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中華圏ウェルス・マネジメント責任者
サマリー: 米国企業の決算シーズンが始まりました。先週発表された主要銀行の業績は、純金利収入の伸びが予想を上回りました。中でも、経営難に陥っていたファースト・リパブリック銀行を買収したJPモルガンは勝者として注目を浴びました。シティグループのようにトレーディングや投資銀行業務からの収益に依存する銀行は苦戦しました。中小の地方銀行は、預金者の資金引き出しにより困難に直面しています。このように、懸念される点はあるものの、JPモルガンのCEOは米国経済について楽観的な見方を示しました。
米国企業の決算シーズンが開幕しました。注目されていた主要米銀3行の業績は予想を上回りました。株価の反応は鈍いもしくはネガティブなものでしたが、これは今後の米国の銀行株にとって何を意味するのでしょうか?3つの考察をご紹介します。
「純金利収入」とは、銀行が貸出業務から得る利子収入と預金者に支払う利息の差額です。これは、金利上昇環境において銀行が利益を上げる方法のひとつです。3行を見ると、いずれも金利上昇の恩恵を受けており、2023年下半期も追加利上げの可能性があることから、純金利収入は増加する見通しです。
JPモルガンは、経営難に陥っていたファースト・リパブリック銀行を買収したことで、第2四半期の純利益が24億米ドル増加の145億米ドルとなり、前年比で67%増加したと発表しました。このため、一部の投資家は、「リセッションではなかったのか?」と疑問に感じています。
シティはその典型的な例で、純利益が前年同期比36%減となりましたが、これはトレーディング部門(収益13%減)と投資銀行部門(手数料収入24%減)で苦戦したことが主な要因です。シティグループのジェーン・フレイザーCEOは「投資銀行部門の回復が長く待ち望まれているが、未だ実現しておらず、期待外れの四半期となった」と述べました。来週発表されるモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスも、同様の逆風に見舞われる可能性があります。
警戒すべきは、3行とも個人預金の流出が続いていることです。マネー・マーケット・ファンドや短期の(3~6カ月)の米国債のような「現金に近い」資産で5%以上の利回りを得ることができるため、米銀は個人預金をつなぎとめておくのに必死で、結果として収益が悪化しています。第1四半期時点で米国第12位の銀行であるステート・ストリートは、純金利収入が前年同期比で10%減少したと発表し、来期も12~18%減少すると予想しています。この状況は、米国の中小地方銀行にはより大きな打撃となるでしょう。
しかし、JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、今後の米国経済について楽観的な見方をしており、「予想よりも良い」と発言しています。
米国の銀行株の動向を今後も注視する必要があります。