APACデイリー・ダイジェスト – 2022年8月17日:市場動向および今後考慮すべき事項 APACデイリー・ダイジェスト – 2022年8月17日:市場動向および今後考慮すべき事項 APACデイリー・ダイジェスト – 2022年8月17日:市場動向および今後考慮すべき事項

APACデイリー・ダイジェスト – 2022年8月17日:市場動向および今後考慮すべき事項

株式
APAC Strategy Team

サマリー:  S&P500は重要な抵抗線である4,300を突破しましたが、ナスダックは下落しました。経済指標が強弱まちまちであったことと、ウォルマートとホーム・デポの業績が懸念されていたより良好だったことを受けた結果です。米国の住宅統計は引き続き悪化していますが、焦点は、本日予定されているFOMC議事録と、米国の消費動向の強さを測る次の目安となる小売売上高に移ろうとしています。アジア市場は明確な方向性のない状況ですが、オーストラリアの賃金価格指数とニュージーランド準備銀行の利上げが、市場を動かす何らかのきっかけになる可能性があります。


最近の市場動向

ナスダック100(USNAS100.I)とS&P500(US500.I) 

米国市場は売り買いが交錯する展開となりました。テクノロジー銘柄が最初に下げ、その後ショートカバーが入り、ナスダック100の終値での損失は0.23%に縮小しました。小売企業の決算が予想を上回ったことを受け、S&P500は200日移動平均線(4,326)に向かって0.19%上昇して4,305で引けました。ウォルマート(WMT:xnys)とホーム・デポ(HD:xnys)の第2四半期決算は、アナリストの予想を上回りました。ウォルマートは既存店売上高の堅調な伸びと在庫増加の減速で5%上昇しました。ホーム・デポは、EPSと既存店売上高が予想を上回ったものの、在庫の積み増しが加速したことを受けて4%の上昇にとどまりました。月曜日に発表された住宅着工件数と建築許可件数の減少や、オンライン不動産仲介のコンパス (COMP:xnys) の経営陣が米国住宅市場について示した悲観的な見方は、住宅部門が直面する課題を浮き彫りにしました。

米国債利回りは短期が上昇、長期はほぼ変化なし

7月の鉱工業生産指数は前月比0.6%増となり、製造業(同0.7%増)、産業機器(同0.6%増)が予想を上回ったことで、米短期債が売られ、2年債利回りは8bp上昇し3.25%、10年債利回りも1bp上昇し1.5%となりました。

原油価格 (CLU2 & LCOV2)

原油相場は、イラン核合意への警戒感から引き続き圧迫されており、ウクライナ侵攻以来の安値を更新しました。アジア取引時間の前半ではやや動きづらい展開となり、WTI原油先物は1バレル87ドル、ブレント原油は93ドルを割り込みました。EUはイラン核合意の再建に向けた合意の最終文書を提案し、エネルギー供給が増加するとの見方により、原油価格は下落しています。イランの反応は建設的で、長引く協議の行方を米国と協議中と伝えられています。APIによると、先週の原油在庫は44万8000バレル減少し、ガソリン在庫は400万バレル以上増加しました。政府統計は水曜日以降に発表される予定。欧州の天然ガス価格の指標となるオランダTTFの先物価格(TTFMU2)は250ユーロ/MWhに達しましたが、最近やや低調となっています。とはいえ、依然として欧州がロシアのガスに依存しているために支払っている代償の重さを示唆しています。

中国の景気減速懸念にも関わらず銅は堅調を維持

今週初め、中国からの資金調達と活動に関するデータの悪化が報告されましたが、銅は引き続き堅調に推移し、小幅な下落にとどまりました。BHPの良好な決算は、欧州の供給サイドの問題と同様に、一定の相殺要因となりました。下降に転じるのは350の重要なサポートを下回った場合のみでしょう。一方、亜鉛は欧州の製錬所閉鎖の懸念から上昇しました。

考慮すべき事項

米住宅不安は拡大、鉱工業生産は上向き

7月の住宅着工件数は9.6%減の144万6千件、前年の159万9千件と予想の153万7千件を大きく下回りました。住宅着工件数はこれで5か月連続の減少となり、借入コストの上昇とインフレの進行に伴う住宅市場の冷え込みを示唆しています。一方、7月の建築許可件数は169.6万件から167.4万件に1.3%減少しましたが、予想の165万件を上回りました。需要の減退と在庫の増加により、建築活動の縮小が進む可能性があります。一方、鉱工業生産指数は前月比0.6%上昇と予想を上回りました(前回:0.2%低下)。休日需要に支えられた可能性がありますが、インフレとサプライチェーンの問題が根強く、先行きは依然として不透明です。

