株価は反発したものの、下落リスクは大きく依然として前途多難 株価は反発したものの、下落リスクは大きく依然として前途多難 株価は反発したものの、下落リスクは大きく依然として前途多難

株価は反発したものの、下落リスクは大きく依然として前途多難

株式 8 minutes to read
APAC Strategy Team

サマリー:  イーロン・マスク氏によるTwitterの買収と米国債利回りの低下をきっかけに、米国株は反発しました。アジアでは、中国でのロックダウンの動きが懸念されたほど大きくなく、中央銀行と国務院の発言がプラス材料となったことから、26日朝、中国市場と香港市場は上昇しました。中国の中央銀行は、外貨預金準備率を引き下げることで、人民元の下落ペースがやや速すぎることを示唆しています。


最新の相場動向

26日の反落は小幅にとどまっています。米国の株価指数が3月の安値を割り込む恐れは続いていますが、25日の引けにかけて下げは一服しました。S&P 500(US 500.I)は0.6%上昇して引け、ハイテク株中心のNASDAQ 100(USNAS 100.I)はTwitter買収を受けて1.3%上昇しました。国債利回りの低下も株式市場にプラスとなりました。アジア株式は中国のロックダウンが拡大される恐れから下落圧力を受けていましたが、中国人民銀行が景気を支援する取り組みや発言を強めたことを受けて、下落圧力はやや和らぎました。26日朝には日経平均株価(NI225.I)が0.6%上昇した一方、シンガポールのSTI Index(ES3)は0.4%下落しました。連休明けとなったオーストラリアでは、鉄鉱石などの工業用金属をはじめとするコモディティが反落し、ASX 200は2%近く下落して7356の下値支持線を割り込みました。

中国A株と香港株は反発しました。 中国人民銀行の幹部による追加支援の発言と、国内消費拡大を目指すとの国務院の確約を受けて、CSI300 (000300.I)およびハンセン指数は買い戻され、1%超の上昇となりました。 北京では新たに11地区の住民に新型コロナの検査が義務付けられますが、今回の新たな措置は、懸念されていたロックダウンほど厳格ではありません。 香港市場で売買されている中国の大型株が株価上昇を牽引し、アリババ(Alibaba、09988)、美団(Meituan、03690)、テンセント(Tencent、00700)、京東商城(JD.COM、09618)は3%~10%の上昇となりました。

中国人民銀行が5月15日から外貨預金準備率を9%から8%へと1%引き下げると発表したことを受けて、米ドル/オフショア人民元(CNH)は反落しました。 この発表前には1米ドル=6.609元まで上昇しており、人民銀行の動きの直後に6.57元まで下落しました。 本稿執筆時点では、1米ドル=6.5557元で取引されています。 中国には約1兆500億米ドル相当の外貨預金があるので、今回の1%の引き下げにより銀行システムにおける貸出可能な外貨流動性は約105億米ドル増加することになります。

Twitter(TWTR)の買収は、ソーシャルメディアの未来に一石を投じるものです。イーロン・マスク氏による幅広い変革への期待は、特にインターネット上の言論の自由に関する同氏の考えを踏まえると、どう転ぶか分からない状況です。代替プラットフォームはおそらく既に開発中ですが、それに関心が集まるかどうかは、マスク氏によるTwitterへの変更がどれくらい不評かによって決まるでしょう。


今後の注目点

日銀会合を控えて米ドル/円は下落に転じています。米国債利回りの低下およびオフショア人民元(CNH)/円のクロスポジションの削減という2つの要因から、円安は一服しました。鈴木財務大臣は、日米の外為協調介入協議に関する報道は事実ではないと述べました。米ドル/円は、これまでの大幅な上昇を考えると、さらに下落する余地がありますが、FRBと日銀の政策の相違は引き続き重要なテーマであり、日銀による政策の微調整があるかどうかが注目されます。

