ソフトランディングとインフレ鈍化説が主流となっているが... ソフトランディングとインフレ鈍化説が主流となっているが... ソフトランディングとインフレ鈍化説が主流となっているが...

ソフトランディングとインフレ鈍化説が主流となっているが...

株式
PG
ピーター・ガンリュー

株式戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  インフレ鈍化説が6週間前から形成されてきており、水曜日に発表された米消費者物価指数(CPI)でそのことが短期的に正当化され、強気の見方が後押しされています。しかし、経済の供給サイドにおける構造的な問題が解決され、また賃金と家賃が堅調に推移していることが今後、さらなるインフレ圧力となるでしょう。逆流性食道炎治療薬「ザンタック」を巡る問題で、サノフィとGSK(グラクソ・スミスクライン)の時価総額が400億ドル(約4兆円)も減少していることについても考察します。最後に、来週の決算に言及します。


インフレ鈍化と見るには時期尚早

水曜日に発表された米国の7月消費者物価指数(CPI)は、ソフトランディングとインフレ鈍化の見方を後押しし、デュレーションの長い資産の上昇につながりました。S&P500先物は上値を試し、200日移動平均である4,325レベル付近で推移していますが、短期的にみてこの水準は米国株にとって非常に大きな重しというわけではなくなりました。

株式市場では、インフレに関する良いシナリオに基づいた買いが幅広く見られますが、まだその判断は時期尚早であることを強く主張したいと思います。FRBは緩和政策に転じる前に、米国のコアCPI前月比の6か月平均が0.2%に戻ることを期待しており、それは少なくとも来年第1四半期末までは不可能であると思われます。物流を除く多くの構造的問題はまだ解決されていません。この冬に中国で新型コロナウイルスが大流行した場合に再び問題となる可能性があることと、世界の鉱業およびエネルギー産業では実質的な設備投資がまだ回復していないためです。また、労働市場は依然として逼迫しており、特に米国はパンデミックにより労働力の約1.5パーセンテージポイントを失い、最も大きな打撃を受けましたが、それらの労働者が市場に戻ってこない可能性があります。

米国と欧州の両方で家賃が急激に上昇しており、さらにこの冬はエネルギー危機がより深刻化する可能性があるため、欧州諸国の消費者の体力が試されることになるでしょう。米10年債利回りが再び3%を上回れば、世界の株式はネガティブな反応を示すはずですから、投資家には米10年債利回りに注目することをお勧めします。
 
S&P 500 continuous futures | Source: Saxo Group
US CPI core m/m | Source: Bloomberg

大型医薬品「ザンタック」での賠償責任の可能性がサノフィ、GSK、ファイザーに打撃

ヘルスケア業界は、安定しており、バリュエーションが高く、キャッシュフローの予測可能性も高い業界ととらえられていますが、逆流性食道炎治療薬「ザンタック」をめぐる懸念が高まり、業界が揺らいでいます。サノフィ、GSK、ファイザーの3社の時価総額は合計で400億ドル下落し、アナリストは損害賠償責任が100-450億ドルに達すると見積もっています。「ザンタック」は、許容量を超える発がん性不純物の混入が確認されるとの米食品医薬品局(FDA)からの指摘を受け、市場から自主回収されました。8月22日にイリノイ州での訴訟が予定されており、この問題がどう進展するかを示唆する最初の動きとなるでしょう。サノフィとGSKの両社にとって、短期的には逆風が吹き続けるとみられますが、ファイザーは他の2社よりも同治療の販売期間がはるかに短いようです。
 
Weekly share prices of Sanofi, GSK, and Pfizer | Source: Bloomberg

来週注目すべき決算

第2四半期の決算シーズンが終わりを迎えようとしていますが、エネルギーセクターの大幅な増益を受け、企業収益全般は過去最高水準まで上昇しました(グラフを参照ください)。しかし、ナスダック100に代表されるテクノロジー・セクターは減収となり、これまで急成長してきたテクノロジー企業の多くがコスト削減の必要性に迫られるなど、今期も冴えない結果となりました。

来週の最も重要な決算は以下の通りです。太字は、市場や業界のセンチメントを動かす可能性があるものです。月曜日の美団は、中国の個人消費と行動を測るうえで重要です。同じく月曜日に発表予定のオーストラリアの鉄鋼会社、BHPグループは、中国の鉄鉱石の需要と成長に左右されるため要注目です。火曜日には、ウォルマートとホームデポの決算があり、世界のサプライチェーンと幅広い消費財への価格圧力に関する最新の情報が得られます。水曜日に予定されているテンセントの決算も重要です。中国のテクノロジー株については、中国における最近の独禁法改正により、大手テクノロジー・プラットフォーム企業に対する圧力が高まっているためです。決済業界では、オランダのアディエンの決算が注目されます。アディエンは、ペイパルが成長し市場での支配力を高めているなか、同社に挑もうとしています。

月曜日:中国建設銀行、中国農業銀行、美団、中国人寿保険、中国神華能源、中国石油化工、BHPグループ、中遠海運、リ・オート、トリップ・ドットコム・グループ、ディディ・グローバル
火曜日:中国電信、ウォルマート、アジレント・テクノロジー、ホームデポシー
水曜日テンセント、香港証券取引所、アナログ・デバイセズ、シスコシステムズ、シノプシス、ロウズ、CSL、ターゲット、TJX、コロプラストカールスバーグ、ウルフスピード
木曜日:アプライド・マテリアルズ、エスティローダー、網易、アディエンNIBEインダストリエ、ギーべリッツ
金曜日:招商銀行、中国海洋石油、深圳邁瑞生物医療電子、小米集団ディア
 

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