過去50年間で株式相場が最も好調な月のひとつとなった7月
7月は世界の金融資産にとって信じがたいほど好調な月となりました。FOMCの金利決定と、パウエル議長が記者会見においてFRBはデータに基づく政策方向にシフトすると言及しフォワードガイダンスを示さなかったため、米国株式は9.3%上昇しました。市場は今のところ、FRBがまもなく引き締めのペースを緩めることを示唆するものと受け止めており、来年の利下げを織り込んでいます。市場は、インフレ圧力が緩和され、経済が実際にソフトランディングすることに賭けているようです。これは不確実性が高く、インフレ上昇要因の多くが依然として残っていることを考えると、大きな賭けです。昨年のインフレが消費者に及ぼした影響はまだ完全に顕在化しきっていないため、投資家はまだ慎重であるべきです。
MSCI米国ネット・トータルリターン・インデックスは1969年12月以来、月間ベースで過去16番目の高水準となり、モメンタムが続くのか、それとも平均回帰効果によって株価指数が下落するのかが大きな関心事となっています。短期的には平均回帰効果が支配的であるため、統計的には株式はその方向に向かうと予想されます。7月の上昇により、MSCIワールド・インデックスの株価バリュエーションは0.4標準偏差まで上昇しましたが、これは6月にシカゴ連銀全米活動指数の3か月平均がマイナスに転じ、今年の大幅な減速を示唆したことを考えるとやや過大評価です。
暗号資産はリスクテイク姿勢を最も純粋に表すため、当社のテーマバスケット全体では、暗号関連企業が好調な結果となりました。再生可能エネルギーおよびエネルギー貯蔵関連株も好調でした。これは、欧州のエネルギー危機が継続し、ロシアからの供給に依存しなくともエネルギー需要に対応できる新たなソリューションが早急に求められていることを示しています。7月の市場で最もパフォーマンスが低かったのは中国のテクノロジーおよび消費関連株で、9.6%下落しました。中国当局による締め付けが引き続き成長を圧迫していること、また多くの中国企業が将来的に上場廃止となる可能性があり、米国の公開市場での資金調達手段が狭まりつつあることが要因です。