サマリー: 今週はドル円(USDJPY)を取り上げました。12月20日の日銀会合はサプライズのイールドカーブコントロール変動幅拡大となり、実質的な緩和政策の縮小となりました。これまで長期に渡って日銀だけは緩和継続と考えられていただけに、まだ円売りポジションは残っています。現行水準からの戻しは絶好の戻り売りの場面になりそうですので、テクニカルにそのターゲットを考えます。
今週は日銀会合後の安値から反発が続くドル円(USDJPY)と米国個別株CFDを2つ取り上げます。
■ドル円(USDJPY)
今年最後の主要国の金融政策決定会合となった12月20日の日銀金融政策決定会合だけは無風通過と思われていた中で、イールドカーブコントロール(YCC)の変動幅拡大という実質的な緩和縮小の発表があったことで各金融市場は金利上昇、株安、円高と動きドル円は一日で7円近い値動きを見せるという大相場となってしまいました。
このYCCの変動幅ですが、当初はマイナス金利導入によって長期金利が一緒になって低下しないようにという目的から始まりましたが、時間経過とともに10年債利回りの上限における指値オペ(債券利回りが一定以上に上昇しないようにする介入)実施というオペレーションをしてきたこともあって、金融緩和の補完的な政策として認識されていたと言えます。
これまで10年債の利回りが0.25%以上に上昇しないようにしていた指値オペが、今回の0.5%への変動幅拡大によって同様に0.5%を利回りの上限とする指値オペが実施されることとなります。こうした日銀のオペレーションを見てきた以上、いくら黒田日銀総裁が出口戦略ではないと説明しても誰も言葉通りには受け止めません。
黒田総裁の次の総裁になった時点で思ったよりも早い段階で日銀は一段の緩和縮小に動くというのが現在の金融市場におけるコンセンサスとなってきました。
しかし、そうは言っても長年日銀だけは大規模緩和維持、他の主要国は引き締めへの転換という流れから金利差拡大によるドル円、クロス円での円安相場を見てきましたので、130円の大台目前まで水準を下げたと言ってもまだまだ長期的な円売りポジションは残っています。実際にシカゴの通貨先物の円売りポジションを見ても20日NY引け時点で2割程度減少しているとはいっても、まだ4万枚以上の円売りポジションが残っています。
これまでの日銀だけは大規模緩和と言う大前提が変化してきたことを考えると、現在のドル円は戻り売りの水準を探っている段階にあると考えてよさそうです。ここからの戻り売りのターゲットと考えられる水準はテクニカルな観点から考えましょう。日足チャートをご覧ください。まずすぐにわかるのは年初来高値からの平行下降チャンネル内での動きを続けていて現状134円台前半とかなり近い水準に位置しています。ここで上昇が止まるのであれば、絶好の売り場が近づいていることとなり、ここ1週間ほどのチャートパターンも大きな下げの中での調整を示すフラッグ状の動きを見せています。
また、レジスタンスラインを上抜ける場合の次の上昇の目途としては年初来高値151.935と日銀会合後の安値130.553の23.6%戻しとなる135.599、38.2%戻しとなる138.721があげられます。後者はさすがに遠いので、前者の135円台半ばというのは戻り売りのターゲットと考えている参加者は多いと見られます。
次に下げる時には8月安値の130.380をトライし130円の大台割れという動きを見に行くこととなりそうですから、年末年始は戻り売りを探る時期になると考えています。2段階に分けて、134円前後で半分、135円台半ばで半分といった戻り売り戦略も悪く無さそうです。