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APACデイリー・ダイジェスト – 2022年7月28日:市場動向および今後考慮すべき事項

株式
APAC Strategy Team

サマリー:  FRBは予想通り、75bpの利上げを実施しましたが、今後の政策についてのフォワードガイダンスは明示しませんでした。FRBが、今後の利上げ幅については指標に基づいて会合ごとに議論していく方法にややシフトしたことを受け、米国株は安堵感から大幅高となりました。


最近の市場動向

ナスダック 100 (USNAS100.I) と S&P 500 (US500.I)

FRBは26-27日のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を75bp引き上げ、2.25-2.50%としました。その後、株式市場は幅広く急上昇しました。S&P500は2.6%、ナスダックは4.3%と急上昇し、銘柄別でもアルファベット(GOOGL)が7.6%、マイクロソフト(MSFT)が6.6%、テスラ(TSLA)が6.1%、スポティファイ(SPOT)が12.2%の上昇となりました。メタ(META)は通常取引時間内に6.5%上昇した後、減収と予想を下回る見通しを発表したため、時間外取引で3.6%下落しました。

FOMC後、米国債イールドカーブはブル・スティープ化

FRBは会合後の声明で「最近の消費と生産の指標は軟化している」と認める一方、雇用は「堅調」に推移しており、インフレは「高止まりしている」と言及しました。パウエル議長は記者会見で、具体的なフォワードガイダンスの提示を控え、今後の行動は指標に基づいて会合ごとに議論していくとの見解を示しました。議長は、FRBによる利上げの動きはいずれかの時点で減速すると指摘する一方で、6月のFOMCでのFF金利誘導目標レンジの中央値予測は、2022年末が3.375%、2023年末が3.75%、2024年末が3.375%としたことに触れ、2023年の利下げに対する市場の期待をやや後退させる形となりました。これに先立って発表された6月の耐久財受注は予想の減少に対して1.9%の増加となりました。米国債のイールドカーブはブル・スティープ化し、2年物は5bp低下して3.0%、10年物は3bp低下して2.78%、30年物は3bp上昇して3.06%となりました。

香港のハンセン(HSI.I)と中国のCSI300(000300.I)

2日間にわたるアウトパフォームの後、中国の不動産開発会社の株価は下落、市場の下落をけん引する形となりました。中国の代表的な不動産銘柄は2-4%下落しました。カントリー・ガーデン(2007:xhkg)は、大幅なディスカウントで新株を発行すると発表した後、15%の暴落となりました。ハンセン指数は水曜日に1.1%下落しました。ADR上場をめぐる米中間の歩み寄りがみられないことが報じられ、ハンセンTECH指数(HSTECH.I)は1.3%下落しました。アリババ(09988)、テンセント(00700)、バイドゥ(09888:xhkg)は約3%下落しました。 アディダスが中国での回復の遅れに言及したことを受け、スポーツウェアのリーニン(02331:xhkg)やアンタ(02020:xhkg)などが3%程度下落しました。

欧州のエネルギー逼迫は続く

ドイツの送電線事業者によると、ノルドストリームの供給量は水曜日に容量のわずか20%に減少しました。ガスプロムは、メンテナンスのために別のタービンを停止する必要があると述べ、さらなる削減を行うと警告しました。ガス流量が当面抑制される見通しであることから、EUは来年の冬までにガス使用量を15%削減する計画を推し進めました。オランダの直近月限先物(TTFMU2)は、228ユーロの過去最高値を記録した後、2.6%上昇の205.23ユーロ/MWhで取引を終えました。電力価格も、フランスの1年先電力価格が昨日、過去最高の495ユーロ/MWhに上昇し、ドイツの1年先電力価格も過去最高の380ユーロとなり、逼迫圧力が加わっていることを示唆しています。

原油価格はリスクオンと供給懸念で上昇

原油価格も、需要が持続する一方、供給懸念が高まる中で、オーバーナイトで上昇しました。WTI先物は97ドル/バレルまで、ブレントは107ドルまで戻しています。米エネルギー情報局によると、米国の原油在庫は先週、5月末以来最も多く、4.52mmbl減少しました。米国からの原油輸出は、WTIとブレントのスプレッド拡大により、過去最高の4.55m/dに増加しました。また、FRBは原油需要にさほど大きな懸念を抱いていないとみられる一方、カザフスタンの停電は供給懸念をさらに強めました。

