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サマリー: 先週はFRB会合と多数の企業決算という2つの重要なリスクイベントがありましたが、いずれも懸念されていたより良い結果となったことで、米国株式は堅調に推移しました。月末にかけてドル安が進んだことで、日本円と商品相場が支えられました。しかし、週末に発表された中国の製造業PMI(購買担当者景気指)が予想外に悪化したことを受け、アジアでは再び警戒感が強まる可能性があります。金曜日に発表された米国PCE(個人消費支出)統計ではインフレ圧力の継続が再確認され、今週発表される米国ISM(供給管理協会)製造業景気指数および雇用統計では、景気後退とインフレの議論にさらに注目が集まるでしょう。
ナスダック100は1.8%、S&P500は1.4%上昇しました。アマゾン(AMZN:xnas)とアップル(APPL:xnas)の決算では、アマゾンが予想を上回る売上高と利益を発表し、アップルはiPhoneの販売が堅調であったことにより、ナスダック100および S&P500の上昇をけん引しました。アマゾンは10%以上、アップルは3%上昇して引けました。一般消費財は全般的にアウトパフォームしました。テスラ(TSLA:xnas)は5.8%上昇しました。一方、生活必需品関連は冴えず、プロクター・アンド・ギャンブル(PG:xnys)は6.2%下落しました。今週は、国債利回りの下落や、FRBのタカ派的姿勢が弱まるとの期待の高まりから、公益事業がS&P500の中で最もパフォーマンスの高いセクターとなりました。先月初めにはセンチメントが下降気味であった分、懸念されていたより良好な決算がみられたことが、相場の上昇につながりました。今月は、月初に中国のPMIの悪化が確認された後、米国の雇用統計を控えており、アジアの朝には米国の指数先物はマイナスに転じています。
香港のハンセン(HSI.I)と中国のCSI300(000300.I)は、政策への失望と規制問題で下落
香港と中国本土の取引所の株価は先週金曜日、政治局会議から積極的な景気刺激策の追加要請がなかったことに投資家が失望し、不動産市場と銀行部門の安定性への注目から下落しました。 消費財、不動産、テクノロジーが市場の足を引っ張りました。ハンセン指数は金曜日に2.3%下落し、7月は7.8%安で終了しました。CSI300は金曜日に1.3%安、7月は7.0%安となりました。 ハンセンTECH指数(HSTECH.I)は金曜日に5%近く急落し、7月の月間では12%以上下落しました。杭州市市場監督局は、「悪質な値下げ」の疑いで美団(03690:xhkg/MPNGY:xnas)とその他の食品配送eプラットホーム企業の経営陣を召還しました。美団は6.2%下落しました。 アリババ(09988:xhkg/BABA:xnas)のマー氏は、規制圧力の中で傘下の金融会社アント・グループの支配権を手放すことを計画していると報じられました。アリババ株は金曜日の香港時間に6.1%下落した後、ニューヨーク市場でも香港市場での終値からさらに6%下落しました。これは米証券取引委員会が、米国に上昇する中国インターネット大手の同社ADRを上場廃止警告リストに追加したことを受けたものです。
原油価格(OILUKSEP22・OILUSSEP22)は反落
先週の上昇後、原油の焦点は今週のOPEC+総会に移り、9月の大幅増産への期待は薄らいでいます。供給サイドの問題も引き続き下支えとなっていますが、短期的な焦点は、中国の製造業PMIが期待より悪化していたことと、それに伴う需要縮小に移っています。アジア時間の朝には、WTI先物は98ドル/バレルまで反落し、ブレント先物も104ドルを割り込みました。
工業用金属は、ドル安、供給制約、中国の景気刺激策に支えられて、幅広い下落から上昇に転じた週となりました。亜鉛は、欧州のエネルギー危機が精錬所を圧迫している兆しがさらに明確になる中、金曜日に急騰しました。アルミニウムの備蓄も31年ぶりの低水準に急落しています。しかし、中国の製造業PMIが縮小域に入ったというサプライズにより、工業用金属価格の上昇が鈍化する可能性があります。
米国経済の減速を受け、FRBが利上げペースを緩めるとの思惑から、金は3月以来の週間最大上昇率となりした。また、米ドルの下落も安全資産としての買いを促しました。金曜日に米国で発表されたPCEが予想を上回り、インフレ圧力が継続することがさらに確認され、次はISM調査データが注目されます。1780ドルの支持線から抵抗線への転換は、上昇トレンドを確認する上で引き続き重要です。
