中国に関するアップデート:国有大手、ニューヨーク証券取引所からの自主的上場廃止 中国に関するアップデート:国有大手、ニューヨーク証券取引所からの自主的上場廃止 中国に関するアップデート:国有大手、ニューヨーク証券取引所からの自主的上場廃止

中国に関するアップデート:国有大手、ニューヨーク証券取引所からの自主的上場廃止

株式
レドモンド・ウォン

マーケット・ストラテジスト

サマリー:  中国石油天然気(ペトロチャイナ)、中国石油化工(シノペック)、シノペック上海石化、中国アルミ(チャルコ)、中国人寿保険は2022年8月12日、ニューヨーク証券取引所に米預託株式の自主的上場廃止を申請し関連ADRプログラムを終了する意向を表明しました。問題は、中国のメガキャップ・インターネット・プラットフォーム企業がこれに追随するか否かです。


中国中央国有企業5社(中央国有企業) がニューヨーク証券取引所からの上場廃止を申請

2022年8月12日、香港証券取引所の通常取引終了後、ペトロチャイナ(00857: xhkg/PTR:xnys)、中国石油化工、通称シノペック(00386:xhkg/SNP: xnys)、シノペック上海石油化学(00338: xhkg/SHI:xnys)、中国アルミ集団、通称チャルコ(02600:xhkg/ACH:xnys)、中国人寿保険(02628:xhkg/LFC:xnys)はニューヨーク証券取引所(NYSE)に、米預託株式(ADS)の上場廃止申請を行ったと発表しました。米国預託証券(ADR)プログラムは2022年9月1日から10月16日の間に終了し、これらのADRプログラムで発行されたADSは、香港証券取引所(SEHK)で取引を継続するH株と引き換えることができるようになる見込みです。

ペトロチャイナ、シノペック、シノペック上海石化、チャルコは、国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)が所有(それぞれ80.4%、68.8%、32.2%、50.4%)および管理している中央国有企業です。 これらと、同じくSASACが所有・管理する他の93社を合わせて中央国有企業と呼ばれています。 中国人寿保険はSASACが所有する企業ではなく、厳密には中央国営企業ではありませんが、財政部が62.4%を所有・管理しているため、通常、中央国営企業とみなされます。

5社すべてが米国証券取引委員会(SEC)の外国企業説明責任法(HFCAA)に基づく特定企業リストに掲載

米国では、2002年に制定されたサーベンス・オクスリー法により、上場企業は米国公開会社会計監視委員会(PCAOB)に監査調書へのアクセスを提供することが義務付けられています。2009年、中国証券監督管理委員会(CSRC)は、海外の規制当局がCSRCの事前承認なしに中国の監査法人を検査することや、国家機密を含む監査書類を中国国外に持ち出すことを禁止する規則を発表しました。 2010年にPCAOBが4大会計事務所の中国関連会社を検査しようとしたところ、CSRCに拒否されました。 その後、SECは4大会計事務所の中国関連会社を起訴し、和解に至っています。

米国では、サーベンス・オクスリー法に規定される監査調書の義務付けを強化するため、2020年にPCAOBによる監査調書の閲覧に応じない企業は米国の取引所で取引できないとする外国企業説明責任法(Holding Foreign Companies Accountable Act:HFCAA)が制定されました。 2022年3月以降、SECは米国取引所に上場する中国企業162社をまず暫定リストに、その後155社をHFCAAに基づき特定された発行体を確定リストに掲載しました。

米中は協議を重ねてきたものの、今のところ何らかの解決策を見出すには至っていません。 中国当局は、特に4月から5月にかけて、最終的に米国と合意に達することに楽観的な見方を示しましたが、ゲンスラーSEC委員長は最終的な合意には疑念を表明しています。

ペトロチャイナ、シノペック、シノペック上海石化、チャルコ、中国人寿保険などは、確定リストに掲載されており、米国の規制当局からニューヨーク証券取引所への上場廃止を通告される可能性が高くなっていました。 上場廃止の期限は2024年ですが、米議会は期限を2023年に前倒しする法案の成立を検討しています。

