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Chief Investment Strategist
サマリー: 今回の株式アップデートでは、5月の相場を振り返ります。5月には、MSCI Worldは急落後に反発し、横ばいで終わるというジェットコースターのような相場展開になりました。その結果、金融環境を踏まえると株価のバリュエーションは依然として割高であり、我々は株式に対するディフェンシブな姿勢を維持しています。当社のテーマバスケットの中で最も好調だったのは、中国のリトルジャイアント、半導体、エネルギー保存でした。また、5月31日夜に発表されたSalesforceの決算について取り上げ、6月1日に発表されるMongoDBの決算についてもプレビューします。
株式市場の先行きはまだ不透明
MSCI World Index Total Return USDを基準とする世界の株価は、5月中に月間で5.5%下落した後、横ばいで終わりました。5月27日に、インフレ圧力がピークをつけた可能性があるという兆候を受けて、センチメントが変化したためです。しかし、5月30日からの週初に、FRBのクリストファー・ウォーラー理事は、インフレ抑制の兆しが見えるまでは、会合のたびに50ベーシスポイントの利上げを行うことにより積極的にインフレに対処する用意があるとコメントしました。それに加えて、6月1日に、ECBのホルツマン氏は、欧州では記録的なコア・インフレに伴い、50ベーシスポイント利上げする必要性が高まっていると発言しています。さらに、エネルギー価格と食料価格の状況は一段と悪化しており、インフレが長引く懸念が高まっています。
実際には、状況は何も変わっていないのです。金融引き締め、金利上昇、エネルギー・食糧危機の悪化による持続的なインフレ、そして中国におけるワクチン接種率の低さとゼロコロナ政策によるロックダウン長期化の可能性といった予想に基づき、我々は株式に対して弱気の見方を維持しています。MSCI Worldに関する当社の評価モデルは、売上高、収益、キャッシュフロー、配当などの様々な要素を測定する7つのバリュエーション指標に基づいています。このモデルによると、世界株式は依然として1995年以降の平均バリュエーションから、標準偏差の半分上回っていることが示されています。金融情勢の現状や推移を考えると、世界株式の株価水準は平均値程度になるべきだと我々は考えています。
当社のテーマバスケットに関しては、5月のパフォーマンスは非常にばらつきが大きくなりました。最も好調だったバスケットは、中国のリトルジャイアント、半導体、およびエネルギー保存でした。中国で経済成長の回復を目指す直接的な政策措置がとられたことや、グリーントランスフォーメーションに不可欠なエネルギー保存に資金流入が続いたことが原動力となりました。一方、最も低調だったテーマバスケットは、バブル株、サイバーセキュリティ(当社が重点を置く長期的テーマの一つ)、暗号資産・ブロックチェーンでした。バリュエーションの高いテクノロジー株でバリュエーション圧縮が続いたことが響きました。
Salesforceの株価の反応は現在のリターンの仕組みを反映
5月31日夜、Salesforceの決算発表を受けて、投資家は沸き立ちました。同社は今年度の売上高見通しをやや引き下げたものの、利益見通しを小幅に上方修正しました。株価は時間外取引で上昇しており、過去6か月間で企業のリターンの仕組みが大きく変化してきたことが浮き彫りになっています。今では、企業はひたすら売上高の伸びを追求することではなく、コスト抑制、ROICの上昇、利益率の維持を達成していることと引き換えに、株価上昇のリターンを受けるようになっています。
6月1日のポッドキャストで議論しているように、Salesforceの決算に対する反応は、1日夜のMongoDBの決算につながる興味深いものです。同社は一年以上前から当社のバブル株テーマバスケットに組み込まれています。同社の株価は昨年11月の高値から50%以上下落しているものの、12ヶ月先の予想EV/売上倍率は13.1倍であり、利益率とキャッシュフローが期待外れならば、失望売りに見舞われやすいと言えます。