FXアップデート:FRBのピボット(政策転換)への渇望 FXアップデート:FRBのピボット(政策転換)への渇望 FXアップデート:FRBのピボット(政策転換)への渇望

FXアップデート:FRBのピボット(政策転換)への渇望

FX
ジョン・ハーディ

FX戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  昨日の市場は、FRBが最終的にタカ派的スタンスから転換する兆しを、いち早く捉えることに躍起になっていることを示す展開となりました。9月の米ISM製造業景気指数のデータが弱い結果であったことが、米国債利回りの大幅低下と大幅な米ドル安につながったことに、それが見て取れます。今週は金曜日(10月7日)の雇用統計がより重要なデータとなります。その他、RBA(オーストラリア準備銀行)が予想に反してハト派的な行動を示し、商品市況が下支えされた一方、豪ドルはオーバーナイトで下落しました。


FXトレードの焦点:FRBのピボット(政策転換)への渇望、英ポンドに関する課題は本当に簡単か、そしてハト派的なRBA。

昨日、米10年債利回りは日中の高値から25bp近く低下しました。9月の米ISM製造業景気指数が予想の50.9と、8月の52.8を下回ったことが、国債買い/利回り低下の主な要因となっています。新規受注は47.1と、予想の50.5と8月の51.3に対して大幅に悪化しました。しかし、米国の製造業は小規模であり、50に近づくか下回る落ち込みの約半分は、米国の景気後退入りが差し迫っていることを示唆しているわけではありません。ただし、明日(10月5日)発表されるISM非製造業景気指数が顕著な悪化を示せば、話は違ってきます。

その他、WSJのニック・ティミラオスが、経済学者グレッグ・マンキューが、FRBの引き締めが性急過ぎるという経済学者/評論家のポール・クルーグマンの評価に同意したと指摘したツイートも、センチメントの変化を後押ししたのかもしれません。これに対してニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁 は、FRBはメッセージを発信し続けなければならないとの考えを表明しています。「金融引き締めは需要を冷やし、インフレ圧力を低下させ始めたが、我々の仕事はまだ終わっていない」。ウィリアムズ総裁の発言は、FRBの政策が成功していると考えていることを示唆しています。したがって、市場における最も強いリスクは、サービス業の活動が依然強く、労働市場が依然として非常にタイトで、賃金圧力がさらに高まっていることを示唆する米国経済指標でしょう。FRB の予測では、弱い成長率と 4.4%の失業率というソフトランディングを想定しています。景気後退局面での自己実現的な悪循環や、雇用のような遅行指標を重視するFRBは、最終的にはるかに悪い結果を招く可能性があります。

米ドルは週初、弱含みの展開を見せています。しかし、ユーロ/米ドルは重要な0.9900レベルの支持線のすぐ上のレベルを維持しています。豪ドル/米ドルは、後述の通り、反転のための材料をはるかに多く持っています。しかし、現在最も注目すべきペアは米ドル円であり、米国債利回りの大幅な低下にもかかわらず、145.00近辺に留まっています。市場、日銀、財務省の間の攻防で何らかの突発事象が発生するリスクが残っており、依然として不安定となっています。そのため、円のパフォーマンスは非常に低い状態にあります。

