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アナリスト/アセンダント代表
サマリー: 11月26日の東京早朝に駆け巡った変異株のニュースで株式市場は一気にリスクオフの動きが強まりました。
S&P500(US500.I)は先週22日に史上最高値4743.45をつけましたが、26日の東京早朝に飛び込んできた南アフリカ発の新たな変異株となるオミクロン株のニュースで大きく下げることとなりました。今回のオミクロン株はこれまでの変異株に比べても変異が多いことから感染力が高い可能性とワクチンの効果が少ない可能性が指摘されました。
症状は弱いという報道もありましたが、感染者が多い南アフリカでは人口ピラミッド的に若い世代が圧倒的に多く、そもそも重症化しにくいため、今後どうなるのかは現状では未知数という状況です。ただ日本をはじめ主要国が海外からの渡航者をストップさせる動きが早かったことや、モデルナCEOのワクチン効果が少ない恐れといった発言を考えると、ようやく人の移動制限が緩和され始めたところで新たな大問題が登場したことになります。
金融市場は全般にリスクオフの反応を見せましたがS&Pも最高値から急速に値を崩し、週明けに若干持ち直す動きを挟んでからも続落、昨日1日には4507.78ドルと高値から235.67ドル、率にして5.0%の下げ幅となっています。これまでの上昇から考えると5.0%の調整は調整の範囲内ではありますが、多くの市場参加者が油断していたところに直撃したこと、また変異株の状況がはっきりするにはしばらく時間がかかるであろうことを考えると、当面は戻り売りが出やすい地合いになってしまったと言えそうです。
テクニカルには、まず週足チャートをご覧ください。
昨年第4四半期を起点にサポートラインとそれに平行なラインとで上昇チャンネルを引いてありますが、オミクロン株ショック後もこのチャンネル内での動きを続けていますので、調整が下降トレンドへと転じるリスクはこのチャンネルを下抜けない限り大丈夫ということにもなります。
しかし、オミクロン株の状況がよくわからないことに加え、パウエルFRB議長は議会証言で一時的なインフレという表現から「一時的な」という形容詞を外し、12月15日FOMCではテーパリングの加速を議論することを示しました。年明けからテーパリング金額を倍増させれば3月末でテーパリングが終わり、いつでも利上げに動くことが出来るという点で、おそらくは利上げ見通しでも2022年中の利上げが示されるでしょう。
株式市場にとってはこの利上げ前倒し思惑も悪材料とされやすく、しばらくは戻り売りが出やすい展開となりそうです。日足チャートから今後の下げのターゲットを考えます。
10月1日安値と先週高値とのフィボナッチ・リトレースメントを見ると昨日安値はちょうど半値押しとなっていて、何も無ければ下げ止まってもおかしくはありません。しかし、オミクロン株の状況がわからない中、懸念材料の方がどうしても目立っていますので、61.8%押しとなる4451.01が上昇チャンネルの下限とも一致していることから同水準までの押しを想定した上で、買うか様子を見るのかをオミクロン株情勢と併せて考えることが望ましいでしょう。現時点では下げ止まる可能性半分、一段の下げとなる可能性半分という見方でいたほうが良さそうです。