ウイークリー・コモディティ・アップデート:中国の新型コロナ規制緩和期待から金属が上昇
サマリー: この週(10月31日の週)は、中国の国境再開に対する楽観的な見方と、米国の利上げサイクルの延長が世界の成長と需要にマイナスの影響を与えるという見方が交錯する中、商品相場は上昇しました。全体的に中国への楽観的な見方が優勢となり、工業用金属、エネルギー、綿花が大幅な上昇を見せました。
パウエルFRB議長は、水曜日(11月2日)に予想通り75bpの利上げ(このサイクルでは4回目)を実施した後、「一時停止はあまりにも時期尚早」と発言し、市場全体のセンチメントに一時的な打撃を与える結果となりました。しかし、FOMCの判断が経済データに応じてなされることは明らかであり、FRBが声明で「累積的な引き締め」の効果を見極めるために一時停止する可能性を示唆しているため、景気減速の兆候が見られれば、その見方が変わる可能性もあります。
利上げと経済効果のタイムラグは依然として懸念材料であり、そのことは、米国債のイールドカーブの逆転がより顕著になっていることに反映されています。今週(10月31日の週)、2-10年物イールドカーブは-61bpまで反転し、1980年代以降で最も反転しており、中央銀行の政策ミスがインフレ抑制に成功することなく景気鈍化を引き起こすリスクを示唆しています。このような状況下、金と銀は、当初は主要な支持線を下抜けしようとして失敗した後、ショートカバーによって力強く反発しました。
金はFOMCによる打撃から回復
今週、金はパウエルFRB議長の記者会見後のドル高と利回り上昇に伴う売りから回復し、高値で取引されました。当初の弱気センチメントで、金は1615ドル付近の重要な支持線に3度挑戦し、その後、ショートカバーとドルの軟化に支えられ、上昇に転じました。また、米国のイールドカーブがさらに反転し、景気減速のリスクが高まったことも相場を下支えしました。金相場は安定を回復した後、金曜日(11月4日)に発表される米国の雇用統計などの経済指標を注視し、同指標が景気の強さを示すものであったにもかかわらず、金は週末に向けて上昇しました。サクソでは、中期的なインフレ見通しは上方修正される可能性が高く、今後10年間で4%から5%のレンジで推移することはそれほど異常ではないとの長年の見解を維持しています。世界が2つに分かれ、自立の必要性と脱グローバル化が進むという新しい地政学的状況に後押しされています。エネルギー転換と合わせて、私たちは商品・資本集約的な10年を迎えようとしており、原材料と労働力の不足によりインフレがより長期にわたって、現在のスワップ市場に織り込まれている3%のレベルよりも高い水準で推移することになるでしょう。
このようなシナリオは、景気減速により中央銀行の利上げ期待が後退し、利回りやドルが下落するリスクと相まって、2023年に金と銀にとって強力な追い風になると考えています。中央銀行が第3四半期に400トンを購入したことも、FTFの裏付け資産としての保有量が227トン減少したことを補う以上の下支えとなっています。1615ドルの強固な支持線が確立していますが、上昇トレンドに転じるには、最近の高値で、50日移動平均および3月からのトレンドラインの高値である1675-80ドルの抵抗線を上抜けする必要があります。
原油は強気が優勢に
7月以降、原油はほぼレンジ内で推移していますが、燃料製品市場は、欧米の供給不足が深刻化しているため、ガソリンや軽油・灯油油・ジェット燃料などの留出油の精製マージンが上昇し、逼迫した状態が続いています。逼迫感という点では、軽油と灯油の在庫が少ない北半球の製品市場が引き続き懸念材料となっています。ウクライナ戦争や、欧州への主要な精製品供給国であるロシアへの制裁により、市場は根底から覆されました。また、ガス料金の高騰により、ガスから他の燃料、特に軽油や灯油への積極的な切り替えが進んでいます。
この逼迫した状況をさらに悪化させているのが、OPECプラスの今月からの減産というタイミングの悪い決定です。米国産(ライトスイート)原油が引き続き戦略備蓄から放出され、ガソリンの生産を支える一方で、OPECプラスの減産は主に、留出油の生産量が最も多い中・重質原油を生産するサウジアラビア、クウェートおよびUAEが行うことになります。
製品市況がこれだけタイトである限り、景気後退の懸念はあるものの原油価格が下落するリスクは低いと思われるため、当四半期のブレント原油価格レンジは85-100ドルとし、製品市況の逼迫により上昇リスクが高まるとの見通しを維持しています。
中国の国境再開期待で工業用金属が好調
ブルームバーグ工業用金属指数は今週、7月以来最高となり、ニッケル、アルミニウム、同の3つの主要金属が上昇を牽引しました。中国が、厳格な新型コロナ規制の緩和に向かっている可能性があるという未確認説や、中国の買い手の活動活発化による供給不足の懸念が高まったことによるものです。銅は、中国資源大手のMMG(五鉱資源)がペルーに保有する世界最大級のラスバンバス鉱山の操業停止が追い風となりました。同鉱山は10月31日以降、地元住民による封鎖で操業が困難となっています。
下のチャートの通り、7月以降レンジ相場となっているHG銅は、いくつかの抵抗線を通って急上昇しましたが、確実な回復軌道に乗るためには、8月の高値であるポンドあたり3.78ドルを上抜ける必要があります。その時初めて、数か月間、銅のショートポジションをとってきた投機筋による新たな勢いのある買いが見られる可能性があります。