チャート:豪ドル/米ドル

昨日から一夜明け、豪ドル/米ドルのチャートは興味深いものとなっています。強いリスク心理と米国債利回りの低下が米ドルを圧迫し、商品価格を押し上げ、いずれも豪ドルにとっては支援材料となりました。しかしその後、ハト派的なRBA(詳細は後述)の行動により、オーストラリア国債利回りが大幅に低下したことで、豪ドルはオーバーナイトで圧迫されました。0.6530の抵抗線近くでの攻防となると思われましたが、米ドルがさらに弱含んだことにより今朝には一瞬上抜けしましたが、その後は再び元のトレーディングレンジに戻りました。下方トレンドが非常に強いため、ここで下方トレンドからの反転を見るには、少なくとも0.6700を超えるまでの急騰が必要となります。
Source: Saxo Group
RBAは25ベーシスポイントの小幅な引き上げにより政策金利を2.60%とし、大方の観測筋を驚かせました。RBAの政策金利はFRBより少なくとも100-200ベーシスポイント高い水準にあると予想されていたかつての体制と比較すると、大きく変化したものです。FRBが3.00%超まで利上げを行ったのは2005年半ばで、RBAの オフィシャル・キャッシュレートの誘導目標がすでに5%を超えていた時でした。RBAは最新の声明で慎重な行動をとることを選択し、景気がやがて弱まるにつれ、労働市場が短期的に強い状況を経て、失業率がいずれ上昇するとの見通しを示しています。ロウ総裁らは、実施済みの急激な引き締めが住宅ローン金利や将来の支出に与える影響について明らかに不安と不透明感を抱いており、声明では引き続き他国よりも賃金の伸びが低い点を挙げています。上記の豪ドル/米ドルについての見方に加えて、今夜のニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利決定の結果、豪ドル/ニュージーランドドルが相対的にどの程度強さを維持するかにも注目されます。豪国債利回りが急激に低下しているためです(今回の会合後、1年国債利回りは50bpもの大幅な低下を記録しました)。1.1250-1.1300ゾーンを下回って下落すれば、私が以前引用した、両国の経常収支の相対的な変化に応じて両通貨のレートを見直す試みが間違っていたことを示唆するリスクがあります。

クワーテング英財務相が昨日、同国の所得税の最高税率引き下げ案を撤回したことで、英ポンドは上昇しました。政治的には不人気ですが、財政的な影響という点では最も影響が小さい項目であったことが興味深いところです。今のところ、リスクセンチメントの回復を背景に、ポンドのショートカバーが続いていますが、それほど単純な問題ではないように思われます。テクニカル的には、英ポンド/米ドルの1.1500ゾーンの主要抵抗線ゾーンを試すのか、あるいはユーロ/英ポンドの0.8700下の旧レンジへの弱気の反転が定着するかが注目されます。しかし、このような状況下でも、政府は依然として不安定な状態にあります。トラス首相は、年金受給者以外の英国の福祉配分をインフレ率に合わせて引き上げるべきかどうかは未定であるとし、一部の党員を激高させていると報じられています。クワーテング財務相は圧力の高まりを認識し、予算責任庁が予測を発表する11月下旬から今月下旬に財政声明を前倒しで発表する予定です。

表:G10諸国FXボードとオフショア人民元のトレンドの推移と強さ

米ドルは、直近で下落する前に上昇トレンドで大きく上昇したため、中期的な上昇トレンドの強さが残っているが、モメンタムは米ドルに著しくシフトしています。その一方で、英ポンドは、最近のG10通貨が小動きであることから、G10に対してポジティブなトレンドを示しています。例えば、英ポンド/ニュージーランドドルは2月下旬以来の高値にあります。その他、強いリスクセンチメントとスイス国立銀行が抱える課題に対する懸念から、先週、スイスフランは急落しました。
 

表:FXボード 個別ペアのトレンドスコアボード

スイスフランの急落により、最も長く続いた英ポンド/スイスフランの下落トレンドが消滅しました。英ポンドの上昇が続いています。また、米国債利回りの変化により、銀(XAG)/米ドルが突然予想外の動きをし、金(XAU)/米ドルも上昇トレンドが見られます。
 
Source: Bloomberg and Saxo Group

今後の予定

・12:30 -  ECB理事会メンバーのセンテノ・ポルトガル中銀総裁発言
・13:00 – 米FRBウィリアムズニューヨーク連銀総裁(投票権者)発言
・13:15 – 米FRBメスター・クリーブランド連銀総裁(投票権者)発言
・14:00 – 米製造業受注(8月)
・14:00 – 米JOLT求人件数(8月)
・15:00 – ラガルドECB総裁発言
・0100 – ニュージーランド準備銀行オフィシャル・キャッシュレート誘導目標発表

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