今週も注目銘柄はドル円(USDJPY)をピックアップしました。
■ドル円(USDJPY)
為替市場では米金利の動向が最も注目度が高く、米金利の上下とともにドル円でドルが上下する動きが続いています。
先週執筆時点ではFRB関係者によるタカ派発言が続いたこともあり、6月FOMCで0.25%利上げするという見方がコンセンサスとなっていましたが、昨日のNY市場でジェファーソンFRB理事とハーカーフィラデルフィア連銀総裁が6月の現状維持を支持する発言を行いました。実際には利上げ停止ではなく、現状維持で状況判断の期間を長めにするという趣旨ですが、それでも両名ともFOMC投票権を持つ関係者だけにインパクトは大きかったと言えます。
先週時点ではタカ派発言が続いていたものの、FOMCで投票権を持たない地区連銀総裁からの発言が中心だったことを考えると、市場参加者の思惑がタカ派に振れていることに、投票権を持つ両名がやや軌道修正に動いてきたと考えることも出来ます。ジェファーソン理事はハト派ですが、ハーカー総裁は中立な立場と見られていましたので、FOMCを前にしてハト派な発言をしてきたことは、インフレ以外の面で利上げに慎重になる材料(米地銀問題、景気後退懸念)にも警戒しているという感じがします。
また雇用統計の結果次第でとも言っていることから、明日の米国雇用統計、そして13日のCPIの注目度も一段と上がってきたという状況です。ただ、2023年のFOMCメンバーはハト派メンバーの方が多く、パウエルFRB議長もハト派であることから昨日の発言を合わせて考えると、現状維持の可能性が再び高まっていて、CMEのFF(政策金利)先物の取引状況から算出される0.25%利上げ織り込み度も40%程度へと低下しています。
そして、もうひとつ気にすべきニュースとして財務省、日銀、金融庁の三者会談があります。
昨年9月22日の介入を前に、9月8日に三者会談が行われ翌週にレートチェック、そしてその次の週に介入が実施されました。9月8日から22日までドル円は145円の大台を試しきれなかったのですが、22日に145円台に乗せて介入が出ています。この場合、ボラティリティよりも水準を気にしていたと言ってもよさそうですが、今回は神田財務官は特定の水準ではなくボラティリティを重視していると取れる発言をしていますが、仮にゆっくりと150円に向かうのならば介入を考えないのかとなると、それは無いだろうと思います。昨年の介入では145円という水準を考えて行動したと取れますので、おそらく140~145円は既に警戒水域に入っているのではないだろうかと考えます。
昨年高値以降の日足チャートをご覧ください。