金相場の焦点は利回りではなく原油価格 金相場の焦点は利回りではなく原油価格 金相場の焦点は利回りではなく原油価格

金相場の焦点は利回りではなく原油価格

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オーレ・ハンセン

コモディティ戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  金は現在、年初来で約7%上昇しており、実質利回りの上昇とドル高による逆風が続いているにもかかわらず、引き続き好調に推移しています。一方で、ロシアがウクライナに侵攻する前から存在していたものも含め、金相場は様々な不確定要素に直面するようになっています。戦争と制裁によりインフレと経済成長への懸念が加速してきました。また、株式と債券のボラティリティの上昇に伴い、投資家は投資用金属などの有形資産に安全なセーフヘブンを求める傾向が強まってきました。


「目覚ましい」というのが、今年の年初来の金のパフォーマンスを最もよく表す言葉です。米国の実質利回りの上昇やドル高など、通常であれば金が苦戦するような動向の中で、金価格は現在約7%上昇しています。米FRBによる積極的な金融引き締めの見通しを支えに、10年債の実質利回りは1%以上上昇し、ドルは全般的な通貨指標に対して4%近く上昇しています。

昨年は、インフレ懸念が浮上したにもかかわらず、金のパフォーマンスは特に対米ドルで比較的低調でした。これは、株式市場が上昇し、債券利回りが比較的堅調に推移したことから、分散投資の必要性が低下し、ポートフォリオマネージャーが2020年中に積み増した金の保有高を削減したためです。2022年に入ってからは、ロシアがウクライナに侵攻する前から存在していたものも含め、様々な不確定要素に直面しています。戦争と制裁によりインフレと経済成長への懸念が加速してきました。また、株式と債券のボラティリティの上昇に伴い、投資家は投資用金属などの有形資産に安全なセーフヘブンを求めるようになってきました。

過去一年間、金価格と10年債の実質利回りはなかなか通常の逆方向の動きをたどれず、金の動きが利回り上昇を無視するようになった第1四半期には、ディスロケーションがさらに加速しました。現在の水準では、金は理論的には約300ドル過大評価されており、市場の焦点が大きく転換したことを示しています。

昨年一年間を通して見られた現物の裏付けのある金ETFの残高の純減は、12月下旬に止まり、その後、総保有量は282トン増加して3,325トンとなりました。それと同時に、先物取引を中心とするレバレッジファンドは、8,000ドル以下の証拠金で195,000ドルのロットを取引できるため、相場の方向性に大きく左右される傾向が強まってきました。金価格が3月8日に高値の更新を目指して失敗した後、これらのファンドは数週間かけてエクスポージャーを縮小しました。4月12日の週になってそのような動きが完了して、これらのファンドは買い越しに戻り、前述のETFに対する継続的な需要と一致するようになりました。

Source: Saxo Group

インフレについては昨年も取り上げましたが、実際の物価急騰の影響が今、世界中でますます表面化してきています。こうした状況を受けて、投資家は、高い株式リターンと安定した利回りがもたらされた良い時期が終わったという事実に気付きつつあります。代わりに、投資家はディフェンシブな姿勢を強める必要性が出てきました。こうした変化とともに、今では世界の大半から孤立したロシアが、戦争で望ましい結果を得られなかった場合、次にどう動く可能性があるのかというリスクもつきまといます。

金価格の方向性は実質利回りではなく、原油価格に左右されることが多くなってきていますが、これは完全に理にかなった動向だと言えます。一進一退する原油価格は、ディーゼル油やガソリンなどの精製油を通じてインフレに影響を及ぼします。同時に、その上昇または下落は、経済システムにおける地政学的リスクの度合いを伝えてもくれます。

最近発表した当社の「Quarterly Outlook(四半期見通し)」で、今年中に金価格が上昇し、高値を更新すると予想される理由を取り上げています。

Source: Saxo Group

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