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当社が2022年初頭に発表した見通しでは、基幹エネルギーへの長年の過小投資により、今年度中にエネルギー危機が発生する可能性が高いことが示唆されています。これは現在でも、化石燃料と原子力が経済活動のエネルギー源として、圧倒的な地位を占めていることによります。確かに、長期的な未来を見据えた気候変動対策とCO2排出量削減への注力は正しいことです。一方で2022年は、政策関係者が、長期的な気候変動目標に向けた現在のロードマップが、現実とは乖離していることに気づく年になるでしょう。基幹エネルギーである化石燃料や原子力を軽視し、電気自動車や代替エネルギーの選択肢を過度に重視すると、近い将来エネルギー危機に直面する恐れがあります。欧州はすでに基幹エネルギー危機の影響を受けており、その傾向はこの1年も続くでしょう。EUは、主要経済圏としては初めて、エネルギーインフラを立て直し、天然ガスや原子力への回帰を余儀なくされる公算が高まっています。
現在株式市場では、エネルギーセクターの比率が驚くほど低くなっています。S&P500の時価総額に占めるエネルギーセクターの比率は、1995年初めには10%、2008年のピーク時には16%以上であったのに対し、2021年末にはわずか2.7%になっています。当社はまた、世界の化石燃料、原子力、新興エネルギー分野の企業約40社のリストを作成しました。昨年好調だったセクターのほとんどで、市場の評価が非常に高まっているため、今後数年間はこのセクターでリターンが期待できると考えられます。
2022年は、コモディティに大きな注目が集まっています。当社は、石油価格やガス価格の上昇に加え、風力タービンやEVバッテリーなど、代替エネルギーにおける金属依存度の高さから、ほぼすべての産業用金属にも注目しています。また、鉱山や石油・ガスの上流工程への資金供給に関連するESG基準が緩和されない限り、資金不足の現状を招いた過小投資は続くことでしょう。2022年にはグリーンフレーションが流行語として定着し、今冬の天然ガス危機に続き、次の農耕シーズンには肥料価格の高騰も予想されます。つまり、コモディティのさらなる価格上昇の影響が主要農産物にも波及する可能性があるということです。肥料は、食糧生産の基盤であり、農作物の収穫量増大に必要不可欠です。肥料は、主に天然ガスから水素を取り出してアンモニア化合物を生成することで生産されていますが、このことはあまり知られていません。つまり、私たちはある意味で化石燃料を「食べて」いるのです。
債券市場に目を向ければ、2021年後半に勢いを増した強力なインフレ圧力に対抗するために、中央銀行がどれほど積極的な姿勢をとるかどうかが今年の焦点となります。イールドカーブはフラット化する可能性が高く、政策金利の引き上げによって短期金利が上昇する一方で、長期金利はそれに追いつけなくなります。長期的な実質成長率の見通しが弱いため、長期金利は抑制されます。長期型の債券や資産は、今後1年間は苦戦を強いられるでしょう。高利回り債への投資家の関心は持続するでしょう。一方、中央銀行が政策面でのインフレ対応に回るなら、実質金利が上昇して、最終的には信用スプレッドの拡大を引き起こし、リスクの高い負債のリターンは低下する可能性があります。
通貨面に関して言えば、FRBはこの先、状況が大きく変化するまでは、多かれ少なかれ利上げに進むと見られています。FRBが認識する「ターミナルレート」が2%前後に固定されている限り、また、FRBによる流動性パニック回避のための利上げペースが大きく加速しない限り、米ドルは弱含みが続くと見込まれます。また、中国が2015年に為替レジームを転換して以来、人民元は極端な弱含みで推移してきましたが、2022年は、円安と人民元高の極端な乖離で幕を開けたことは注目に値します。世界の多くの国々が金融引き締めに動いている一方で、中国はハイテク産業や不動産産業に対する監督強化の後、国内における何らかの緩和策を模索しており、この乖離は人民元の軟化を示唆しています。
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