穀物の値上がりはいつまで続く可能性があるのでしょうか?米国北部で気温が低下し、降雨量が増えていることは、小麦の生産がさらに遅れることを示しています。トウモロコシ先物も、多雨で作付が遅れ、ブラジルのトウモロコシ生産量も減少する可能性があるとの見方から、価格が上昇しています。年初来でトウモロコシは35%、小麦は40%以上、値上がりしています。建玉明細(COT)報告書によれば、穀物セクターは大幅なネット・ロングとなっています。しかし、全般的なコモディティセクターの下落が続けば、良好なファンダメンタルズにもかかわらず、穀物セクターは投機的な売りにさらされることになります。

IMFは、アジアのスタグフレーションのリスクについて警告しています。アジア地域は、経済成長率が従来の予想より低い一方で、インフレ率が高いというスタグフレーションの見通しに直面しているとIMFは指摘してきました。ロックダウンの長期化や拡大、長引く不動産市場の低迷を背景に、中国で予想以上に景気が減速していることは、アジアにとって大きなリスクとなっています。大半の国で金融引き締めが必要になりますが、引き締めのスピードは国内のインフレ動向と外的な圧力に左右されます。


検討すべき取引アイデア

25日からの週には、S&P 500の時価総額の約半分に相当する企業が決算を発表します。Coca-Cola(KO)やActivision Blizzard(ATVI)の決算発表では、堅調な消費動向と、コスト上昇を転嫁できる力が引き続き示されました。とはいえ、期待外れだったActivision Blizzardの決算は、これから発表されるテクノロジー企業の業績もさらに期待外れになる可能性を示唆していますが、ともかく今後の決算発表を待つしかありません。当社のエクイティ・ストラテジストのピーター・ガンリューは25日の記事で、次のように述べています。「25日からの週の決算で、米国のテクノロジー企業が全体的にインフレの影響から守られていることが示されれば、投資家は途端に大型テクノロジー株をインフレヘッジとして扱い始め、株式市場は幅広く回復する可能性があります。一方で、幅広い非テクノロジー企業は引き続きインフレに苦しむことになります。」

人民元の下落トレンドは変わっていません。中国人民銀行は、25日に外貨預金準備率の引き下げを決定したことで、過去5営業日にわたる人民元安のペースを行き過ぎだと考えているというシグナルを市場に発しています。 一方で、これ以上の引き下げを行わず、昨年12月に行った2%の引き上げ分を反転させないことで、人民元安のトレンドを過度に後退させないようにする意図もあると見られます。8%という水準は、2007年からつい最近の2021年5月までの5%の水準をまだ大きく上回っています。 中国人民銀行が目指しているのは、穏やかな人民元安だと推測されます。特に、輸出見通しが悪化する中で、昨年9月以降、円、韓国ウォン、ユーロなどの貿易相手国通貨に対して急激に進んだ人民元高を反転させようとしているのではないかと思われます。


25日からの週に発表される主な経済指標

4月26日(火)米国耐久財受注、米国新築住宅販売件数
4月27日(水)オーストラリアの第1四半期インフレ指標
4月28日(木)日本の小売売上高、日銀会合、米国GDP
4月29日(金)ユーロ圏の4月インフレ率速報、米国の3月PCE指数、米国雇用コスト指数

 

注目すべき主な決算発表

4月26日(火):Warner Bros.Discovery(WBD)、UPS(UPS)、PepsiCo(PEP)、General Electric(GE)、Alphabet(GOOG、GOOGL)、Microsoft(MSFT)、General Motors(GM)、HSBC(00005)、China Overseas Land & Investment(00688)、Jiangxi Ganfeng Lithium(01772)
4月27日(水):T-Mobile US(TMUS)、Boeing(BA)、Kraft Heinz(KHC)、Ford Motor(F)、Meta Platforms(FB)、Qualcomm(QCOM)、BAIC Motor(01958)、BYD(01211)、BYD Electronic(00285)、China Life Insurance(02628)、Guangzhou Auto(02238)、HKEX(00388)
4月28日(木):Caterpillar(CAT)、Twitter(TWTR)、Comcast(CMCSA)、Merck(MRK)、Amazon(AMZN)、Apple(AAPL)、Intel(INTC)、PayPal(PYPL)
4月29日(金):Exxon Mobil(XOM)、Chevron(CVX)、Colgate-Palmolive Company(CL)、China Molybdenum(03993)、China Vanke(02202)、Haier Smart Home(06690)

口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。 

最短3分で入力完了!