先週のドル円の下落は、今後の大きなトレンドの始まりに過ぎないかもしれませんが、今週は必ずしもそうならないかもしれません。FRBが予想よりタカ派的でなかったため、米国債利回りが低下する中、ドル円は週明けの139円台から金曜の安値135.55円まで下落しました。東京都区部消費者物価指数の上昇は、日銀の利上げ予想に大きな影響を与えないかもしれませんが、米国のデータが経済活動の鈍化を示し続ければ、売られすぎた円はまだ回復する可能性が大きいと思われます。
先週、FRBがフォワードガイダンスを示さなかったにもかかわらず、焦点は再びインフレに移り、FRBがインフレ圧力をモニターするために注視しているPCE(個人消費支出)統計が週末、予想を上回る堅調さを示したことによってその見方は確固としたものとなりました。コアPCE(前月比)は予想の0.5%を上回る0.6%の上昇となり、先月の0.5%から加速しました。前年同月比でも4.8%と、前回と予想の4.7%から加速しました。ヘッドラインPCEは前月比0.6%から1.0%に、前年同月比では6.3%から6.8%に加速しています。これらは、インフレが鎮静化する兆しはまだほとんど見られず、市場はFRBのメッセージをハト派的に受け止めすぎた可能性があることを示唆しています。PCEとCPIの圧力が加速すれば、9月の会合で75bpの追加利上げが決定される余地は依然としてあり、市場が予想するターミナルレート(利上げの最終到達点)が上方修正される必要が出出てくるでしょう。
7月31日(日)に発表された中国NBS(国家統計局)の製造業PMI(購買担当者景気指数)は、コンセンサス(50.3、6月:50.2)より低い49.0まで低下し、縮小域に入りました。製造業生産高と製造業新規受注は、それぞれ49.8と48.5となり、ともに縮小傾向でした。 輸出の新規受注は2.1ポイント減の47.4でした。 石油・ガス精製と金属加工が縮小し、製造業PMI全体を引き下げました。 非製造業PMIは53.8(コンセンサス53.9、6月54.7)でした。 サービス部門は1.5ポイント減の52.8となりましたが、引き続き拡大基調を維持しました。 航空輸送、ケータリング、宿泊は60を超え、強い拡大を示しています。詳しくはこちらをご覧ください。
先週はエネルギー関連企業の決算報告が相次ぎ、原油価格の高騰を背景に利益だけでなく株主還元についても予想を上回りました。エクソン、シェブロン、シェル、トタルエナジーズSEはいずれも過去最高益を記録しました。エクソン以外は自社株買いを拡大し、自社買いを年初計画の3倍に増やしました。エクソンは四半期ベースで30億ドル以上の利益増を記録しました。エクソンとシェブロンの幹部は、景気後退の懸念が高まるなかでも、燃料需要破壊の兆候はあまり見られないと語りました。エネルギー部門は現在、S&P500指数の4.5%を占めており、パンデミック後にエネルギー源の不足に焦点が戻ったため、急回復しています。
ユーロ圏の7月のインフレ率は、コンセンサス予想の8.7%、6月の8.6%を上回り、前年同月比8.9%と予想を上回る結果となりました。食品とエネルギー価格の上昇が引き続き下支えとなり、夏の旅行需要も手伝って、物価上昇圧力が過去最高となった可能性があります。しかし、成長率は前四半期比0.7%増にとどまり、予想の0.2%増を下回りました。ECBが9月に再び大幅な利上げに踏み切ることを後押しする可能性がある一方で、ドイツの停滞は警戒すべき要素となっています。厳しい冬を前にして、ECBの利上げの余地が急速に狭まっていると判断する要因が十分にあるといえます。
米S&Pグローバルが発表している米PMI(購買担当者景気指数)速報値は0.4ポイント低下し52.3となり、地域連銀調査の結果もまちまちでした。月曜日に発表が予定されている7月のISM(供給管理協会)製造業景気指数の、ブルームバーグによる調査では、エコノミストの予想中央値は52.0と前月の53から低下しており、さらなる冷え込みが予想されています。供給側の障壁が緩和される可能性はありますが、需要の鈍化により、新規受注と全体のヘッドラインの増加が抑制される可能性があります。
今シーズン最も忙しい決算週は、大きなショックもなく過ぎたかもしれませんが、まだ重い週が待っています。今週は、エネルギー(オクシデンタル、シェニエール・エナジー)、旅行(ウーバー、エアビーアンドビー、ブッキング・ホールディングス、エクスペディア)、半導体(アドバンスド・マイクロ・デバイシズ)、eコマース(スターバックス、イーベイ)、ヘルスケア(モデルナ、イーライ・リリー、ギリアド・サイエンシズ、アムジェン)など様々なセクターでS&P 500種構成企業148社の決算報告が行われる予定です。注目すべき主要テーマは、消費者の需要動向、サプライチェーンの問題、ドル高による影響などです。
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