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アナリスト/アセンダント代表
サマリー: 今週はドル円を取り上げました。ドル円は年初来高値からの調整が9円にも達し、その後は2日で4円以上の戻しと荒っぽい値動きを続けています。ドル円だけでなくクロス円でもドル円の動きが左右していることから、今週は足元のドル円の動きについてどのようなことが考えられるのか、ここまでの動きを振り返りながら考えてみます。
ドル円(USDJPY)は最近の動きが激しくなってきたことから、ドル円だけでなくクロス円全般の動きを考える際にも分析が欠かせなくなっています。7月高値139.382から8月安値130.380までちょうど9円の下げとなり、材料面だけでなく中長期的に円安を見込んでいた向きのストップオーダーもかなり入り込んだと見られます。
さらに今週の安値から昨日の戻り高値134.542までわずか2日で4円以上もの戻しとなり、中長期的にどう考えるのかに加え、短期的にもどう考えることが妥当なのかも重要となってきました。ここまでの材料についてざっと復習しておきましょう。
ドル円が年初来高値1998年以来の高値をつけた139円台前半までの動きは米国が利上げに動く一方で日銀は大規模緩和継続という日米金利差拡大がドル円上昇のベースにありました。しかし、米国の経済指標に弱い数字が混ざる中で、欧州のみならず米国でも景気後退リスクが高まってきたことを背景にFF(政策金利)先物はピークが3.25%水準へと下がり時期も年末から来年3月となり、それ以降は緩和に転じるという見方が広がりました。
先週には米国GDPが2四半期連続でマイナスとなり、定義的にはリセッション(景気後退)となったこと、さらにペロシ下院議長の訪台によるリスクオフ懸念から130円台前半までのドル安を見ることなりました。その後、訪台による中国の反応が想定内であったこと、FRB関係者が来年の緩和への転換は市場参加者のミスリードであるといったタカ派発言が続いたことから急速に値を戻した流れです。
材料的には好悪ミックスしていますが、ホワイトハウスや政府関係者がリセッション入りを否定したり、FRB関係者が緩和見通しを否定するなど、市場関係者の見通しを否定していることは、それだけ当局も現在の情勢を気にしていることの表れであるとも言えます。引き続きドル円に関しては日米金利差の変化も見ながら、戻り売りが出やすい地合いにあると言えそうです。
テクニカルにはまず週足チャートを見てみましょう。
長期的には2021年初の安値を起点としたドル上昇相場ですが、今年3月までは緩やかなそれ以降は急なドル高となっているものの起点の安値102.582から今年7月高値139.382まで約37円のドル上昇相場の中で比較的大きな調整は今年5月からの下げと今回の下げ程度で、139.382は場合によっては中期的な高値となった可能性が出てきました。
いっぽうで高値からの押しも2021年初安値と高値との23.6%押しが130.697(左に伸びるターゲット)、今年の年初来安値と高値との38.2%押しが129.479(右に伸びるターゲット)と130円の大台は今回の調整のターゲットとなる水準でもあり、今週の安値が130.38であったことを考えると、短期的には上も下も見た可能性はかなり高いと考えてよさそうです。
日足チャートも見てみましょう。
ここでは年初来高値と今週安値との戻しを示してありますが、半値戻しが134.881、61.8%戻しが135.943となっていて135円の大台超えはテクニカルに売りが出やすいであろうと見てよさそうです。
当面のドル円はこれらを総合して考えると、130円台は買い、135円台は売りといったん次の方向性が出てくる前の踊り場を形成しやすいといえ、長期的な方向性はいまだドル高なのか、既に高値を見たのかは今後の米金利動向を見ながらという流れになりそうです。