EUのエネルギー安全保障を背景に、CCSを活用した石炭の復活の可能性 EUのエネルギー安全保障を背景に、CCSを活用した石炭の復活の可能性 EUのエネルギー安全保障を背景に、CCSを活用した石炭の復活の可能性

EUのエネルギー安全保障を背景に、CCSを活用した石炭の復活の可能性

株式 10 minutes to read
PG
ピーター・ガンリュー

株式戦略責任者

サマリー:  欧州のエネルギー政策が分断されていることが国家安全保障危機の一因となっています。欧州は今後、できる限り早いペースでこの危機に対処していくことになります。石炭、原子力、太陽光、風力を含むあらゆる選択肢の中で、発電所をガスから転換するのに圧倒的に迅速な方法は一般炭です。しかし、ガスから石炭への転換には、欧州におけるグリーントランスフォーメーションの進展と環境への負荷が伴います。しかし、二酸化炭素回収・貯蔵(CCS)技術が急速に進歩しつつあることから、欧州は、CCSと組み合わせることを条件に石炭を復活させ、新しい産業を生み出すことができます。ここでは、石炭とCSSの組み合わせに着目し、これら2つの業界に関わる様々な企業を取り上げます。


あらゆる選択肢が検討対象

ここ1週間の動きは、欧州にとって存在の根幹にかかわる出来事であり、防衛・エネルギー政策は欧州各国間でまとまらなかった状態から超国家的な問題へと発展しました。欧州がロシアのガス・石油に依存していることで、欧州の軍事的な柔軟性は低下してきました。そのため、今後数年で欧州のエネルギー政策は大きく変わることになるはずです。ドイツは基本的に、原子力、石炭、液化天然ガス(LNG)を含むあらゆる選択肢を検討すると述べています。ドイツのScholz首相は27日、連邦議会で「個々のエネルギー供給元からの輸入への依存から抜け出すために、方針を変えなければならない」と述べました。

LNGターミナルや原子力発電所は長期的な解決策であり、太陽光や風力などの再生可能エネルギープロジェクトは、拡張に時間がかかるため、中期的な解決策です。さらに、再生可能エネルギー源の比率を高めれば、再生可能エネルギーの生産量の急増の中断を抑えるために、エネルギー貯蔵に関する余分なコストがかかります。

欧州は「ガス危機」に突入しています。最近の欧州の温暖な気候を考えると、欧州はこの寒い季節を乗り切れる見込みですが、欧州各国は次の冬までに天然ガスの貯蔵庫を満たすことを迫られており、ここでロシアが助けになることはなさそうです。ドイツは、既に石炭備蓄量を増やしており、石炭火力発電所の耐用年数を延長すると発表しました。ガス発電所の多くは石炭に切り替えることができるので、今この時点で、エネルギー政策で石炭が復活する可能性は非常に高いと思われます。

欧州がエネルギー危機を解決し、エネルギー安全保障政策を最も迅速に変更するためには、現実的に、石炭火力発電所に焦点を当てることが唯一の短期的な方法です。世界には豊富な石炭が埋蔵されており、世界の石炭埋蔵量のうちアメリカが24%、オーストラリアが世界第3位の約14%を占めています。石炭は安価でベースロード発電に最適であり、欧州は地政学的パートナーから大量の石炭を入手することができます。しかし、環境汚染源になるため、気候変動やグリーントランスフォーメーションの面で問題になります。

石炭火力発電所と二酸化炭素回収の組み合わせ

ロシアからの天然ガスの影響を軽減するためには、石炭火力発電所が迅速かつ拡張可能な解決策となりますが、有権者の中の環境団体が反対するはずです。しかし、1つの戦略として、二酸化炭素回収・貯蔵(CCS)をできる限り早く導入することを条件として、石炭火力発電所を加速することが考えられます。そんなことが可能なのでしょうか?