一見、協調しているように見える行動

5社は同日8月12日にニューヨーク証券取引所に通知し、香港証券取引所への申請において、ADSから転換されるH株の資本金が比較的小さいこと、H株の売買高に比べADSの売買高が小さいこと、報告・開示のための管理負担が大きいことなど、同様の理由を述べています。中国証券監督管理委員会(CSRC)は金曜日に、上場廃止の決定はこれらの企業の経営判断に基づくものであると発表しました。しかし、上場廃止の時期、理由、中央国営企業の位置づけが全く同じであることから、中国当局と一体となって調整を進めていたのではないかと考えざるを得ません。 SACAC が管理し、SEC の確定リストに掲載されている他の2つの中央国営企業、中国東方航空 (00670:xhkg/CEA:xnys) と中国南方航空 (01055:xhkg/ZNH:xnys) もまもなくADS上場廃止を申請すると思われます。

中国のインターネット・プラットフォーム企業が今後の焦点に 

これらの中央国営企業のニューヨーク証券取引所での売買が少ない一方で、アリババ(09988:xhkg/BABA:xnys)、百度(09888:xhkg/BIDU:xnas)、ビリビリ(09626:xhkg/BILLI:xnas)、JDドットコム(09618:xhkg/JD:xnas)、多多(ピンドゥオドゥオ)(PDD:xnas)、捜狐(ソフ・ドット・コム)(SOHU:xnas)、愛奇芸(アイ・チ・イー)(IQ:xnas)、貝殻(KEホールディングス)(BEKE:xnys), ウェイボー(09898:xhkg/WB:xnas), テンセント・ミュージック・エンターテイメント(TME:xnys)は広く保有されており、ニューヨーク証券取引所やナスダックでも活発に取引されています。 例えば、ビリビリとウェイボーは香港証券取引所よりもナスダックの方が一日の平均取引高が大きく、多多(ピンドゥオドゥオ)、愛奇芸(アイ・チ・イー)、貝殻(KEホールディングス)、捜狐(ソフ・ドット・コム)はナスダックにのみ上場しており、テンセント・ミュージックはニューヨーク証券取引所に上場しています。

アリババは暫定リスト、上記の他の国営企業はHFCAAに基づいて特定された発行体の確定リストに掲載されています。中国と米国の規制当局が今後数か月のうちに監査調書の検査問題を解決するための合意に達することができない場合、対象の全国営企業がニューヨーク証券取引所またはナスダックからの強制上場廃止の対象となる予定です。

これらのインターネット及びプラットフォーム企業は、数億人の中国人個人及び多数の民間・公共企業・機関の潜在的機密データを大量に保有しています。そのため、中国政府が、これらの企業の監査書類への自由なアクセスに関して、SEC及びPCAOBに譲歩する可能性は、米中戦略競争が浸透している中でますます低くなってきています。

中央国営企業の自主的な上場廃止を通じ、中国当局はインターネット企業やプラットフォーム企業が追随するための先例を示したのかもしれません。 もしそうなれば、これらのインターネットやプラットフォーム大手の株価は、前回の記事で紹介したように、さらなる逆風にさらされることになります。 投資対象に制約のある米国の機関投資家マネーや、ホームバイアス(自国資産の保有比率を高くする傾向)のある個人投資家の中には、ADSをH株に交換せず、保有株を手放すケースも出てくるでしょう。香港証券取引所にまだ上場していない企業の場合、その不確実性と混乱はさらに大きなものとなるでしょう。 本土の投資家による南向きのストック・コネクト(上海証券取引所と香港証券取引所との間で証券取引・決済が可能なシステム)の資金フローは、その影響をいくらか緩和するかもしれませんが、おそらく当初は多少の混乱が予想されます。

口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。 

最短3分で入力完了!

【ご留意事項】

■当資料は、サクソバンクグループのアナリストによるマーケット分析レポートの転載、もしくは外部のアナリストからの寄稿となっております。
■当資料は、いずれも情報提供のみを目的としたものであり、特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
■当資料は、作成時点において執筆者またはサクソバンク証券(以下「当社」)が信頼できると判断した情報やデータ等に基づいていますが、執筆者または当社はその正確性、完全性等を保証するものではありません。当資料の利用により生じた損害についても、執筆者または当社は責任を負いません。 
■当資料で示される意見は執筆者によるものであり、当社の考えを反映するものではありません。また、これら意見はあくまでも参考として申し述べたものであり、推奨を意味せず、また、いずれの記述も将来の傾向、数値、投資成果等を示唆もしくは保証するものではありません。 
■当資料に記載の情報は作成時点のものであり、予告なしに変更することがあります。 
■当資料の全部か一部かを問わず、無断での転用、複製、再配信、ウェブサイトへの投稿や掲載等を行うことはできません。
■上記のほか、当資料の閲覧・ご利用に関する「免責事項」をご確認ください。 
■当社が提供するデリバティブ取引は、為替相場、有価証券の価格や指数、貴金属その他の商品相場または金利等の変動によって損失を生じるおそれがあります。また、お預けいただく証拠金額に比べてお取引可能な金額が大きいため、その損失は、預託された証拠金の額を上回る恐れがあります。
■当社が提供する外国証券取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。 
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。 
■当社でのお取引にかかるリスクやコスト等については、 こちらも必ずご確認ください。

