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株式のワンダーランド

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ピーター・ガンリュー

株式戦略責任者

サマリー:  中国の劉鶴(Liu He)副首相は、コモディティ価格の上昇や新型コロナの流行によるロックダウンで打撃を受けている経済と、中国株ADRを含む株式に対し、中国政府は支援策を講じる意向だと表明しました。これを受けて16日、中国株は大幅に反発し、ハンセン指数は9%上昇しました。今回の記事では、中国株に関する見解と、最近の下落が買いのチャンスなのかどうかを見ていきます。また、直近は株価が反発しているものの、コモディティ価格上昇による投入コストの上昇や金融引き締めなど、世界株式市場に逆風をもたらしている様々な要因についても取り上げます。


劉鶴(Liu He)副首相の発言をきっかけに中国株は大幅反発

ウクライナでの戦争により中国経済と中国株のセンチメントへの逆風が一段と強まったことを背景に、中国株は2月10日の高値から27%も急落しました。機関投資家はウクライナでの戦争を理由に新興市場への配分を見直していますが、この戦争中のロシアに対する中国の姿勢は外国人投資家のセンチメントを悪化させる要因となりました。ロシアへの制裁により、コモディティ市場のボラティリティと価格上昇は加速しており、多量のコモディティの輸入国である中国経済は一段と圧力を受けています。さらに、中国は香港や本土で新型コロナウィルスの新たな流行拡大に見舞われていることから、深圳など複数の地域がロックダウンに追い込まれ、経済への逆風が一段と強まっています。

しかし、16日には劉鶴(Liu He)副首相がスピーチを行い、その中で、景気支援策に加えて、米国に上場している国外のADRを含む中国株に対する支援策を講じることを明言しました。16日、ハンセン指数は9%上昇し、前日の終値を上回って引けました。様々な方法で株式市場を支援するという発言は裏付けのない話にすぎず、米国に上場している中国企業の今後の監査要件を巡る米国との交渉は、依然として失敗に終わる可能性があります。しかし、中国の景気支援策が示されたことは、株式市場とって非常に重要なことです。

我々は多くの顧客から、中国株、中でも中国のテクノロジー株に関する見解を尋ねられます。実際に、KraneShares CSI China Internet ETFは最近、取引が最も多い商品の1つであり、投資家の間で中国株への関心が非常に高いことが分かります。中国のテクノロジー株に対する我々の姿勢は、1年以上前に新たな「共同富裕」政策が規制やセンチメントに影響を及ぼし始めた頃から変わっていません。中国のテクノロジー株が米国のテクノロジー株と比べて割安な水準にある限り、我々は中国のテクノロジー株に慎重な姿勢をとります。なぜなら、テクノロジー株のプレミアムは、成長性と技術力を示す強力なシグナルだからです。しかし、全般的な中国株式市場はどうでしょうか?

通常、バリュエーションを比較するには、EV/EBITDA などの営業利益に対する評価指標を用いますが、新興市場の場合は、配当利回りで評価する方が適していることがよくあります。この方法では、企業からの実際の現金流出を評価するため、会計上の利益に関する潜在的な問題が軽減されるからです。下のグラフが示すように、中国株は世界株式と比べて明らかに安い水準にあるわけではありません。

Source: Saxo Group

株式は現実の状況とのつながりを失ってしまったのでしょうか?

最終的には市場はかなり効率的であるため、自分の考えが市場のコンセンサスに反する場合は常に注意が必要です。とはいえ、株式市場は現実の状況とかけ離れているように見えます。欧州の株式市場はロシアによるウクライナ侵攻前の終値から2.3%しか下落しておらず、ブレント原油は開戦以降の上昇分をほとんど解消しました。このような価格の動きを合理的に説明できる唯一の理由は、ロシアの軍事作戦の失速が早期の平和につながるという期待が市場で高まっていることです。この論理が正しいことを示す動きとして、16日、ロシア政府から、ウクライナが自国の軍隊を保持する中立国になるという妥協案が正式に発表されました。これは前向きな一歩ですが、事態はまだ変化する可能性があり、何らかの取引の一部として、ロシアが妥当なスケジュールで欧州に制裁の撤回を求めると考えることもできます。

しかし、仮にウクライナに平和が訪れたとしても、ロシアへの制裁はしばらく続き、コモディティ市場への波及効果も持続すると見られます。さらに、経済の供給面の制約が、インフレを通じて引き続き企業を苦しめることになるでしょう。投資家は、株価のバリュエーションを左右するファンダメンタルズ要因を改めて思い出す必要があります。それは以下の4つの要因です。

1.売上高の成長率
2.EBITA利益率
3.投資の増額
4.割引率

これら4つの要因のうち、売上高の成長率だけが株価のバリュエーションにとってプラスの傾向を示しています。これは、大規模な財政刺激策により、インフレ率と名目経済成長率がともに上昇しているからです。しかし、インフレ圧力、世界的なサプライチェーンの混乱、賃金上昇圧力、コモディティ価格のボラティリティの高さが営業利益率の足かせとなり、営業利益率は前四半期には低下しました。毎週途切れることなく、利益率の見通しを引き下げる企業が相次いでおり、16日には BMWとFevertreeが営業利益率の見通しの引き下げを発表しました。世界経済は過去10年間にわたる投資不足のために供給面で制約を受けているうえ、パンデミックの影響で企業はアジアでの生産を縮小しているため、今後10年間には大幅な投資の増額が必要になる見込みです。Intelは15日に、研究開発施設、製造、ファウンドリーサービスを含め、今後10年間に欧州に800億ドルを投じる設備投資計画の第一段階を発表しました。そして4つ目の要因については、米国10年債利回りが2.2%近くに達し、中央銀行がインフレ対策として金融引き締めを示唆している中、割引率は上昇しています。

全体的には、株価のバリュエーションの方向性はマイナスです。現在のバリュエーションは1995年~2022年の測定値の87%パーセンタイルにとどまっています(下のグラフを参照)。インフレとコモディティ市場の混乱を反映して、株価のバリュエーションは今後、過去の平均的な水準に向かうと我々は見ています。
Source: Bloomberg

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