何より注意すべきことは、エネルギー政策が国家安全保障の重要な問題になれば、その問題はもはや自由市場の意思決定ではないということです。ちょうど、グリーントランスフォーメーションが自由市場の力を弱める政策決定であるのと同じことです。石炭火力発電所のコストにCCSのコストが加わることは、エネルギー面でのロシアからの自立のためのコストに過ぎないかもしれませんが、欧州は短期的にはその負担を受け入れざるを得ないでしょう。

CSSの利点は、この技術が既に存在し、急速に普及していることです。Global CCS Instituteが公表したTechnology Readiness and Costs of CCS20213月)では、50ページにわたってCCS技術の要点が説明されています。

CCSは基本的に3段階のプロセスから成ります。まず工場や発電所から排出される二酸化炭素を回収し、その二酸化炭素を船舶やトラック、パイプラインで輸送します。そして最後のステップでは、深さ800メートル以上の地中で、二酸化炭素を74バール以上の超高圧に圧縮して貯留します。貯留は通常、枯渇した油田やガス田、または含塩水層で行われます。下の図は、発電所における二酸化炭素回収プロセスを示しています。

Source: Global CCS Institute

国際エネルギー機関(IEA)も、CCSが発電に関連する点について、非常に有用な図解と情報を提供しています。下のグラフは、百万トンの二酸化炭素抽出に関して進行中のCCSプロジェクトを示しています。IEAによると、第2世代のCCS45ドル/CO2トンのコストで抽出することができます。つまり、安価な一般炭 (供給が大幅に拡大された場合) CCSを組み合わせることで、原子力や再生可能エネルギーに次ぐコスト効率の高い解決策になり得るということです。この第2世代のCCS装置では、資本コストが67%削減され、回収率は95%になります。

Source: IEA

最近、これまでにない規模でCCSを実現可能にしてきた大きな原動力の1つは、EUの二酸化炭素排出権価格が90ユーロ/CO2トン超に急騰したことです。しかし、二酸化炭素排出権価格に加え、エネルギー価格と金属価格が上昇していることで、投入コストが増加し、その結果、工業製品の総生産コストは、実質的な需要破壊が起こる水準にまで達しています。

Source: Bloomberg

二酸化炭素回収と石炭採掘に関わる企業

二酸化炭素回収業界は急成長し、成熟しつつあります。CCSは、導入コストの低下により、二酸化炭素排出による気候への影響を抑えるための実現可能な解決策になっています。二酸化炭素回収の専業企業はほとんどありませんが、二酸化炭素回収の専業企業と、一部関与する企業を探し出してみました。

  • Aker Carbon Capture (専業)
  • CO2 Capsol専業
  • Occidental PetroleumCCSに一部関与
  • SchlumbergerCCSに一部関与
  • EquinorCCSに一部関与
  • California ResourcesCCSに一部関与

以下のリストは、石炭採取または関連する石炭採掘サービスを行う企業で、先進国市場の取引所に上場している企業です。

  • Glencore
  • China Shenhua Energy
  • Yancoal
  • Arch Resources
  • Alliance Resource Partners
  • Warrior Met Coal
  • Consol Energy
  • Peabody Energy
  • Whitehaven Coal

口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。 

最短3分で入力完了!

【ご留意事項】

■当資料は、いずれも情報提供のみを目的としたものであり、特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
■当資料は、作成時点において執筆者またはサクソバンク証券(以下「当社」)が信頼できると判断した情報やデータ等に基づいていますが、執筆者または当社はその正確性、完全性等を保証するものではありません。当資料の利用により生じた損害についても、執筆者または当社は責任を負いません。 
■当資料で示される意見は執筆者によるものであり、当社の考えを反映するものではありません。また、これら意見はあくまでも参考として申し述べたものであり、推奨を意味せず、また、いずれの記述も将来の傾向、数値、投資成果等を示唆もしくは保証するものではありません。 
■当資料に記載の情報は作成時点のものであり、予告なしに変更することがあります。 
■当資料の全部か一部かを問わず、無断での転用、複製、再配信、ウェブサイトへの投稿や掲載等を行うことはできません。
■上記のほか、当資料の閲覧・ご利用に関する「免責事項」をご確認ください。 
■当社が提供するデリバティブ取引は、為替相場、有価証券の価格や指数、貴金属その他の商品相場または金利等の変動によって損失を生じるおそれがあります。また、お預けいただく証拠金額に比べてお取引可能な金額が大きいため、その損失は、預託された証拠金の額を上回る恐れがあります。
■当社が提供する外国証券取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。 
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。 
■当社でのお取引にかかるリスクやコスト等については、こちらも必ずご確認ください。