EURUSDは1.0100を維持

ユーロ/米ドルは、ガス供給のさらなる削減のリスクや、イタリアとドイツの10年債利回りのスプレッドが再び危険水域に向かって拡大しているにもかかわらず、持ちこたえています。ユーロ/米ドルは、1.0100のサポートラインを試しましたが、取引後半には上昇し、FRBの発表を受けて米ドルが軟化すると、ユーロ/米ドルは1.0200まで上昇しました。米ドル円は、137.40円まで上昇しましたが、アジアの午前の取引時間では136円まで反落しました。

考慮すべき点

FRBの75bpの利上げ、フォワードガイダンスなし

FOMCメンバー全員一致で75bpの利上げが決定されましたが、パウエルFRB議長は質疑応答でフォワードガイダンスとみられるような言及を一切避け、将来の金利動向について「明確な方針」は出さず、金利の方向性については6月のFOMCで示したもののみであると明言しました。金融緩和の条件や2023年の利下げを予想した質問にも全く回答を示しませんでした。これによって投資家がリスクオン(リスクの高い資産への投資を増やす状況)となりましたが、当社の観点では、今後のFRB会合を巡っては、リスクが小さくなるわけではなく、むしろよりボラティリティが大きくなると思われます。

米国第2四半期GDPはプラスを維持する可能性

米国のGDPは、第1四半期にマイナスとなりましたが、本日発表予定の第2四半期分(速報値)もマイナスとなれば、2四半期連続のマイナスとなり、テクニカルリセッション入りを示唆するものとなる可能性があります。しかし、水曜日に発表された耐久財受注および貿易統計は、四半期ベースでのプラス成長を示唆しています。6月の耐久財受注は、事前予想の0.8%増に対し、前月比1.9%増となりました。テクニカルリセッションに陥るとすれば、それは在庫と貿易収支が大きな要因となると思われますが、依然として消費需要が堅調であることから、広範に及ぶリセッションの可能性はないとみられます。

中国の6月の工業部門企業利益は増加

中国の6月の工業部門企業利益は、5月の前年同月比-6.5%から同+0.8%に増加しました。工業部門企業売上高の伸びは+6.8%から+9.1%に加速しました。サプライチェーンや物流の改善、製造業の生産再開が回復に寄与しました。商品・素材価格の反落により、6月は川上産業が前年同月比-6.3%の減益、川下産業は同+6.1%の増益となりました。上海や吉林での生産再開に伴い、自動車産業が川下産業の増益をけん引しました。

アルセロール・ミタル、ロレアル、ステランティス、オレンジは本日、半期決算を発表

アルセロール・ミッタルについては非常に堅調な業績を期待しています。株価は年初来17.7%下落しましたが、堅調な業績が確認されれば、本日は力強く反発する可能性が高いと思われます。市場は、ロレアルの中国での売上に主に注目するでしょう(同社は中国でのeコマース事業を大幅に強化することに成功しているため、ゼロコロナ政策の影響はむしろ限定的となるはずです)。通信事業者も堅調な業績を示すと予想されます(ただし、スペインでの事業は引き続き期待外れとなるはずで、複数のアナリストがリストラは避けられないと考えています)。最後に、自動車メーカーのステランティス(PSAプジョー・シトロエン、フィアット、クライスラーのオーナー)は今年、営業利益率10%超の達成が可能であることが確認されるでしょう。

トルコ中央銀行は本日、年末のインフレ率のアップデートを発表

このニュースが市場に大きなインパクトを与えることはないでしょう。過去3年間、7月の推計値は実際のインフレ率を下回っていました。6月のトルコのインフレ率は前年同月比78.62%と24年ぶりの高水準となりました。

アップルの決算

本日予定されているアップル(AAPL)の決算は、消費者需要の低下、サプライチェーンの問題、経済環境の悪化により、圧迫されている可能性があります。アップルの主要なプロセッサー・サプライヤーである台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)は最近、インフレ圧力とパンデミックに伴う需要増の消失後、PC、スマートフォン、家電製品の需要が縮小していると警告しています。それでも、アップルは、技術革新と価格決定力という重要なプラス要因により堅調さを維持し、また、強固なバランスシートと強力な資金回収モデルは、厳しいマクロ環境下でも長期的な可能性があることを示唆しています。
 
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