次世代医療バスケットとタンパク質折り畳み問題 次世代医療バスケットとタンパク質折り畳み問題 次世代医療バスケットとタンパク質折り畳み問題

次世代医療バスケットとタンパク質折り畳み問題

株式
PG
ピーター・ガンリュー

株式戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  タンパク質の折り畳みの3次元構造を予測した、ディープマインド社のアルファフォールドアルゴリズム(人工知能プログラム)は、過去50年間の生物学における最大の科学的ブレークスルーの一つであり、長年の問題を解決したものです。このブレークスルーは、おそらくノーベル化学賞の受賞につながり、10年前には夢物語でしかなかった規模の創薬を進展させるものになるでしょう。アルファフォールドの公開によりバイオテクノロジー企業が今後数十年にわたって有望な投資対象となり得ることは、当社の「次世代医療」バスケットが長期投資において非常に重要なテーマであることを示しています。


ディープマインドからの、医学の大きなイノベーションを支える人類への贈り物

世界的なパンデミックのさなかの2020年11月、世界では医学と生化学の分野で2つの大きなブレークスルーが起こりました。まず、米ファイザーが、提携している独ビオンテックとともに、史上初めてmRNA技術を用いた新型コロナウイルスに対する非常に有効なワクチンを発表し、世界で最も早く開発されたワクチンとなりました。その後、ネイチャー誌は、グーグルのAI部門ディープマインドが、アルファフォールドという深層学習アルゴリズムによってタンパク質の3次元構造を予測するという画期的な科学的発見を発表しました。科学者たちは「この発見はすべてを変えるだろう」という見解で一致し、ディープマインドはアルファフォールド・タンパク質構造データベースをすべての科学者に無償で提供することを決めました。

その約20カ月後、ディープマインドはさらに一歩進んで、欧州バイオインフォマティクス研究所と共同で、宇宙で知られているほぼすべてのタンパク質のカタログを作成し、タンパク質構造のデータベースを100万から2億に拡張したと発表しました。アルファフォールド以前には、実験的な研究により19万ほどのタンパク質構造が明らかにされていました。人類に贈られたこの新しいデータベースは、生物学の理解を進め、創薬における飛躍的な進歩につながる可能性があります。ディープマインドの科学的ブレークスルーは、タンパク質の折り畳みという50年にわたる問題を解決し、ノーベル化学賞の受賞につながる可能性が高いでしょう。

投資家は長期的なポートフォリオの中で「生物学」へのエクスポージャーを持つべき

21世紀は生物学の世紀と言われ、計算生物学やアルファフォールドのような画期的な技術により、病気と闘うためのより良い薬をより早く提供することができるようになります。当社の「次世代医療」バスケットは、アムジェン、ギリアド・サイエンシズ、バーテックス・ファーマシューティカルズなどの大規模で好調な企業が中心となっているバイオテクノロジー業界のなかでも、イノベーションのロングテールを担う30社で構成されています。当社は、mRNA、遺伝子治療、遺伝子編集など、バイオテクノロジーにおける新しい技術に注目しています。

最大かつ最も流動性の高いバイオテクノロジー企業を対象とした、世界でも主要なバイオテクノロジー指数であるNASDAQバイオテクノロジー指数のリターンは、2003年後半から年率9.7%となっており、MSCIワールド指数が年率1.6%のアルファ(市場平均に対する超過リターン)を生み出すのに対して、NASDAQバイオテクノロジー指数では8.1%となっています。金利上昇により、デュレーションの長い資産(バリュエーションの高い企業または無収益の企業)の株価バリュエーションが下がり、資金調達がより困難になったため、この1年間でアルファはかなり減少しました。

アルファフォールドから派生する可能性のある創薬や、タンパク質への理解が深まることで、バイオテクノロジーは今後数十年にわたり大規模かつ非常に収益性の高いセクターになると思われます。マイクロソフトやコンピュータ業界は1980年代後半から年率5-10%のアルファ値を生み出しており、バイオテクノロジーセクターでも最終的には同様に、時価総額で株価指数構成銘柄の上位となる企業が生まれると当社は考えています。当社のテーマバスケットに含まれる銘柄に投資することもできますが、投資対象の価値やリスクの調査が必要ですし、有力な投資対象を選択できないリスクも伴います。代替案としては、バイオテクノロジーの主要ベンチマーク指数に連動するiShares Nasdaq Biotechnology UCITS ETF (2B70:xetr) や、当社の 「次世代医療」バスケットに近い Global X Genomics & Biotechnology UCITS ETF (GNOM:xmil) などのETFを利用する方法があります。

NameMkt Cap (USD mn.)Sales growth (%)R&D in % of mkt capDiff to PT (%)5yr return
Moderna Inc72,955227.63.36.1NA
BioNTech SE43,313831.02.433.9NA
Illumina Inc35,04934.03.735.014.7
Seagen Inc32,274-25.44.24.6256.0
Genmab A/S23,386-16.519.22.787.0
Argenx SE20,279-74.41.99.51,930.3
Exact Sciences Corp8,42213.34.449.723.0
Grifols SA8,3360.14.358.4-38.5
Swedish Orphan Biovitrum AB6,75121.032.912.684.7
CRISPR Therapeutics AG6,08783,039.37.745.1327.1
Ionis Pharmaceuticals Inc5,81718.911.418.7-21.7
Intellia Therapeutics Inc5,439-26.56.078.5345.3
10X Genomics Inc4,80750.04.979.8NA
Natera Inc4,71848.56.563.1491.0
Arrowhead Pharmaceuticals Inc4,690195.65.772.82,310.9
Beam Therapeutics Inc4,428251,025.05.946.4NA
Denali Therapeutics Inc4,083-75.67.1105.9NA
Mirati Therapeutics Inc3,992495.313.361.71,395.4
Ultragenyx Pharmaceutical Inc3,754-7.014.2109.0-15.3
Abcam PLC3,57320.30.917.727.4
Galapagos NV3,4863.613.220.7-19.2
PTC Therapeutics Inc3,41132.316.04.3142.1
Fate Therapeutics Inc3,18342.28.7129.91,016.0
Twist Bioscience Corp2,58944.33.6-9.8NA
Sage Therapeutics Inc2,140-99.414.764.4-58.6
Allogene Therapeutics Inc1,956-99.511.598.2NA
Iovance Biotherapeutics Inc1,892NA14.9126.2115.0
CareDx Inc1,30439.46.3102.71,601.4
Pacific Biosciences of California Inc1,16931.914.8127.129.9
Invitae Corp45650.6101.7181.4-80.8
Aggregate / median323,73831.96.854.087.0
出所: ブルームバーグ、サクソグループ

タンパク質の折り畳み問題はなぜ重要なのか

レックス・フリードマン氏との最近のポッドキャストインタビューで、デミス・ハサビス氏(ディープマインドの共同創設者)は、タンパク質の折り畳みがなぜ解決すべき重要な問題であるかを説明しています。タンパク質は生命と私たちの体の構成要素であり、細胞内で起こることのほとんどを担っています。病気を治す薬は特定のタンパク質に付着するため、薬を適切に設計するためにはその3次元構造を知る必要があります。従来は、タンパク質の立体構造を調べるのに平均で8年、場合によっては科学者がその発見をあきらめていたのですが、アルファフォールドを使えば、データベースからそのタンパク質の立体構造を調べることができるようになります。これにより創薬とタンパク質設計が加速することになるでしょう。

下の図は、アルファフォールドのタンパク質構造予測性能が競合他社に比べていかに優れているかを示しており、90点以上であれば実験により検討された構造と同等であることを示しています。

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