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Chief Investment Strategist
サマリー: 米国の株式市場はインフレ指標に対する感応度が極めて高いに地合いにシフトしており、市場は依然として経済成長率や企業収益の悪化よりも、期待インフレ率や金利に大きく左右されています。前月に続き11月の米消費者物価指数(CPI)がインフレ鎮静の兆しを示したことを受けて米テクノロジー株が市場を牽引し、ナスダック100指数は前日比4%上昇と今年9月ぶりの高値圏で取引を終えました。しかし、インフレ頭打ちに対する足元の高揚感は、いずれ時間とともに後退するでしょう。なぜならば、市場は長期的な資本コストを左右するインフレ率が、「一体どこで鎮静化するのか?」という疑問に対する答えを探しているからです。
インフレ率は鈍化も、どこで鎮静化するのか?
11月の米CPIのコアインフレ率が前月比で予想の0.3%に対して0.2%、前年比で予想の6.1%に対して6.0%といずれも予想を下回ったことを受け、ナスダック100指数は4%近く上昇し、今年9月以来の高値を付けています。先月と同様に株式先物市場はインフレ指標に大きく反応しており、市場はインフレ率の動向に極めて敏感になっているようです。これは、期待インフレ率が企業の将来キャッシュフローに適用する割引率を決定する重要な要素であり、長期的な資本コストを左右するためです。ただ6%を上回るコアインフレ率の上昇は行き過ぎで、このまま加速し続ける公算は低く、インフレ率が横ばい傾向にあることは以前から明らかでした。それよりも重要なのは、インフレは一体どの水準で着地するのか?という点です。以前のように2%台に戻るのか、あるいは経済の構造的な要因によって、このまま上昇し続けるのでしょうか?
当社がこれまでコモディティや通貨、株式等のレポートで述べてきたように、足元で起こっているグローバルサプライチェーンの混乱による中国からの国内回帰、グリーントランスフォーメーションによる燃料価格の高騰、気候変動問題による農産物の供給ショックの深刻化、中国の経済再開に伴う工業用金属やエネルギー価格の上昇、インドの都市開発の加速、各国の軍事費の拡大など、これらすべてが構造的なインフレ率の上昇につながります。先月のレポートで指摘したように、エネルギー価格を除く米CPIコア指数は、サービスで前月比+0.44%と、6カ月平均を+0.56%に押し下げました。これは今年5月以来の低水準となり、年間ベースのインフレ率は6.9%となります。もっとも、足元のインフレ率はFRBが明日以降のFOMCで金利見通しを大きく変更するには依然として高すぎる水準にあります。数名の当局者は、利上げのペースを緩める前に、インフレ指標が低い水準にとどまっていることを確認する必要があると述べています。
ナスダック100ミニ先物(当限つなぎ足)過去5年間の推移