米小売企業の決算は懸念されていたよりも良好な結果に

火曜日に発表されたウォルマート(WMT:xnys)とホーム・デポ(HD:xnys)の決算は、懸念されていたよりも良い結果となりました。ウォルマートの第2四半期の売上高は1529億米ドル(前年同期比8.4%増、コンセンサス1505億米ドル)でした。既存店売上高は前年同期比8.4%増(コンセンサス:同6.0%増)。 EPSは1.77米ドル、前年同期比0.8%減でしたが、コンセンサスの1.63米ドルを上回りました。第2四半期の在庫は25.5%増加しましたたが、増加率は前期の32.0%増から緩やかになっています。同社は、ガソリン価格の下落、食料品市場でのシェア拡大、新学期前の買い物などを売上好調の主な理由として挙げています。

ホーム・デポの第2四半期の売上高は439億米ドル(コンセンサス434億米ドル)、前年同期比6.5%増となりました。 既存店売上高は5.8%増となり、アナリストの予想(4.9%増)を上回りました。 EPSは11.5%増の5.05ドルとなり、アナリスト予想(4.95ドル)を上回りました。しかし、第2四半期の在庫は前年同期比38%増となり、前四半期から加速しました。経営陣は、在庫増加の理由として、インフレとサプライチェーンの課題による在庫積み増しの前倒しを挙げています。

ターゲット(TGT:xnys)は水曜日に決算発表を予定しています。

米小売売上高に注目

昨夜の小売企業の業績が予想より良好であったため、米国の小売売上高が米国の消費動向の次の目安になるでしょう。小売売上高はより底堅く推移していたはずです。ガソリン価格低下が平均的な米国世帯の消費力を向上させ、今月のアマゾンプライムデーがバーゲンハンターを魅了したと考えられるためです。しかし、コンセンサス予想では前月の1.0%に対し前月比0.1%と控えめになっています。

冷え込む英国の労働市場

英国の労働市場は、求人数が2020年8月以来初めて減少し、実質賃金が史上最速のペースで低下するなど、冷え込みの兆しが見られました。失業率は3.8%と安定し、4-6月期の就業者数は予想の25万6千人に対し16万人増となりました。また、7月の給与所得者数が7万3千人増と予想の3倍近いペースで増加するなど、良いニュースも散見されました。また、賃金の伸びも5月までの3か月間の4.4%から6月期は4.7%と好調で、賃金圧力が続く中、イングランド銀行の政策判断においてカギとなりそうです。

オーストラリアの第2四半期賃金価格指数が今後のオーストラリア準備銀行の利上げ幅を左右?

火曜日に発表されたオーストラリア準備銀行の議事録では、中央銀行がオーストラリア経済を「均衡」に保つために「狭き道」を進もうとしていることが示されました。オーストラリア準備銀行はしばしば、賃金を、インフレが定着しつつあるかどうかの重要なリスク因子として挙げています。その意味で本日発表の第2四半期賃金指数が注目されますが、第1四半期の2.4%から2.7%になると予想されています。このデータが軟調なものであれば、3回連続で50bpの利上げを実施してきたオーストラリア準備銀行の、次回会合での利上げ観測が後退する可能性があります。9月のオーストラリア準備銀行の利上げ幅について、市場のほぼ半数は35bpと見ています。

ニュージーランド準備銀行は、本日の50bpの追加引き上げ後、ガイダンスを減速させるか?

ニュージーランド準備銀行は今夜、公定歩合をさらに50bp引き上げ、3.00%にすると予想されています。ニュージーランドでは企業や消費者の信頼感指数が低調で、原油価格も急落しているため、先進国の中で最も早く、昨年後半から金融引き締めを行っていました。ニュージーランド準備銀行は、第2四半期の賃金上昇率が過去数十年で2番目に速いペース(前期比+2.3%)だったものの、より慎重なフォワードガイダンスと様子見姿勢を維持する可能性があります。市場はニュージーランド準備銀行の今後の政策方針が不透明であるとみており、本日の50bp引き上げ後の10月会合に45bp、11月会合にさらに37bpの引き上げを想定しています。

FOMC議事録は、今後のFRBの動きに関するヒントを得るために分析される

米連邦準備制度理事会(FRB)は7月の会合で、FFレートを中立とみなす水準にするため75bpの利上げを行いましたが、フォワードガイダンスは提示しませんでした。本日は議事録が公表され、メンバーのコメントから9月利上げ予想やターミナルレートに関するヒントが得られるか注目されます。雇用統計が好調で、インフレ関連統計が落ち着いている一方、FOMC参加者が少なくとも2023年「早期」の利下げ観測を否定し続けているため、FRB会合以降、市場の見方はさらに混乱しています。今週は木曜日にカンザスシティ連銀のジョージ総裁(2022年参加者)とミネアポリス連銀のカシュカリ総裁(2022年非参加者)が別々のイベントで講演する予定のみのため、来週はジャクソンホール会議でFRBの最新の見解を聞くことが大きな焦点となりそうです。


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