経済成長の失速はコモディティ価格上昇の妨げにならず 経済成長の失速はコモディティ価格上昇の妨げにならず 経済成長の失速はコモディティ価格上昇の妨げにならず

経済成長の失速はコモディティ価格上昇の妨げにならず

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オール・ハンセン

コモディティ戦略責任者

サマリー:  コモディティセクターでは、世界の経済成長に関する懸念が価格にマイナスの影響を及ぼす気配はほとんどありません。実際、Bloomberg Commodity Spot indexは6/10に引けた週に最高値を更新、今年38%の上昇となりました。値上がり分の大部分が急騰する原油、天然ガスおよび燃料価格によるものです。通常の環境であれば、高水準のコモディティ価格は生産者による増産という形の反応を引き出し、供給増により最終的に価格の下落要因となる傾向があります。本記事では、今回は事情が異なるかもしれない理由をご説明します。


コモディティセクターでは、世界の経済成長と需要に関する懸念が価格にマイナスの影響を及ぼす気配はほとんどありません。さらに、6/10に引けた週では、主要なコモディティで構成されるバスケットの値動きを追うBloomberg Commodity Spot indexは最高値を更新、今年38%の上昇となりました。牽引役となっているセクターは引き続きエネルギーと穀物で、それぞれ年初来で102%と33%値上がりしています。工業用金属セクターは、新型コロナウィルスの感染急拡大のため中国経済の一部がロックダウンされた3月から4月に25%下落しましたが、ここ数週間では暫定的な回復傾向を見せています。とはいえ、上海での新たなロックダウンの報道により、世界最大の金属消費国の需要の回復が予想より遅れるリスクが浮き彫りになりました。

政府による補助金や超低金利に下支えされて、2020年から2021年にかけてのロックダウン期間に急増した消費財への需要は、金属からエネルギーに至るまで多くの主要コモディティの供給が減少する要因となりました。さらに、主要食糧コモディティの供給が潤沢であった年月は反転し、悪天候とウクライナにおける戦争が、小麦と食用油を中心に価格上昇に拍車をかけています。こうした状況やその他の事態の進展により、インフレ率は過去40年間で最高水準に急上昇しました。その結果、世界中の中央銀行は現在、流動性を減らし経済活動の水準を抑制することで物価を引き下げるため、金利を引き上げています。

その結果として、世界の経済成長の見通しは課題が多くなっています。米国でさえ、米連銀がモニターする高頻度GDPトラッカーによると、下半期のゼロ成長のリスクが高まっており、2四半期連続でマイナス成長となった場合にそう見做されるテクニカル・リセッションに陥る可能性があります。さらに、世界銀行は6/10に引けた週に、世界の経済成長見通しを大幅に引き下げ、1970年代のようなスタグフレーションについて警鐘を鳴らしました。

こうした進展から、コモディティの2020年のコロナショック時の底値からの目を見張るような上昇がいつ停止するのかという問いが自然に生まれます。通常の環境であれば、高水準のコモディティ価格は生産者による増産という形の反応を引き出し、供給増により最終的に価格の下落要因となる傾向があります。さらに、経済成長および需要が減速する見通しにより、高水準の価格の問題は通常解決されます。

こうした反応が見られないかもしれない理由には、弊社の見解では、いくつかの要因があります。最も重要なものは、エネルギーおよび金属生産者が投資への関心を低下させていることです。その他の要因には、セクターで一部の生産者は生産能力の限界に近いこと、グリーントランスフォーメーションへの需要、ESG投資家および貸出しに関する制限、ロシアー信頼できないとますます考えられるようになっている国ーへの依存度を低下させる一段の取組みが見られることです。

原油は過去3ヶ月の最高値付近で取引されており、WTIおよびブレントの直近限月は共に1バレル120ドルを上回って取引されています。最近の一段の上昇の動きは、新型コロナウィルス関連のロックダウン後、主要都市を再開する中国の直近の試みを要因とするもので、これは、世界の供給網がウクライナにおける戦争のため引き続き逼迫している中で、世界最大の輸入国の需要を拡大させる可能性のある事態の進展です。さらに、OPECの事務局長は、大部分の加盟国は「能力の限界に近い」と述べましたが、これは、生産量を50%引き上げるとのOPEC+の最近の決定を市場が無視した理由を説明するコメントです。(既に目標値を日量250万バレル下回っている)グループが生産量を拡大するのに引き続き苦労するであろうことが分かっていてのことです。

