台湾をめぐる緊張とキャタピラーの決算 台湾をめぐる緊張とキャタピラーの決算 台湾をめぐる緊張とキャタピラーの決算

台湾をめぐる緊張とキャタピラーの決算

株式
PG
ピーター・ガンリュー

株式戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  海外投資家は、ウクライナ戦争、脱グローバル化の流れ、中国経済の減速、潜在的な景気後退に対する懸念を背景に、2022年に中国へのエクスポージャーを大幅に減少させてきました。台湾をめぐる緊張とロシア資産の凍結から得た教訓も、投資家にポートフォリオと中国へのエクスポージャーを見直させるものとなりました。最後に、キャタピラーの第2四半期決算について考察します。同社の第2四半期の業績は好調で、さらに重要な点として、中国と欧州以外については依然として堅調な成長が予想されています。


外国人投資家は中国へのエクスポージャーを削減

本日のSaxo Market Callポッドキャストでは、米下院議長のナンシー・ペロシ氏が台湾を訪問し、それによって米中間の緊張が高まっていることに焦点を当てています。この訪問は、米議会が、米国内でのコンピュータ・チップの生産を大幅に増加させる一方で、米国の半導体企業が28ナノメートル以下のチップを中国で増産することを制限する新たな法案を成立させたばかりのタイミングです。米中間の緊張は、株式市場にネガティブなセンチメントをもたらしています。

何十年もの間、中国と中国株は有望な投資対象であり、同国が経済を開放するに伴い、外国人投資家はそのエクスポージャーを高めていきました。中国は未来だったのです。しかし過去5年間は、民間部門、特にテクノロジー部門に制約を加え、米国との関係悪化に対処しつつ社会の安定を重視する政策に転換してきました。中国では現在、「自立」と「共同繁栄」の2つを軸として政策運営がなされています。

ロシアへの制裁適用と資産凍結を考えると、最初の方針「自立」は従来以上に重要となっています。戦略上の柔軟性を最大限確保するためには、中国は紛争時に自国と対立する可能性のある国から出来る限り独立した存在でなければなりません。もうひとつの方針である「共同繁栄」は、適切に運用されなければ、民間部門の成長や起業を阻害し、社会を混乱させるものとなる可能性があります。

ロシア・ウクライナ戦争と中国のロシアへの暗黙の支援により、40年にわたって世界経済を力強くけん引してきたグローバリゼーションについて、投資家は再考を余儀なくされました。ウクライナ戦争は台湾をめぐる緊張を新たなレベルに引き上げ、ロシアの金融資産の凍結は、台湾が将来、大きな地政学的事象に発展した場合、中国の金融資産に明らかなテールリスクをもたらすことを示唆しています。その結果、海外投資家は中国元債券を売却し、iShares China CNY Bond UCITS ETFはウクライナ戦争勃発以降、ユーロベースで5%上昇したにも関わらず資産の55%を失ったと当社は認識しています。

中国は、経済の減速、消費者心理の悪化、製造業の役割分担を規定していたグローバリゼーションからの脱却、住宅危機などの課題に直面しています。これらの全ての動きが相互に影響を与えつつ進行していることで、中国は痛みを伴う再調整を迫られるでしょう。中国の指導者層は、GDP目標はそれ自体を目標とするものではなく、指針であると述べました。40年以上にわたる中国の投資主導のブームは膨大な富を生み出し、何億人もの国民を貧困から救いましたが、同時に不均衡も生み出しました。中国は多くの意味で、1980年代の力強い投資ブームに伴って日本で生じたものと同様の「日本問題」に直面しています。

中国の銀行と不動産の危機の問題は、何年も前から発生しています。中国4大銀行のPBR(株式時価総額/総資産額)は、金融危機以降、右肩下がりとなっています。これは、銀行は融資拡大を公的部門から要請されていますが、その債権が将来的に良好な状態を維持するとは考えにくいと金融市場がみていることを示唆しています。このことは、中国において与信拡大が有効に機能する力が弱まり、もはや持続可能な選択肢ではなくなっていることも示しています。米国の銀行も同様で、市場も現状の与信拡大に納得していません。

中国株は2008年にピークアウトして以来、MSCIワールドもアンダーパフォームしています。世界の投資家は、先進国株式と発展途上国株式を比較することに無関心になりつつあります。2001年の中国のWTO加盟以降の時代には分かりやすい分類でしたが、投資家はいまや、国やセクターではなく、長期的な技術テーマに注目するようになってきています。
 
Total funds assets in iShares China CNY Bond UCITS ETF | Source: Bloomberg
MSCI China vs MSCI World on a total return basis in USD | Source: Bloomberg