【ご留意事項】

■当資料は、サクソバンクグループのアナリストによるマーケット分析レポートの転載、もしくは外部のアナリストからの寄稿となっております。
■当資料は、いずれも情報提供のみを目的としたものであり、特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
■当資料は、作成時点において執筆者またはサクソバンク証券(以下「当社」)が信頼できると判断した情報やデータ等に基づいていますが、執筆者または当社はその正確性、完全性等を保証するものではありません。当資料の利用により生じた損害についても、執筆者または当社は責任を負いません。 
■当資料で示される意見は執筆者によるものであり、当社の考えを反映するものではありません。また、これら意見はあくまでも参考として申し述べたものであり、推奨を意味せず、また、いずれの記述も将来の傾向、数値、投資成果等を示唆もしくは保証するものではありません。 
■当資料に記載の情報は作成時点のものであり、予告なしに変更することがあります。 
■当資料の全部か一部かを問わず、無断での転用、複製、再配信、ウェブサイトへの投稿や掲載等を行うことはできません。
■上記のほか、当資料の閲覧・ご利用に関する「免責事項」をご確認ください。 
■当社が提供するデリバティブ取引は、為替相場、有価証券の価格や指数、貴金属その他の商品相場または金利等の変動によって損失を生じるおそれがあります。また、お預けいただく証拠金額に比べてお取引可能な金額が大きいため、その損失は、預託された証拠金の額を上回る恐れがあります。
■当社が提供する外国証券取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。 
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。 
■当社でのお取引にかかるリスクやコスト等については、 こちらも必ずご確認ください。

サクソバンク証券株式会社
Saxo Bank Securities Ltd.
Izumi Garden Tower 36F
1-6-1 Roppongi Minato-ku
Tokyo 106-6036
〒106-6036 東京都港区六本木1-6-1
泉ガーデンタワー36F

お問い合わせ

国・地域を選択

日本
日本

【重要事項及びリスク開示】

■外国為替証拠金取引は各通貨の価格を、貴金属証拠金取引は各貴金属の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、売買の状況によってはスワップポイントの支払いが発生したり、通貨の金利や貴金属のリースレート等の変動によりスワップポイントが受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■外国為替オプション取引は外国為替証拠金取引の通貨を、貴金属オプション取引は貴金属証拠金取引の貴金属を原資産とし、原資産の値動きやその変動率に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、オプションの価値は時間の経過により減少します。また、オプションの売り側は権利行使に応える義務があります。
■株価指数CFD取引は株価指数や株価指数を対象としたETFを、個別株CFD取引は個別株や個別株関連のETFを、債券CFD取引は債券や債券を対象としたETFを、その他証券CFD取引はその他の外国上場株式関連ETF等を、商品CFD取引は商品先物取引をそれぞれ原資産とし、それらの価格の変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、建玉や売買の状況によってはオーバーナイト金利、キャリングコスト、借入金利、配当等調整金の支払いが発生したり、通貨の金利の変動によりオーバーナイト金利が受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■上記全ての取引においては、当社が提示する売価格と買価格にスプレッド(価格差)があり、お客様から見た買価格のほうが売価格よりも高くなります。
■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。
■外国株式・指数オプション取引は、対象とする有価証券の市場価格や対象となる指数、あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動、指数の数値等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする有価証券の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式・指数オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式・指数オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式・指数オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。さらにこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式・指数オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時は銘柄の流動性や価格変動性あるいは法令等若しくは当社が加入する自主規制団体の規則等に基づいて当社が決定し、必要に応じて変更します。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。
■取引にあたっては、契約締結前交付書面(取引説明書)および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会
手数料:各商品の取引手数料についてはサクソバンク証券ウェブサイトの「取引手数料」ページや、契約締結前交付書面(取引説明書)、取引約款等をご確認ください。