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アナリスト/アセンダント代表
サマリー: 今週は9月26日に史上最安値を更新したポンドドルの考察です。下げは増税をきっかけとした英国の身ミニトリプル安がきっかけでしたが、その後は英中銀の一時的なQE再開やトラス政権の増税案取り下げなどからポンドは急落前の水準を回復しています。今回の下げが東京市場で起きたことについての注意点と今後の上げの目途についてがテーマとなります。
トラス新政権が打ち出した減税案が新規国債増発を財源とすることを嫌気して、債券安、株安、ポンド安というミニトリプル安相場に見舞われ、英中銀は一時的にQEを再開、そしてトラス政権は減税案の撤回に追い込まれました。トラス政権は発足わずか1か月で政策変更をすることとなりましたが、トラス首相は全て財務相が決定したことと説得力に欠ける弁明をしています。
この初動のトリプル安の動きの中でポンドドル(GBPUSD)は、変動相場制移行後の史上最安値を更新し、9月26日の東京市場で1.03072の安値をつけました。前回の史上最安値は1985年2月と37年も前に遡ります。当時は米国が高インフレの影響で高金利政策を取っていたことからドル独り勝ちの状態となり、この1985年2月にはドル円も263円台をつけました。
環境は異なるものの高インフレと高金利でドルが買われるという構図は今年の為替市場と似た部分がありますが、1985年はインフレを抑えることには成功したものの双子の赤字(財政赤字と貿易赤字)が問題視され、実力以上の米ドルの水準に修正が迫られる事態にまで発展、9月にはプラザ合意と呼ばれるG5(現在のG7)会合で実質的な米ドルの切り下げが決まりました。
ポンドドルに話を戻し変動相場制移行後の動きを見てみることとしましょう。
こうして見るとポンドは超長期的には下げの歴史という感じですね。今回はついに1985年の安値1.0520を一時的とはいえ下抜け、先進国通貨では唯一対ドルで史上最安値更新を見ることとなりました。ただ、今回の動きには注意すべき点がありますので、そのあたりを4時間足チャートで見てみましょう。
最安値をつけた足の時間を見ていただきたいのですが、10:00となっていて東京市場です。実際にも安値は10時台につけたのですが、そのわずか5分後には263pipsも値を戻し1.05705をつけています。おそらく、下げる際にはストップや仕掛けの突っ込み売りが出たと思うのですが、史上最安値・最高値で無くとも、欧州通貨が年初来安値・高値など重要な安値・高値を東京市場でつけると、しばしば大いなるダマシになる可能性が高いのです。
ちなみにユーロドルは2日後の9月28日に26日安値を下抜け年初来安値を更新していますが、これも東京市場でつけ、その後反転上昇しています。どの通貨にもマザーマーケット(母市場)があり、円ならば東京市場、ユーロやポンドならば欧州市場です。マザーマーケット以外でつける安値・高値には今後も注意して見ていただきたいと思います。
ポンドについては短期的にはピンクのほぼ平行な上昇ウェッジの中での動きとなっていて、ターゲットとなるのは青の水平ラインで示した1.15885と1.17369を目指しやすいと見ていますが、まずは1.16水準をターゲットにする動きが出やすいと見ていてよさそうです。ただ長期的にはポンドは下降トレンドに回帰しやすいという展開には変化は無いと言えるでしょう。