キャタピラーは第2四半期業績予想を上回り、堅調な見通しも確認

世界最大の建設機械メーカー、キャタピラーの第2四半期決算は予想を上回り、EPSは3.13ドル(予想3.03ドル)、売上高は143億ドル(予想通り)となりました。同社は、北米と中南米で力強い価格実現力を発揮し、販売台数が増加している一方、欧州・中東・アフリカとアジア(主に中国)では販売台数が減少していると報告しています。キャタピラーの第2四半期の業績は、中国、特に建設業の減速を裏付けるものとなっています。グローバル全体としては、第3四半期はプラス成長であり、インフレにも関わらず堅調な成長が見込まれています。キャタピラーの決算発表と同時に、S&P500先物が上昇しました。
 
Caterpillar weekly share price | Source: Saxo Group

口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。 

最短3分で入力完了!

【ご留意事項】

■当資料は、サクソバンクグループのアナリストによるマーケット分析レポートの転載、もしくは外部のアナリストからの寄稿となっております。
■当資料は、いずれも情報提供のみを目的としたものであり、特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
■当資料は、作成時点において執筆者またはサクソバンク証券(以下「当社」)が信頼できると判断した情報やデータ等に基づいていますが、執筆者または当社はその正確性、完全性等を保証するものではありません。当資料の利用により生じた損害についても、執筆者または当社は責任を負いません。 
■当資料で示される意見は執筆者によるものであり、当社の考えを反映するものではありません。また、これら意見はあくまでも参考として申し述べたものであり、推奨を意味せず、また、いずれの記述も将来の傾向、数値、投資成果等を示唆もしくは保証するものではありません。 
■当資料に記載の情報は作成時点のものであり、予告なしに変更することがあります。 
■当資料の全部か一部かを問わず、無断での転用、複製、再配信、ウェブサイトへの投稿や掲載等を行うことはできません。
■上記のほか、当資料の閲覧・ご利用に関する「免責事項」をご確認ください。 
■当社が提供するデリバティブ取引は、為替相場、有価証券の価格や指数、貴金属その他の商品相場または金利等の変動によって損失を生じるおそれがあります。また、お預けいただく証拠金額に比べてお取引可能な金額が大きいため、その損失は、預託された証拠金の額を上回る恐れがあります。
■当社が提供する外国証券取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。 
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。 
■当社でのお取引にかかるリスクやコスト等については、 こちらも必ずご確認ください。

サクソバンク証券株式会社
Saxo Bank Securities Ltd.
Izumi Garden Tower 36F
1-6-1 Roppongi Minato-ku
Tokyo 106-6036
〒106-6036 東京都港区六本木1-6-1
泉ガーデンタワー36F

お問い合わせ

国・地域を選択

日本
日本

【重要事項及びリスク開示】

■外国為替証拠金取引は各通貨の価格を、貴金属証拠金取引は各貴金属の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、売買の状況によってはスワップポイントの支払いが発生したり、通貨の金利や貴金属のリースレート等の変動によりスワップポイントが受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■外国為替オプション取引は外国為替証拠金取引の通貨を、貴金属オプション取引は貴金属証拠金取引の貴金属を原資産とし、原資産の値動きやその変動率に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、オプションの価値は時間の経過により減少します。また、オプションの売り側は権利行使に応える義務があります。
■株価指数CFD取引は株価指数や株価指数を対象としたETFを、個別株CFD取引は個別株や個別株関連のETFを、債券CFD取引は債券や債券を対象としたETFを、その他証券CFD取引はその他の外国上場株式関連ETF等を、商品CFD取引は商品先物取引をそれぞれ原資産とし、それらの価格の変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、建玉や売買の状況によってはオーバーナイト金利、キャリングコスト、借入金利、配当等調整金の支払いが発生したり、通貨の金利の変動によりオーバーナイト金利が受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■上記全ての取引においては、当社が提示する売価格と買価格にスプレッド(価格差)があり、お客様から見た買価格のほうが売価格よりも高くなります。
■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。
■外国株式・指数オプション取引は、対象とする有価証券の市場価格や対象となる指数、あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動、指数の数値等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする有価証券の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式・指数オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式・指数オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式・指数オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。さらにこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式・指数オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時は銘柄の流動性や価格変動性あるいは法令等若しくは当社が加入する自主規制団体の規則等に基づいて当社が決定し、必要に応じて変更します。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。
■取引にあたっては、契約締結前交付書面(取引説明書)および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会
手数料:各商品の取引手数料についてはサクソバンク証券ウェブサイトの「取引手数料」ページや、契約締結前交付書面(取引説明書)、取引約款等をご確認ください。