サクソバンク証券株式会社
Saxo Bank Securities Ltd.
Toranomon Kotohira Tower 22F
1-2-8 Toranomon Minato-ku Tokyo 105- 0001
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-2-8
虎ノ門琴平タワー 22F

お問い合わせ

国・地域を選択

日本
日本

【重要事項及びリスク開示】

■外国為替証拠金取引は各通貨の価格を、貴金属証拠金取引は各貴金属の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、売買の状況によってはスワップポイントの支払いが発生したり、通貨の金利や貴金属のリースレート等の変動によりスワップポイントが受取りから支払いに転じたりすることがあります。外国為替証拠金取引の手数料については、無料のスタンダードと有料のアクティブトレーダーの二コースがあります。アクティブトレーダーでは取引金額に一定の料率(ステージ1: 0.003%、ステージ2: 0.002%、ステージ3: 0.001%)を掛けて求めた手数料が新規/決済それぞれで課金されます。さらにステージ2と3ではお支払いいただいた手数料の月間合計額が月額標準金額(ステージ2: 6万円、ステージ3: 20万円)に満たない場合は、その差額を追加で徴収させていただきます。ミニマムチャージの設定はありません。ステージはお客様ご自身で事前に選択していただき、月単位で適用されます。変更する場合は翌月以降の月の初日から有効となり、原則として月の途中で変更することはできません。貴金属証拠金取引の手数料についても、無料のスタンダードと有料のアクティブトレーダーの二コースがあります。ただしスタンダードではミニマムチャージが設定されています。アクティブトレーダーの手数料は外国為替証拠金取引と同様の仕組みになります。なお、ステージ2と3における手数料の月間合計額の計算では、外国為替証拠金取引と貴金属証拠金取引で発生した手数料が合算されます。
■外国為替オプション取引は外国為替証拠金取引の通貨を、貴金属オプション取引は貴金属証拠金取引の貴金属を原資産とし、原資産の値動きやその変動率に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、オプションの価値は時間の経過により減少します。手数料については、外国為替オプション取引・貴金属オプション取引ともに無料です。なお、オプションの売り側は権利行使に応える義務があります。
■株価指数CFD取引は株価指数や株価指数を対象としたETFを、個別株CFD取引は個別株や個別株関連のETFを、債券CFD取引は債券や債券を対象としたETFを、その他証券CFD取引はその他の外国上場株式関連ETF等を、商品CFD取引は商品先物取引をそれぞれ原資産とし、それらの価格の変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、建玉や売買の状況によってはオーバーナイト金利、キャリングコスト、借入金利、配当等調整金の支払いが発生したり、通貨の金利の変動によりオーバーナイト金利が受取りから支払いに転じたりすることがあります。手数料については、東京証券取引所上場株式を原資産とするCFD取引の日計り取引は「取引金額×0.05%」の手数料がかかり、建玉を持ち越した場合、キャッシュバック方式により、売買手数料は無料です。ETFを原資産としない株価指数CFD取引と商品CFD取引では売/買、新規/決済の別にかかわらず無料ですが、それ以外は有料となり「取引金額×一定料率」または「取引数量×一定金額」で求めた手数料がかかります。ただし、手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。手数料の料率や金額または最低手数料は取引所や銘柄などによって異なります。
■上記全ての取引においては、当社が提示する売価格と買価格にスプレッド(価格差)があり、お客様から見た買価格のほうが売価格よりも高くなります。
■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。手数料については、売買手数料と取引所手数料が新規/決済のそれぞれで課金されます。売買手数料は注文単位当りで定められています。ただし、手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また、建玉を翌日に持ち越すとキャリングコストが発生します。
■外国株式オプション取引は、対象とする外国上場株式の市場価格あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする外国上場株式の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。更にこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式オプション取引の取引手数料については、1ロットあたり3.0米ドルが一回の取引ごとに課金されます。その他にも取引所手数料やキャリングコストなど様々な費用がかかります。手数料の詳細は、発注前の取引画面でご確認ください。外国株式オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時の比率は4%から20%が適用されます。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会