通しの悪化が確認された。

  • 堅調な業績見通しと通期ガイダンス(売上高・純利益)の上方修正にもかかわらず、投資家はCrowdstrikeの決算にネガティブに反応し、同社の株価は時間外取引で9%下落した。

  • AIブームは米国のテクノロジー株や一部の欧州株に恩恵をもたらしている。来週水曜(7日)に決算を公表する仏半導体Soitecは中堅ながらも高い成長可能性を秘めており、その内容が注目される。

5月の欧州経済が減速する中、株式市場のリスクは上昇

欧州はエネルギー価格の高騰が企業や家計に打撃を与え、2022年後半に深刻な景気収縮期を迎えた後、年初に緩やかに持ち直しました。経済の回復と中国経済再開に対する期待感が相まって、欧州の株式市場は、高級ブランド銘柄を中心に米国株式を上回るペースで上昇しました。欧州経済は1月にプラス成長を遂げましたが、その後は労働市場のタイト化にもかかわらず頭打ちとなり、ユーロ圏GDPの先行指標とされるユーロコイン指数によると、5月は極めて厳しい月となったようです。この指標は、ドイツの景気後退と一致しており、足元のネガティブな動向は、欧州の鉱工業生産や企業活動等、一連の経済指標の悪化を反映しています。

欧米諸国の実質GDPがマイナス成長に転じる可能性が高まる中、株式市場のリスクは上昇しています。欧州の株式市場のポジティブな点を挙げるとすれば、米国の株式市場に比べてバリュエーションがはるかに適正な水準にあることです。なお、最近のAIブームを背景とする米国株式のバリュエーション面でのリスクについては、昨日のレポートをご参照ください。

Year-to-date returns | Source: Bloomberg

Crowdstrikeは通期ガイダンスを上方修正も株価は下落

サイバーセキュリティは、株式バスケットの中で最も好調なパフォーマンスを上げているテーマのひとつとなっています。その背景には、すでに高い水準にあったサイバーセキュリティソリューションの需要が、ロシアのウクライナ侵攻によって一段と拡大したことがあります。同セクターの高い成長可能性は、サイバーセキュリティ関連銘柄に対する投資家の期待を大きく押し上げており、予想を上回る業績を発表する企業が相次ぐ中、今後の成長性に対する期待感は一層高まっています。昨日公表されたサイバーセキュリティ大手Crowdstrikeの決算は予想を上回り、同社は売上高とEPSの通期ガイダンスを上方修正しました。同社は今年度の通期売上高の伸びが35%に上ると予想しています。通常、このような決算を受けて株価は上昇しますが、同社の株価は今日の取引で7%下落しています。

これは、企業が堅調な業績を発表した場合でも、投資家の過度な期待感が重しとなり、株価が下落するリスクがあることを意味します。しかし、長期投資家は、こうした値動きを単なるノイズとして捉え、受け流すことが重要となります。サイバーセキュリティ関連銘柄の長期的な成長シナリオを重視し、あくまでも将来的な業績拡大を見据えたスタンスで短期的な動きに惑わされるべきではありません。

Crowdstrike weekly share price | Source: Saxo

決算プレビュー:SoitecはAIブームに埋もれた注目株か

AIブームは今年の株式市場の大きなテーマとなっており、Nvidiaの極めて強気な売上高見通しを受けて市場では過熱感が高まっています。米国に拠点を置くAI関連企業の多くは、AIブームの恩恵を享受していますが、その追い風を受けている欧州企業はごく一部に限られています。オランダの半導体大手ASMLもその限られた銘柄の一つで、AI半導体市場の拡大に伴いEUV露光装置の需要増が期待される中、同社の株価は上昇しています。

しかし、AIに関連する巨大テック企業に埋もれている銘柄も存在し、水曜に決算を発表する仏中堅半導体メーカーSoitecもそのうちの一つです。同社はフランスに本社を置く半導体企業で、時価総額は46億ユーロ、過年度の売上高は前年同期比48%増の8億6300万ユーロに上ります。同社は2,000人の従業員を擁し、そのうち20%が研究開発部門に配属されています。Soitecの株価は年初から15%下落しており、米国の半導体企業の株価とは全く異なるトレンドを示しています。

アナリスト予想では2026年3月期の売上高は19億ユーロ、EBITDAは営業利益率の拡大が寄与することで現在の2億7600万ユーロから7億3100万ユーロに増加する見通しであるほか、目標株価は足元の130ユーロに対して189ユーロ(45%の上昇余地)と、同社に対して極めてポジティブな見方を示しています。Soitecは、半導体製造に使用されるウエハーの高精度な積層を可能にする基板製造技術で特許を取得しています。また、同社のスマートカット技術は、軽イオン照射とウェーハボンディングの両方を使用して、基板上の薄い単結晶層を特定し、別の基板に移すという極小メスのような機能を備えています。

