決算ウォッチ:中国企業の業績に打撃—リチウムと銀行に焦点 決算ウォッチ:中国企業の業績に打撃—リチウムと銀行に焦点 決算ウォッチ:中国企業の業績に打撃—リチウムと銀行に焦点

決算ウォッチ:中国企業の業績に打撃—リチウムと銀行に焦点

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PG
ピーター・ガンリュー

株式戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  中国では第4四半期の決算シーズンがまだ続いており、来週には中国の大手銀行の多くが決算発表します。最近の経済の逆風を考えると、銀行セクターは、とりわけ住宅部門の弱体化という文脈において特に注目されます。リチウム採掘を行う企業としては時価総額世界最大の独立系ガンフォンリチウム(Ganfeng Lithium)も来週決算発表の予定です。リチウム価格の高騰と電気自動車にとってのリチウムの重要性、そしてグリーントランスフォーメーションを考えると、Ganfengがリチウムについてどのような見通しを出してくるかは注目されます。今回は、中国株が割安と言えるのかについても簡単に触れています。


信用の質の問題は残り、リチウム供給制約は続く

米国では第1四半期の決算発表が2週間後に迫っていますが、中国では第4四半期の決算発表がまだ続いています。以下、最も重要な決算発表予定をリストアップします。いずれも中国の大手銀行とエネルギー企業です。

月曜日:農夫山泉(Nongfu Spring)、CITIC証券

火曜日:中国建設銀行、中国銀行、比亜迪股份有限公司(BYD)、快手テクノロジー(Kuaishou Technology)、BOC香港、長城汽車(Great Wall Motor)、マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)、ルルレモン・アスレティカ(Lululemon Athletica)、マコーミック(McCormick)

水曜日:貴州茅台酒(Kweichow Moutai)、中国工商銀行(ICBC)、中国農業銀行(Agricultural Bank of China)、中国海洋石油集団(CNOOC)、中國遠洋海運集團(COSCO)、SDホールディングス (SD Holding)、海爾智家股分有限公司(Haier Smart Home)、万科企業(China Vanke)、ガンフォンリチウム(Ganfeng Lithium)、龍源電力集団股分有限公司(China Longyuan Power Group)、京東方科技集団(BOE Technology)、ペイチェックス(Paychex)、ビオンテック(BioNTech)

木曜日:中国石油天然気股份有限公司(PetroChina)、中国海外発展有限公司(China Overseas Land&Investment)、華潤置地有限公司(China Resources Land)、中国中信股份有限公司(CITIC Ltd.)、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(Walgreens Boots Alliance)

来週の見どころは中国の銀行株です。背景にあるのは、コロナ禍による地域ロックダウンや不動産開発業者のトラブル、さらには民間セクターの全般的な信用力の低下といった経済の逆風の継続です。下のグラフが示すように、中国の銀行は時価総額の伸びを上回るペースで一貫してバランスシートを拡大させています。これは、拡大した資産に対して市場が与える収益力が減少の一途をたどっていることを意味します。言いかえれば信用の質が低下していることを示しています。

銀行株以外では、ガンフォンリチウムの注視を続けます。同社はリチウム採掘企業としては時価総額世界最大の独立系企業で、当社の電池関連銘柄の一つであり、電気自動車対応を考える際の重要な要素です。リチウムの価格は2020年後半から615%上昇しており、テスラはこの一カ月間に二度、EVの価格を引き上げました。アナリストは、ガンフォンリチウムの第4四半期のEPSは前年同期比554%増、2021年度と2022年度の売上高をそれぞれ120億人民元(前年同期比119%増)、283億人民元(136%増)と予想しています。13人のセルサイドアナリストが同株をカバーしており、全員が買い推奨し、コンセンサス株価ターゲットは直近終値より83%高い水準です。リチウム鉱業の主要リスクは、新たな供給の市場流入による価格の再下落です。電気自動車市場の長期的な成長で、リチウムイオン電池に取って代わる新しい電池が開発されるまでリチウム需要は強いまま推移するでしょう。

Source: Bloomberg

中国株は割安とは言えない

多くの顧客との会話で中国株が話題に上りますが、割安かどうかを必ず聞かれます。MSCIチャイナとMSCIワールドの配当利回りの最近の履歴を見ると、当社の答えはノー(割安とは言えない)です。これに対して、一部の投資会社が用いる反論は、「ハンセン指数で見ると実際に割安だ」というものです。しかし、相対的配当利回りで見ると、ハンセン指数はグローバル株式指数と比較して決して割安ではありません。顧客から、なぜ配当利回りのように古風な指標を使うのか、とも聞かれます。配当利回りは、新興国株式市場の評価に適していると当社では考えます。配当という形で企業から流出し、投資家の口座に入金される、会計操作のできない実際のキャッシュフローを測定する尺度であるからです。

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