サクソバンク証券株式会社
Saxo Bank Securities Ltd.
Toranomon Kotohira Tower 22F
1-2-8 Toranomon Minato-ku Tokyo 105- 0001
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-2-8
虎ノ門琴平タワー 22F

お問い合わせ

国・地域を選択

日本
日本

【重要事項及びリスク開示】

■外国為替証拠金取引は各通貨の価格を、貴金属証拠金取引は各貴金属の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、売買の状況によってはスワップポイントの支払いが発生したり、通貨の金利や貴金属のリースレート等の変動によりスワップポイントが受取りから支払いに転じたりすることがあります。外国為替証拠金取引の手数料については、無料のスタンダードと有料のアクティブトレーダーの二コースがあります。アクティブトレーダーでは取引金額に一定の料率(ステージ1: 0.003%、ステージ2: 0.002%、ステージ3: 0.001%)を掛けて求めた手数料が新規/決済それぞれで課金されます。さらにステージ2と3ではお支払いいただいた手数料の月間合計額が月額標準金額(ステージ2: 6万円、ステージ3: 20万円)に満たない場合は、その差額を追加で徴収させていただきます。ミニマムチャージの設定はありません。ステージはお客様ご自身で事前に選択していただき、月単位で適用されます。変更する場合は翌月以降の月の初日から有効となり、原則として月の途中で変更することはできません。貴金属証拠金取引の手数料についても、無料のスタンダードと有料のアクティブトレーダーの二コースがあります。ただしスタンダードではミニマムチャージが設定されています。アクティブトレーダーの手数料は外国為替証拠金取引と同様の仕組みになります。なお、ステージ2と3における手数料の月間合計額の計算では、外国為替証拠金取引と貴金属証拠金取引で発生した手数料が合算されます。
■外国為替オプション取引は外国為替証拠金取引の通貨を、貴金属オプション取引は貴金属証拠金取引の貴金属を原資産とし、原資産の値動きやその変動率に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、オプションの価値は時間の経過により減少します。手数料については、外国為替オプション取引・貴金属オプション取引ともに無料です。なお、オプションの売り側は権利行使に応える義務があります。
■株価指数CFD取引は株価指数や株価指数を対象としたETFを、個別株CFD取引は個別株や個別株関連のETFを、債券CFD取引は債券や債券を対象としたETFを、その他証券CFD取引はその他の外国上場株式関連ETF等を、商品CFD取引は商品先物取引をそれぞれ原資産とし、それらの価格の変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、建玉や売買の状況によってはオーバーナイト金利、キャリングコスト、借入金利、配当等調整金の支払いが発生したり、通貨の金利の変動によりオーバーナイト金利が受取りから支払いに転じたりすることがあります。手数料については、東京証券取引所上場株式を原資産とするCFD取引の日計り取引は「取引金額×0.05%」の手数料がかかり、建玉を持ち越した場合、キャッシュバック方式により、売買手数料は無料です。ETFを原資産としない株価指数CFD取引と商品CFD取引では売/買、新規/決済の別にかかわらず無料ですが、それ以外は有料となり「取引金額×一定料率」または「取引数量×一定金額」で求めた手数料がかかります。ただし、手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。手数料の料率や金額または最低手数料は取引所や銘柄などによって異なります。
■上記全ての取引においては、当社が提示する売価格と買価格にスプレッド(価格差)があり、お客様から見た買価格のほうが売価格よりも高くなります。
■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。手数料については、売買手数料と取引所手数料が新規/決済のそれぞれで課金されます。売買手数料は注文単位当りで定められています。ただし、手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また、建玉を翌日に持ち越すとキャリングコストが発生します。
■外国株式オプション取引は、対象とする外国上場株式の市場価格あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする外国上場株式の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。更にこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式オプション取引の取引手数料については、1ロットあたり3.0米ドルが一回の取引ごとに課金されます。その他にも取引所手数料やキャリングコストなど様々な費用がかかります。手数料の詳細は、発注前の取引画面でご確認ください。外国株式オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時の比率は4%から20%が適用されます。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会