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サマリー: 第2四半期末を迎える中、FRBはインフレ重視の姿勢を強め、市場では景気後懸念が過剰に織り込まれています。このため、下半期には相場環境が大きく変わる可能性が高く、再び債券の重要性が高まりそうです。中国の規制緩和と景気支援策は、一貫性があるとは思えないものの、経済および市場にはプラスの効果をもたらす見込みです。米国債利回りの低下にもかかわらず、米ドル/円は記録的な高値に戻っており、第3四半期にはさらにもう一度、日銀の決意が試される展開になりそうです。OPECプラスの会合に注目が集まっていますが、相変わらずポジティブサプライズは期待できそうにありません。
アジア太平洋地域では、中国のPMIの回復に伴い、楽観的な見方が強まったにも関わらず、6月30日の株式市場はマイナス圏で推移しました。米国債利回りの低下に伴い、AppleやMicrosoftなどのハイテク株は小幅上昇しましたが、半導体チップの需要が落ち込むとのBank of Americaの警告を受けて、半導体銘柄は下落し、NVIDIAやAMDが売られました。
中国では、CSI 300(000300.I)は1.3%の上昇となり、アジア太平洋地域を主導しました。ただ、習近平国家主席が「ゼロコロナ」政策を貫く姿勢を改めて示したことで、検疫要件の緩和に関する一部の楽観的な見方は後退しました。しかし、重要な政治的なイベントを控える中で、今後、中国が経済成長率の回復を重視するようになり、市場にプラスの効果をもたらすことは、まず間違いありません。ハンセン指数(HSI.I)も連れ高となり、0.2%上昇しました。
日経平均株価(NI 225.I)は、半導体株の主導で1%近く下落しました。シンガポールのSTI(ES 3)は0.3%下落しました。NIOは、収益の水増しに関するGrizzly Researchの告発を受けて29日に急落した後、小幅に反発しました。オーストラリアのASX 200は、銀行と鉱業株の売りに押され、0.85%下落しました。
10年国債利回りが3.1%を下回ったにもかかわらず、DXY指数は一晩で再び105を上回りました。ドイツのインフレ率は落ち着いたものの、スペインのHICPが予想を上回る10%の水準に達したことから、ユーロ/米ドルは1.0500ドルを割り込み、1.0433ドルの安値まで下げました。市場分断化の手段がないため、ECBの7月の利上げは25ベーシスポイントに制限される可能性があります。そうなれば、ユーロへの圧力が高まることになります。米ドル/円は夜間に137円の節目にタッチし、24年ぶりの高値を付けました。6月30日には7~9月期の日銀の国債買い入れ計画が発表されますが、イールドカーブコントロールに対する日銀の決意が試され続ける中で、この計画は上方修正される可能性があります。7月1日には東京都の6月のインフレ率も発表される予定です。
原油は夜間に再び下落圧力を受け、月間で昨年11月以来の下落になる可能性があります。ただし、週間ではWTIとブレントはともに上昇して引ける見通しです。市場では需要崩壊の懸念が過剰に織り込まれており、今後は供給の制約に焦点が戻ると思われます。30日のOPECプラスの会合では、9月までの供給計画が確認されますが、サウジアラビアやロシアをはじめとする主要産油国は、以前決定された増産に固執すると予想されます。現在の生産目標も達成されていないことを考えると、今回のミーティングでポジティブサプライズは期待できそうにありません。
FRBのパウエル議長は、政策立案者の職務はインフレという新たな要因の中でも物価の安定を目指すことだと述べ、グローバリゼーションの転換に伴い、当面の経済成長率が低下する可能性があると指摘しました。一方、米国経済は好調であり、金融政策の動きにも耐え得ると付け加えました。また、パウエル議長は、経済成長率を緩やかにすることが目標であること、そして最大のリスクは物価の安定を回復できないことであり、FRBが行き過ぎるリスクはあるとしても、それは最大のリスクではないことも言い添えました。一方、別のイベントの別のスピーチでは、クリーブランド連銀のメスター総裁(FOMCの議決権を持つ委員)が、経済状況が現状のままならば、7月の75ベーシスポイントの利上げを支持すると述べました。
6月の製造業PMIは50.2と、小幅な景況改善に戻りましたが、予想を下回りました(Bloombergのコンセンサスは50.50。5月は49.6)。 しかし、非製造業PMIは54.7と予想を大きく上回り(Bloombergのコンセンサスは50.5。5月は47.8)、サービス業サブインデックスが54.3、建設業サブインデックスが56.6と、ともに前月から大幅に改善しました。上海の経済活動の再開と繰り延べ需要の解放がサービス業の回復に大きく寄与しました。
米国債利回りが低下に転じたにもかかわらず、日本の債券トレーダーは、相変わらず日銀のイールドカーブコントロールの決意を試し続けています。超長期債の利回り(30年物)はまだ上昇しており、イールドカーブは2016年以来最もスティープ化しています。30日には日銀の第3四半期の債券買い入れスケジュールに大きな注目が集まりますが、米国のデータで好調な面が表れ、深刻な景気後退シナリオが除外された場合、リスクは大きくなります。そうなれば、米国債利回りは再び上昇し、日銀にとってさらに事態が悪くなるからです。しかし、黒田総裁が重視するのは、債券市場よりも、日本のインフレの硬直性であり、これが日銀の降伏のきっかけとなる可能性があります。この点は間違いなく、第3四半期に向けて私が注目していることの一つです。
景気後退懸念とインフレ懸念との争いは引き続き激化しました。米国の第1四半期のGDPは-1.5%から-1.6%にさらに下方修正されましたが、パウエル議長は現在、インフレ対策に一層積極的になっており、景気減速が悪化しようとも、それを実行すると見られます。下半期にはFRBが金融引き締めをさらに進めると同時に、景気減速懸念も強まる可能性が高いため、そろそろ債券を検討することが賢明かもしれません。iShares 20+ Year Treasury Bond ETF(TLT)は三週連続の上昇となる見通しであり、6月16日の安値から5%以上上昇しています。
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