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為替アップデート:主要国3中銀の会合を前に、市場は重要な局面を迎える

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ジョン・ハーディ

グローバルマクロ戦略責任者

サマリー:  今週は主要国3中銀(FRB、ECB、BOJ)の金融政策決定会合が控えており、特にFOMCは米5月米消費者物価指数(CPI)の翌日から開催されるため、為替市場に極めて重要なインパクトをもたらす可能性があります。ECBは木曜に利上げ継続を決定する見通しですが、最近の弱い経済指標を受けて、その先の利上げ観測は後退しつつあります。なお、日銀が今週の会合で政策修正に動くとの見方は少ないことから、場合によってはサプライズを引き起こす可能性が最も高いと考えられます。


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※本レポートは自動翻訳を一部修正したものです。原文と和訳に齟齬がある場合は原文が優先されます。

主なポイント:

  • 5月ノルウェーCPIは予想を上回って加速し、NOKは急伸
  • 今週は主要国3中銀すべての会合が予定されており、日銀が最大のサプライズを引き起こす可能性があるが、市場は政策修正をほとんど織り込んでいない。

  • 英ポンドについては、4月の英雇用統計と失業保険申請件数が予想以上に悪化したため、火曜(13日)に公表される5月の雇用データが注目される。

トレードのポイント:

  • NOK: 今日の大きな上昇はEURNOKのトレンドが転換していることを示唆しており、11.15またはそれを下回る水準に戻る可能性があるため、上昇時に売るというスタンスを取ることも可能です。NOKSEKは、水曜のスウェーデンCPIを前に、押し目買いの機会が生じる可能性がある。
  • USD: 火曜(13日)公表の5月コアCPIが予想と一致する、または予想を上回れば、FRBは水曜のFOMCで利上げに動く可能性が残されている。 
  • EUR: 今週のECBは、25ベーシスポイントの引き上げが確実視されており、サプライズの可能性は極めて低いものの、ユーロ圏の経済指標の著しい悪化を受けてECBがどのようなガイダンスを示すかが注目される。
  • JPY: 日銀が今週の会合で政策修正を決定した場合、市場の混乱を引き起こす可能性が最も高い。しかし、皮肉なことに、市場は新たな修正をほとんど期待していないため、その場合は大きなサプライズとなる可能性がある。

ノルウェー5月消費者物価指数(CPI)でEURNOK反転のトレンドが定着
今朝方発表されたノルウェーの5月CPIは、予想を大きく上回る結果となり、ヘッドラインの数値は前月比+0.5%、前年比+6.7%と、予想の+0.3%、6.3%をそれぞれ上回りました。より重要な指標となるコア指数は前月比+0.7%(予想:+0.4%)、前年比+6.7%(前年比の伸びは現サイクルの高水準を更新)といずれも上昇し、ノルウェー中銀は懸念を高めているものとみられます。その一因として、NOKが年初からユーロに対して10%以上下落していることがあげられます。ノルウェー中銀が次回6月22日の会合で50ベーシスポイントの利上げを実施する可能性があるとの観測が広がったことで、市場が追加利上げを織り込んだことからEURNOKは急落しました。また、石油・ガス売却収入を相殺するための外貨購入の拡大を停止することも望ましい選択肢となり得るでしょう。ノルウェー中銀は今月も外貨準備高を極めて高い水準に維持しています。下図に示す通り、EURNOKは昨年夏以降、驚異的なペースで上昇トレンドを辿った後、反転の兆しを見せています。

図表:EURNOKの推移
本日公表されたノルウェーの5月消費者物価指数(CPI)が予想を大きく上回ったため、ノルウェー中銀の利上げペースが再び加速するとの観測が広がり、EURNOKは今年に入って初めてこれまでの上昇分の大半を巻き戻した後、もう一段の下落に転じています。昨年8月に付けた9.61付近の安値から12.10の高値に向けた持続的な上昇トレンドのわずか38.2%の下落で11.15まで戻るとは信じがたいことです。

 

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Source: Saxo Group

FOMC:市場は利上げの可能性を過小評価している可能性も。13日(火)のCPIがポイントに
8日に公表された米新規失業保険申請件数は26万1000件と予想を大幅に上回り(下方修正されない場合は2021年11月以来初めて25万を上回った)、FRBが14日(水)から開催されるFOMCで利上に動くとの見通しが後退しました。現在、市場が織り込む25bp利上げの確率は25%~30%程度とみられます。しかし、13日(火)火曜に公表される米5月消費者物価指数(CPI)は、FRBにとって失業保険申請件数よりも追加利上げの判断材料としてはるかに重要な指標となります。コアCPIの前年比伸び率は過去4ヵ月連続で5.5%、または5.6%とそれまでの減速傾向は一服しましたが、5月は現サイクルで最も低い5.3%へと鈍化する見通しです。総合指数の前年比は6月まで昨年の反動から下振れしやすい傾向が続くため、4月の4.9%から4.1%に減速すると予想されます(例えば昨年6月はガソリン価格の高騰がピークに達しました)。コアCPIが前月比と前年比のいずれでも予想を上回った場合、FRBが利上げ停止よりも利上げに踏み切る可能性の方がはるかに高いと考えられます。ここで注意すべきことは、FRBが3月のFOMCで公表した経済予測で失業率が4.5%に上昇し、コアPCEが3.3%に低下するとの見通しを示している点です。しかし、4月のPCEは4.7%と、昨年12月の4.6%からほぼ横ばいとなりました。たとえCPIが予想と一致する内容としても、FRBが利上げに動く公算が大きいと考えられますが、それよりも重要なことは、FRBが最新の経済予測にどのようなメッセージを織り込むかであり、特にFRBの金融政策やPCEの動向、および今年以降の見通しを総合的に反映した「ドットプロット」から読み取られるメッセージかもしれません。いずれにしてもFOMCが市場センチメントを動揺させる決定を下した場合、米ドルが上昇する可能性は高いと予想されます。

