Netflixは暗い見通しで急落、ASMLは依然として需要好調

Netflixは暗い見通しで急落、ASMLは依然として需要好調

株式 7 minutes to read
Peter Garnry

Chief Investment Strategist

サマリー:  十年間続いてきたNetflixの成長は第1四半期に止まりました。会員数が20万人減少したうえ、さらに悪いことに、会社側の予想で第2四半期には有料会員数がさらに200万人減少する見通しが示されました。この背景にあるのは、競争が激化していることや、インフレにより家計が圧迫され、必要性が低いものが切り詰められている可能性があることです。ここでは、Netflixが成長軌道に戻るために活用できる四つの要因について見ていきます。また、今回のアップデートは、ASMLの決算についても取り上げます。同社の決算では、半導体需要は依然として好調であるものの、ウクライナでの戦争により半導体業界のリスクが急激に高まったことが示されています。


Netflixは、第2四半期の見通しを受けて株価が26%下落

動画配信企業であるNetflixは、十年以上にわたりとどまることなく成長を続けてきましたが、2022年第1四半期には有料会員数が20万人減少しました(下のグラフには2022年第1四半期のデータは含まれない)。ロシアでの70万人の減少を除外したとしても、会員数が250万人増加するという会社側の見通しには遠く及びませんでした。さらに第2四半期については、有料会員数が250万人増加するとの予想に対し、Netflixは200万人減少するとの見通しを示しました。市場の動揺を受けて、Netflixの株価は時間外取引で26%下落し、2021年後半に付けた過去最高値を65%下回る水準まで落ち込みました。

このことから、Netflixおよびセルサイドのアナリストについて何が分かるでしょうか?それは、アナリストにとっても会社自身にとっても、インフレ率の上昇による影響とともに、パンデミック後の需要状況、特にEスポーツやゲームで変化しつつある競争環境を理解することが難しい、ということです。インフレに直面した時、一部の世帯は、より低価格の消費財に代替することができますが、動画配信サービスは全て同じ価格水準で同一の製品を提供しているため、代替が起こらないのです。解約はインフレによるものである可能性が高そうです。

それでは、Netflixを魅力ある成長軌道に回復させる原動力になる要因は何かを見ていきましょう。

1)広告付きプラン:Netflixは、入口としての広告付き無料プラン、次に広告が少なく月額料金が安いプラン、最後に最も高額なサブスクリプションによる広告なしのプランという三段階の料金プランを採用する可能性があります。これにより、配信力が拡大し、グローバルな顧客基盤から幅広く収益をあげることができます。

2)パスワード共有の制限:Netflixにはパスワード共有に関する大きな問題があり、パスワードを借りた非課金利用者のログインが有料会員の三倍であるという試算もあります。このようなパスワード共有を難しくすれば、ある程度の売上高の成長を取り戻すことができるでしょう。

3)Eスポーツとゲーム:2億5,000万人近い有料会員を持つNetflixは、その配信力をもっと活用することができるはずです。同社は以前、競争上の最大の脅威はEスポーツとゲームだと述べていました。Netflixが自社を、映画やシリーズものを制作する動画配信サービス企業というよりも、エンターテインメント企業だと考えているならば、Eスポーツの配信やプラットフォーム上のゲームにも積極的に手を広げていく可能性があります。

4)ヒットメイキングの改善:Netflixはこの問題点については触れませんでしたが、この一年でNetflix制作の作品の質が低下し、十分なヒット作を生み出していないことは事実です。このことは長期的にはリスクであり、改善が必要な点です。

Source: Statista
Source: Saxo Group

安心感のあるASMLの第1四半期決算

2022年に入って半導体業界は厳しい状況に直面しており、当社の半導体テーマバスケットは年初来で24%下落し、今月だけで9%下落しています。金利上昇が高バリュエーション銘柄に打撃を与えてきました。また、世界のネオンガス生産量の大半がウクライナで生産されているため、ウクライナでの戦争が半導体業界に大きな事業リスクをもたらしてきました。さらに、世界のサプライチェーンの物流問題や原材料価格の高騰も、半導体の収益性を圧迫する要因となっています。

半導体業界向け紫外線リソグラフィ装置の世界最大手であるASMLは、20日朝、決算を発表しました。決算内容は一見悪そうに見えますが、その大部分は、物流のボトルネックに起因する納期の遅れに伴う収益計上のタイミングの問題です。ASMLによると、全体的に需要は非常に好調であり、現在の生産能力を大きく上回っているということです。

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