月次の「Short-Term Energy Outlook」において, 米エネルギー情報局は2022年の生産量を現在と同水準の日量11.91百万バレルに据え置く一方で、来年の生産量は日量12万バレル増の日量12.97百万バレルに引き上げました。さらに、同情報局は、ロシアの生産量は来年末までに18%減少する可能性があると警告しています。世界中の製油所は、制裁対象のロシア産原油を代替するため最大能力に近い水準で操業しており、供給がこれほどタイトな中、需要を抹消することで市場をバランスさせる痛みの多いプロセスを支えるため、価格はさらに上昇する必要があるでしょう。

Source: Saxo Group

天然ガスは引き続き最もボラティリティの高い先物市場のひとつで、欧州市場では一種緊張感のある安定性が見られるようになったのに対し、米国の天然ガス相場は、暑い天候関連の堅調な需要と力強い輸出の伸びに生産の増加が見合わず、引き続き非常にボラティリティが高くなっています。その結果、Henry Hub天然ガス先物は6/10に引けた週に13年来の高値をつけ、その後一時的に大幅に調整をしました。テキサス州キンタナ(Quintana)のLNG輸出ターミナルでの火災の後、米国内の燃料価格が一時的に下落した一方で、オランダTTF天然ガス価格が過去3ヶ月間の安値から値上がりしたものです。

海外市場に天然ガスを輸出する7つの米国の施設のひとつである、Freeportの施設が少なくとも3週間閉鎖され、米国のLNG輸出能力全体の20%近くが一時休止することになります。この大部分は、ロシア産出の天然ガスへの依存度を減らす競争が進行中の、欧州の飢えているバイヤー向けです。

1ヶ月以上にわたりレンジでの取引が続いているは、米国のインフレ率が8.3%の予想を上回り、40年ぶりの高水準をまた更新して8.6%を記録、さらに欧州連銀が7月に利上げを開始すると発表し、インフレの上昇と闘う他の中央銀行の仲間入りをした後、軟調な取引となりました。しかしながら、会合の結果がそれほどタカ派的でなかったためユーロが対ドルで下落し、金に下方圧力が加わることになりました。

米国債の利回りの上昇見通しは、一段と堅調なドルと共に、一部の投資家が金への投資に慎重な主な理由となっています。それにより、インフレ、そして債券および株式市場で進行中の混乱に対するヘッジとして金が機能する能力が減じられているためです。弊社は金は、少なくとも相対的には、今年非常にパフォーマンスが良いとの見方を維持しており、これは特に米ドルベース以外の投資家に当てはまります。金はユーロベースで約8%のリターンを上げている一方で、EUの国債ETFまたはEuro Stoxx50株式指数への投資は約13%の損失となっていたはずです。ドルベースの投資家の金のリターンは1%と相対的に小幅ですが、S&P 500は15%の下落、長期債の値動きを追うETFは23%もの値下がりとなっています。

新たな堅調局面を迎えるであろうとの予想から、弊社は、過去には工業用金属とされていた金と銀に強気の見方を維持しています。この主な理由は、中央銀行の利上げに関連する政策ミスにより経済成長が失速するリスクが高まっていることです。

当面は、レバレッジをかけた先物投資家とETF投資家に確信が見られず、5月は共にレンジ内のポジションとなっており、金はレンジにとどまっています。この状況が変わるには、主要な抵抗線である1870ドルを明確に抜けることが必要です。

コモディティ関連の銘柄のパフォーマンスは、弊社サクソの株式テーマ別バスケット中トップ
弊社コモディティバスケットに含まれる20社は、株式市場で猛威を振るっている嵐からの高水準の耐性を引き続き示しています。暗号資産やブロックチェーン、e-コマースやバブル銘柄といった、これまでの投資家お気に入りのテーマはすべて、年初来で45%以上の値下がりを見せており、供給の逼迫と高価格により高水準の収益性を達成できる可能性が高い、いわゆる「オールドエコノミー」へのエクスポージャーを保有しておくことの重要性を浮彫りにしています。

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