 

ECB:特段のサプライズはない見通し
市場は総じてECBが木曜の会合でユーロ圏経済が悪化していることを認めた上で25bpの利上げに踏み切り、「断固として」インフレ抑制に向けた戦いを続ける必要があると主張するものと予想しています。ドイツとユーロ圏が公表した第1四半期のGDPはわずかにマイナス成長に転じ、ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)の5月速報値が予想を下回って減速したこともあり、ECBが今回会合で市場の予想どおり追加利上げを実施し、現行のガイダンスを基本的に維持することは、それほど困難なことではないでしょう。なお、米シティグループのエコノミック・サプライズ指数は-90と極めて低い水準に達しています。これらを踏まえると、ECBが木曜の会合でサプライズを引き起こす可能性は低いと考えられます。

日銀:サプライズ修正となれば市場に最も混乱させる可能性が
植田総裁が最長1年半程度の時間をかけて政策レビューを行うと宣言したため(来年3月の賃上げ交渉の動向を見据えて)、微修正の観測でさえ後退しています。しかし、市場が金融政策の据え置きを予想していることや、常に数兆円に上る日本人投資家の資金が世界の金融市場に流れていることを考えると、日銀が何らの形でサプライズ修正に踏み切れば、甚大なインパクトをもたらす可能性があります。昨年12月の会合で長期金利の変動幅の上限0.25%から0.50%に引き上げたことで、円が一時的に急落(ドル/円はわずか1日で7円近く下落)した時のことを忘れてはなりません。オーストラリア準備銀行とカナダ銀行が先週の会合でともに利上げを再開し、ノルウェー中銀が50bpの追加利上げに動く可能性が高まる中、日銀が政策修正に動くプレッシャーは強まっていると考えらます。また、FRBが今回会合で利上げに踏み切れば、圧力は一段と高まるでしょう。理論的にはその確率は低いと考えられますが、市場が予想しているよりもその可能性は残されており、日銀が何らかの政策修正に踏み切った場合はECBやFRBをはるかに上回るインパクトを市場にもたらす可能性があります。

 

来週火曜の英5月雇用関連統計に注目
今週(12日週)は英ポンドにとっても重要な試練が待ち受けています。米シティグループのエコノミック・サプライズ指数(英国)は、+70と予想外に堅調ですが、先月公表された主要経済指標のうち、最もサプライズとなったのは雇用関連統計のデータです。4月の給与所得者数は前月比13万6000人減と予想外の減少となりました。また、失業保険申請件数は4.7万件とパンデミック以来の高水準に達しました。もし5月の統計がさらに弱い内容となれば、イングランド銀行(BOE)は6月22日の会合でタカ派的なガイダンスを示す可能性は幾分後退するでしょう。現在、英国債と米国債の2年物の利回り格差(市場が織り込む2年先の2年国債利回り)は70bp+と数年ぶりの高水準を付け、過去の平均的なレンジのピーク(トラス政権下でクワーテン財務相が発表した減税ミニ予算が引き起こしたパニック時のスプレッドに匹敵)に達しています。2025年の同じ時期に英国債の2年物利回りが4.14%であるのに対し、米国の2年物利回りが3.43%で織り込まれていることを考えると、利回り差は過度に拡大しているように見受けられます。

図表:G10通貨と人民元のトレンド
米ドルは概ね横ばいで推移しており、今週のFOMCが何らかのカタリストをもたらす可能性があります。市場が織り込むFRBの6月利上げ確率は25%に低下していますが、それでも利上げが行われる可能性は残されています。しかし、今週予定される主要中銀の会合のうち、最も市場にボラティリティをもたらす可能性を秘めているのは日銀の政策決定となるでしょう。なお、ここ数日にわたってNOKが急速にモメンタムを取り戻していることは注目に値します。また、人民元はスイス国立銀行(SNB)のジョルダン総裁が昨日(8日)インフレ圧力の高まりについて警告を発した後、堅調に推移しています。

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Source: Bloomberg and Saxo Group

図表:FX Boardのトレンド(通貨ペア別)

スウェーデンクローナ(SEK)のクロスレートは大きくアンダーパフォームしており、来週水曜(14日)のスウェーデン消費者物価指数(CPI)で試される展開が予想されます。最近のSEK安は、ユーロ圏経済が予想以上に悪化していることが一因となっている可能性があります。EURNOKは今日、下落トレンドに転じる見通しで、GBPUSDの方向性を確認するためには、おそらく来週火曜(13日)の米国CPIと雇用関連統計のデータを待つ必要があるでしょう。

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Source: Bloomberg and Saxo Group

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