Soitec weekly share price | Source: Saxo

来週の決算スケジュール:

  • 5日(月):Science Applications International
  • 6日(火):J M Smucker, Thor Industries, Ciena
  • 7日(水):Campbell Soup, Brown-Forman, Smartsheet, GameStop, Voestalpine, Inditex, LXI REIT, Soitec
  • 8日(木):Toro, Vail Resorts, DocuSign

口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。 

最短3分で入力完了!

【ご留意事項】

■当資料は、サクソバンクグループのアナリストによるマーケット分析レポートの転載、もしくは外部のアナリストからの寄稿となっております。
■当資料は、いずれも情報提供のみを目的としたものであり、特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
■当資料は、作成時点において執筆者またはサクソバンク証券(以下「当社」)が信頼できると判断した情報やデータ等に基づいていますが、執筆者または当社はその正確性、完全性等を保証するものではありません。当資料の利用により生じた損害についても、執筆者または当社は責任を負いません。 
■当資料で示される意見は執筆者によるものであり、当社の考えを反映するものではありません。また、これら意見はあくまでも参考として申し述べたものであり、推奨を意味せず、また、いずれの記述も将来の傾向、数値、投資成果等を示唆もしくは保証するものではありません。 
■当資料に記載の情報は作成時点のものであり、予告なしに変更することがあります。 
■当資料の全部か一部かを問わず、無断での転用、複製、再配信、ウェブサイトへの投稿や掲載等を行うことはできません。
■上記のほか、当資料の閲覧・ご利用に関する「免責事項」をご確認ください。 
■当社が提供するデリバティブ取引は、為替相場、有価証券の価格や指数、貴金属その他の商品相場または金利等の変動によって損失を生じるおそれがあります。また、お預けいただく証拠金額に比べてお取引可能な金額が大きいため、その損失は、預託された証拠金の額を上回る恐れがあります。
■当社が提供する外国証券取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。 
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。 
■当社でのお取引にかかるリスクやコスト等については、 こちらも必ずご確認ください。

サクソバンク証券株式会社
Saxo Bank Securities Ltd.
Izumi Garden Tower 36F
1-6-1 Roppongi Minato-ku
Tokyo 106-6036
〒106-6036 東京都港区六本木1-6-1
泉ガーデンタワー36F

お問い合わせ

国・地域を選択

日本
日本

【重要事項及びリスク開示】

■外国為替証拠金取引は各通貨の価格を、貴金属証拠金取引は各貴金属の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、売買の状況によってはスワップポイントの支払いが発生したり、通貨の金利や貴金属のリースレート等の変動によりスワップポイントが受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■外国為替オプション取引は外国為替証拠金取引の通貨を、貴金属オプション取引は貴金属証拠金取引の貴金属を原資産とし、原資産の値動きやその変動率に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、オプションの価値は時間の経過により減少します。また、オプションの売り側は権利行使に応える義務があります。
■株価指数CFD取引は株価指数や株価指数を対象としたETFを、個別株CFD取引は個別株や個別株関連のETFを、債券CFD取引は債券や債券を対象としたETFを、その他証券CFD取引はその他の外国上場株式関連ETF等を、商品CFD取引は商品先物取引をそれぞれ原資産とし、それらの価格の変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、建玉や売買の状況によってはオーバーナイト金利、キャリングコスト、借入金利、配当等調整金の支払いが発生したり、通貨の金利の変動によりオーバーナイト金利が受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■上記全ての取引においては、当社が提示する売価格と買価格にスプレッド(価格差)があり、お客様から見た買価格のほうが売価格よりも高くなります。
■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。
■外国株式・指数オプション取引は、対象とする有価証券の市場価格や対象となる指数、あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動、指数の数値等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする有価証券の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式・指数オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式・指数オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式・指数オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。さらにこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式・指数オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時は銘柄の流動性や価格変動性あるいは法令等若しくは当社が加入する自主規制団体の規則等に基づいて当社が決定し、必要に応じて変更します。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。
■取引にあたっては、契約締結前交付書面(取引説明書)および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会
手数料:各商品の取引手数料についてはサクソバンク証券ウェブサイトの「取引手数料」ページや、契約締結前交付書面(取引説明書)、取引約款等をご確認ください。