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コモディティが他の全ての資産クラスをアウトパフォーム

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オーレ・ハンセン

コモディティ戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  Bloomberg Commodity Spot Indexは、1月24日からの週に最高値を記録し、月初から7.5%の上昇となりました。これにより、9%近い下落となっているMSCI World Indexとのパフォーマンスの差がかなり拡大しています。この格差拡大を促している主な要因は、世界各地でインフレ率の上昇圧力が明らかになるとともに、供給不足によりコモディティ価格が下支えされていること、その一方で、米国FRBが1970年台以来最も難しいインフレ率と金利の反転に直面する中で、債券市場と株式市場が動揺していることです。貴金属と工業用金属は一時的に下落しましたが、原油は7年ぶりの高値を付けました。


主要な先物24種の取引を追跡するBloomberg Commodity Spot Indexは、124日からの週に最高値を付け、月初からの上昇は7.5%となりました。これにより、同じ期間中に9%近い下落となっているMSCI World Indexとのパフォーマンスの差がかなり大きくなっています。この格差拡大を促している要因は、世界各地でインフレ率の上昇圧力が明らかになるとともに、供給不足によりコモディティ価格が下支えされていること、その一方で、米国FRB1970年台以来最も難しいインフレ率と金利の反転に直面する中で、債券市場と株式市場が動揺していることです。

しかし、ブレント原油が1バレル90ドルを回復したことや、ガス市場で混乱が生じていることを原動力として、エネルギーセクターが週間で引き続き大幅な上昇に向かう一方で、金属市場は下落に転じました。中でも貴金属は低調となり、金と銀は週間のパフォーマンスが昨年11月後半以来、最低の水準となりそうです。この下落のきっかけとなったのは、FRBPowell議長が、直近のFOMC会合の後、利上げと量的引き締めによりインフレ率を40年ぶりの高水準から低下させるために断固とした方策をとると明言したことです。

このPowell議長の発言を受けて、2022年中に25ベーシスポイントの利上げが実施される回数の予想は従来の4回から5回に引き上げられ、3月の会合で50ベーシスポイントの利上げが実施されるリスクも高まりました。このような予想の変化を受けて、ドルは昨年6月以来最大の上げ幅となり、米国債利回りは軒並み上昇しました。

Saxo Bankは過去1年間に、いくつかの特定のセクターやテーマにおける主要銘柄のパフォーマンスを対象とする様々なテーマバスケットを開発してきました。米国FRBが利上げによりインフレに対抗することに焦点を移したことを受けて、これらのバスケット開発者でもある当社の株式戦略責任者は、今後のインフレ率が過去30年間よりも高水準にとどまることを想定して投資家がどのようにポートフォリオを構築すべきかをここで説明しました。これまでのところ、こうした最近の変化によるマイナスの影響が感じられてきたのは、バブル株や次世代医薬品を始め、Eコマース、グリーントランスフォーメーション、ゲーム、決済など、金利に敏感な分野です。これらのテーマ全てに共通する特徴は、過剰な期待と、それに伴う過度に高い株価評価でした。

以下の表は、農業、化学、エネルギー、鉱業分野の企業を対象とするコモディティセクターバスケットにおいて、前述の主要コモディティの好調なパフォーマンスがいかに株価評価の上昇につながったかを示しています。最近の成長株の惨状を考えると、もしコモディティセクターに投資していたら、12月にFRBが金利とインフレに関する方針を転換したことによる影響は多少和らいでいたはずです。

米国FRBの会合の後、ドル高が進み、債券利回りが上昇したことを受けて、貴金属は急落しました。1月半ばに好調に推移していた銀と金はどちらも、新たに設定された多くのロング・ポジションが売りに向かい、非常に調整に転じやすい状況になっていました。26日のFOMC会合前に我々はアップデートを発表し、その中で、2022年以降も貴金属に関して中期的に強気の見方を維持する理由を説明しました。最近の下落により、忍耐を学んでいることを除けば、その見方に変更はありません。理由は以下の通りです:

  • 金利上昇の影響で株価が乱高下する中で、「インフレヘッジ」や「ディフェンシブ資産」 としての金の性質が改めて注目される見込みです。
  • 最近のFOMC声明が発表される前は、金は実質利回りの上昇から影響を受けにくくなっており、代わりに投資家は経済成長が鈍化するリスクと株価下落リスクをヘッジすることに注力してきました。ここ1週間で、金地金を裏付けとするETFの総保有量は20209月以来最も大幅な増加となり、3ヶ月ぶりの高水準となる3,083トンに達しました。
  • 世界で最も追跡されているコモディティインデックスの中には、金の保有比率が515%を占めるものもあるため、最近見てきたように、これらのインデックスの需要があれば、自動的に金の需要も高まることになります。

これらの潜在的な下支え要因に反して、市場はモメンタム重視のファンドからの売りに再び見舞われると見られます。中には、ドル高によるマイナスの影響を手がかりとする売りもありそうです。さらに、中国の旧正月の期間が、最近の積極的な買い手からの需要が減少するきっかけになる可能性もあります。

金価格が前年比で下落し、200日単純移動平均(現在1,805ドル)を割り込んだことから、短期的なテクニカル見通しは悪化しています。17日の安値である1,782ドルを終値で割り込めば、さらに1,755ドル、最終的には1,730ドルに向けて下落する可能性があります。一方、1,805ドルを突破すれば、再び買い意欲が高まる可能性があります。

銀価格はFOMC前に大幅に上昇しましたが、その後、200日単純移動平均(現在24.55ドル)が再び強い抵抗線となりました。124日からの週に急反落したことで、銀価格は22ドルの支持ラインに向かっています。これを割り込むと、21.40ドルのダブルボトムを目指す可能性があります。

Source: Saxo Group
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