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Podcast:「The FOM pulls off a hawkish pivot(FOMCはタカ派的な方向性を示す)」も併せてご覧ください。
パウエルFRB議長が昨日(11月2日)、FRBは近いうちに利上げペースを緩やかにする方向に政策転換する可能性はあるが、利上げの一時停止は「時期尚早」であるとの考えを示し、市場全体のセンチメントに打撃を与えたことから、金と銀は急落しました。この発言は、このサイクルで4回連続となる75ベーシスポイントの利上げを決定した際、FOMCが「金融引き締めの累積的」効果を考慮するために利上げを一旦停止する見通しに関する誤解に対してなされたものでした。
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Quick Takeで、FX戦略責任者のジョン・ハーディは、パウエルFRB議長は記者会見で利上げはまだ「道半ば」で、今後のデータに基づきFRBが到達する「最終的な水準」は9月の会合で考えられていたより高い水準になる可能性が高いと明言し、はるかにタカ派的な姿勢を示した、と解説しています。このため、FRBが予想する来年春の金利は、サイクルの最高水準である5.00%に近づきつつあり、さらに10ベーシスポイント高い5.10%近辺でこの日の取引が終了しました。
パウエル議長は、早ければ12月の会合で利上げ幅を縮小する可能性があると述べましたが、FOMCでは利上げのスピードは「あまり重要ではなくなってきている」と感じているとしています(市場では、データの裏付けがあればFRBは会合のたびに利上げを続けると推測されています)。また、FRBが量的引き締めのペースを上げていることも考慮する必要があります。これは市場に引き締め圧力を与え、1年間で数百ベーシスポイントの利上げに相当します。
貴金属相場を左右する最も重要な材料のひとつであるドルは、昨日は弱含みで推移しており、会議を控えたセンチメントを支えていましたが、パウエル議長の記者会見で再び急上昇し、ほぼ全面的にドル高の力強い反転パターンを示しました。特にユーロは重要な0.9876-0.9850エリアに下落し、ドル円は145.00円の支持線をクリアした後、147.00円台までドル高が進みました。