サマリー: 最大の注目通貨ペアはドル円ですが、毎週ドル円というわけにも行きませんし、150円の大台目前と取引しにくい水準となっていますので、今週はユーロドルをピックアップしました。ユーロは高インフレで来週も大幅利上げが予想されますが、景気後退も確実視されスタグフレーション状態です。地政学的にも政治的にも悪材料が多くユーロは買いにくいにも関わらず、通貨先物のユーロは買い持ち、テクニカルにはどうなのかを考えます。
今週はユーロドル(EURUSD)と米国個別株CFDを2つ取り上げます。
ユーロドル(EURUSD)
急速な円安進行で最大の注目通貨ペアはドル円(USDJPY)なのですが、ドル円ばかりでは面白くありませんので、今週は主要通貨からユーロドル(EURUSD)をピックアップすることとしました。
欧州では前回発表されたHICP(いわゆるCPI)が10%と二桁に乗せてきたことで、27日のECB理事会では0.75%の利上げが確実視されています。しかし、11月2日のFOMCでも0.75%の利上げがコンセンサスであることから、米国と欧州とでは金利差は現状のままで、その点ではECBの利上げはユーロ買い材料とはなりません。逆に景気後退が確実視される中での金利上昇によるスタグフレーション状態がユーロの最大の悪材料となってきます。
政治的にもイタリアでは極右政党が政権を取り右派連合による連立政権樹立から欧州の中でもポピュリズム色が濃くバラマキ政策が財政の悪化を招くと見られています。財政悪化という点ではお隣の英国もトラス政権が減税政策をほぼ全て引き下げるという状況に追い込まれたことは記憶に新しいところです。
またロシアによるウクライナ攻撃や4州への強硬な支配の実施を見る限り、ウクライナ問題は長期化必至ですし、そうなると地政学的なリスクに留まらずウクライナ支援もまた欧州の財政に悪影響を与えることとなります。ファンダメンタルな部分ではユーロにとっての悪材料しか見当たらないというのが現状でしょう。
さらに気になる点として、悪材料しか見当たらないにも関わらずシカゴの通貨先物ではここ1カ月ほどユーロ買いポジションとなっていて、ユーロが下げている中で4万枚程度のユーロ買いが続いています。潜在的なユーロ売り圧力となりやすいと考えると需給面でもユーロは買いにくくなります。
そして、今回のレポートでも最も指摘しておきたい点がテクニカルな観点です。日足チャートをご覧ください。年初来高値からの動きを示しているのでぎゅっと詰まったチャートですが、年初来高値からのレジスタンスラインでことごとく反落している様子がよくわかります。直近ではパリティトライ、今週の高値圏とレジスタンスラインに届かず下げに転じていますが、現状0.99水準を低下しているレジスタンスラインは今後は一段と水準を下げてくることとなり、全体的なドル高地合いの中で改めて年初来安値を更新する動きにつながる可能性は高いと言えそうです。
大きくは下降チャンネルの中で、目先は先週安値0.96306をターゲットにユーロ売りを考え、先週安値を下抜けるようであれば年初来安値0.95350を視野に入れての動きを考えたいチャートであると見ています。