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コモディティ戦略責任者(Saxo Group)
サマリー: 金価格は、6月13日に過去三ヶ月で最も大幅に下落した後、ボックス圏で推移しています。直近では、米国債利回りが急上昇していること、そして二回連続の75ベーシスポイントの利上げを市場が織り込んでいることから、インフレ対策としての金の立場は脅かされています。今は、景気が悪化し始める前のインフレとの戦いの成否が最大のテーマであり、最終的な金の方向性を決めることになります。
10日に発表された米国のインフレ率が予想を上回ったことや、消費者心理が悪化したことに対する金の反応から、焦点が入り混じっていることが浮き彫りになりました。このために、金はしばらくボックス圏にとどまってきたのです。金は、インフレ、株式市場、地政学的リスクへの対策を求める投資家の支持を得ながら、年間を通じて国債利回りの上昇に立ち向かってきました。この争いは13日に最高潮に達しました。インフレ率が予想を上回ったことに動揺したトレーダーは、この日、二回連続の75ベーシスポイントの利上げを織り込むことで、米国FOMCを追い込み始めました。
FOMCが利上げペースを50ベーシスポイント超に引き上げるという考えに対してFRBのパウエル議長が冷水を浴びせてからわずか数週間後の6月15日に、FOMC会合が開催されます。しかし、FRBが後手に回っているという共通の認識を受けて、米国の景気後退の時期が早まると同時に、利回りと利上げの予想を大幅に見直すことが余儀なくされています。
10日以降、米国2年債利回りは0.54%の記録的な上昇となり、15年ぶりの高水準となる3.35%に達しました。一方、金の方向性を示す指標としてよく使われる10年債の実質利回りも、年初の-1%から0.65%と、2019年3月以来の水準まで急上昇しました。金と実質利回りの歴史的な関係に基づくと、金価格は現在、適正価格を300ドル以上上回っているとの見方もあります。